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ファイティングガール  作者: Jack…
大学二年
51/72

アフリカの発掘調査の件はどうなの?

リオンです。


この間の話をついでに聞いてみよう。


マイティさん、アズニアのアビエルでしたっけ?発掘調査の話はどうなりました?


「うむ・・・大変苦労している・・・なんといっても、内陸すぎてな・・・いざというときの脱出手段がないのだ」


え、飛行機もってくんじゃないんですか?


「色々画策したが・・・デハビランドカナダの旧型輸送機くらいが関の山だ」


デハビランド・・・なんかどこかの離島に行ったとき乗った気がします。ダッシュなんとかとか言われてたかな?


「ああ、ツインオッターだな。あれは私もジェット・・・というかタービン動力の限定資格ゲットの為に操縦した」


え?プロペラ機でしたよ?


「話すと面倒なのだが、あれはターボプロップといって、エンジンの動力としてはタービン動力、ジェットエンジン・・・に近いエンジンなのだ。ターボファンエンジンとターボプロップの違いを航空ファンでもないリオンに説明するのは・・・面倒なんだ。さらに言うとジェットの資格はまた別の航空機に乗る必要があるのだ」


えーと・・・ジョージ?


「説明するのはやぶさかではありませんが・・・端折っても30分くらい、それにリオンさんが突っ込んだ質問をしてその回答をすればヘタしたら二時間掛かりますけど・・・」


それを5分でお願い。


「僕はAIのコンソールじゃないんですが・・・わかりました。零戦とか、B29ってわかります?」


「ゼロファイターはマンガでもアニメでも人気だよねーー」


いきなり突っ込みかよ、ユカ・・・まあ、わかるよ。で?


「あれはレシプロエンジン、敢えていえば、車のエンジンと同じ仕組みでプロペラを回します」


そうなんだ。でも高性能でないと戦闘機とかできないよね?


「はい。なんで、いわゆるターボチャージャーのレシプロが実用化されたのが戦闘機です」


えーと?・・・スポーツカーとかのターボの元ってこと?


「概ねそうです」


零戦とかB29ってことは・・・1940年代に実用化されてたんだ。


「厳密には零戦はターボじゃなくてスーパーチャージャですけど・・・大体の技術は戦争で進化するものらしいです」


それも聞いたことはある・・・戦争に伴う悲しい歴史ってやつ?


「そうかもしれません」


で、ターボプロップは?


「その前にですね、レシプロエンジンは重くて効率が悪いんです。あと、原理的にマッハを越えられません」


で、ジェットエンジンね?


「そうです。ジェットエンジンでも燃費重視だと、マッハを越えませんが、戦闘機みたいに燃費を・・・少なくとも短期的には・・・無視していいものならマッハ以上、つまり超音速戦闘機になれます」


で、ターボプロップは?


「はい。でもその前に『ターボ』です。ターボって何だと思いますか?」


今までの話だと・・・第二次世界大戦中にはそれなりに完成していたパワーを出す仕組み?


「どうやってパワーを増やすんでしょう?」


レシプロって・・・ピストンエンジンよね・・・馬力=トルク×回転数だから速く動かすか・・・トルクを増やすかだよね・・・どうやれば増えるの?


「空気です」


は?


「戦闘機は高度数千メートルとか一万メートルで戦いますから、空気が薄いです」


そらそうだよね。富士山よりずっと上だもん。


「なので、そのままだと、ガソリンを噴いても燃えてくれません」


で?


「車でも排気ってありますよね?それを使うんです」


ん?


「排気は熱いだけでなく、圧力を持った空気です。それでタービン・・・羽根車を回し、入力側の羽根車・・・それを回して大気側の空気を圧縮します。そうなると、上空でも地上と同じ一気圧、またはそれ以上の空気がピストン内に入ります。スーパチャージャーは、エンジンの回転を利用して同じことをするんですが、最終的には排気の熱と圧力を利用しているターボのほうが効率はいいはずです」


ああ・・・そういうことね・・・わかったけどまどろっこしいね・・・


「はい。そこでターボそのものをエンジンにする軸流タービン、発電用にも使われているガスタービンみたいなエンジンが出てきて、それが初期のジェットエンジンになります」


えーーとーーーー・・・。ガスタービンね・・・習ったな・・・タービンがあって、圧縮機が連続して・・・なんとなくしかわかんないなぁ・・・


「なんとなくで結構です。レシプロに比べてパワーがあってコンパクトだけ覚えてください」


飛行機は軽さ命だろうから、そりゃなによりだね。


「あと、燃料が安全になります。ピストンエンジンだと有鉛ガソリンですが、ジェット系は・・・ほぼ、灯油です」


まあ、そりゃ・・・ガソリンよりは安全そうだね。ポリタンクで運んでも大丈夫なんだから。


「厳密には違うんですけどね。特に燃料の管理方法とか・・・それは置いといて、本来の原初のジェットエンジンは、排気で飛びました。なのでめっちゃ燃費が悪いです」


じゃあ、今、ふつーの飛行機・・・旅客機に付いてるジェットエンジンはジェットエンジンじゃないの?


「はい、ターボファンエンジン、より詳しく言えば、高バイパス比ターボファンエンジンといいます」


高バイパス比?


「そうです。ジェットエンジン、軸流タービンの前にファンが付いており、エンジンカウル・・・いわゆるジェットエンジンの筐体の中のファンを回して推力を得ます。で、このファンはエンジンをバイパスしますので、高バイパス比と言います。最近のエンジンでは80%以上のバイパス比になります」


へー、80%ね。その、ファンと、プロペラとの違いはなーに?


「この形式をダクテッドファンと言うようですが、高速飛行時にプロペラで問題になる翼端失速の問題をカウルの内部に閉じ込め、形状で空気の流速を低速化することにより解決します。つまり、より、高速で飛べるようになるわけです。あと、単純なジェットエンジンよりはかなり燃費がよくなります」


デメリットもあるんじゃない?


「まあ、大きなエンジンになりますので、小型機には使いづらいですね。ビジネスジェットなんかにも使われてますが、高バイパス比ではないので、燃費的な意味でいうと今イチのようです」


なるほど・・・じゃあターボプロップはコンパクトで燃費がいいってこと?


「はい、ダクテッドファンが無いのでコンパクトですし、特に低速域ではターボファンよりターボプロップのほうが低燃費です」


ほかにはいいことあるの?


「基本的には、プロペラの回しはじめ、つまり静止状態からすぐに最大推力が出ますので、短距離で離着陸が可能です。ターボファンだとスピードが出ないと最大推力が出ません。なので長い滑走路が必要なわけです」


離陸はわかるけど・・・着陸が短距離で済む理由にならないと思うけど・・・


「一般的にターボプロップエンジンのプロペラは可変ピッチといって、角度が変えられます。回転数が一定の状態でも推力の変更ができます。で、着陸時にはリバース、ベータレンジと呼びますが、ピッチを逆にして、回転がそのままなのに前に空気を押し出すことができるので、空力的なブレーキも圧倒的なのです」


えーと・・・うん・・・なんとなく理解できたけど・・・プロペラに負荷が掛かりそうな作りだね。


「まあな。ジョージに変わって話すが、ターボプロップ機の場合、毎回着陸後に目視点検などの結構な数の点検が必須だ。もっとも、それを前提にかなり頑丈に作られているし、故障を検知するセンサーなんかも予め内蔵されている」


なるほどね・・・

燃費がよくて、離着陸に必要な長さも短い。てゆーことは最高速は出なくて大型機には向かないってことね?


「はい。旧ソ連の飛行機で唯一の大型機があり、時速900km以上で飛べるようですが、かなり力技な技術のようです。ロシアでは未だに現役のようですが、騒音も凄まじくスゴいそうです。なので、NATO加盟国では類似機は作られていません。ターボプロップは基本的に600~650キロ以上は出さないそうです」


ちょっと話もどるけど、ターボファンもターボプロップもジェットエンジンでファンやプロペラを回すのよね?

なんで別々のものに進化したの?


「さっきちょっと出てきた『プロペラ先端の失速』、燃費、大型化とコンパクト化あたりではないでしょうか。プロペラの先端速度が音速を越えると、急激に推力が落ちるんですが、ターボファンエンジンではファンは直結・・・でないのもありますが、高速で回ります。ですが、ファンの先端が音速を越えていてもカウルの外に衝撃波が出ませんし、カウルの形状も工夫されています。ターボプロップでは、ギアボックスでプロペラの回転数をジェットエンジンの回転数から一桁下げています。まあ、タービンとプロペラの理想的な回転数がそもそも10倍くらい違う、というほうが大きいですが・・・推力の問題は可変ピッチプロペラで解決しています」


・・・ギアボックスね・・・じゃあ、ターボプロップのデメリットには騒音もあるよね?まあ、ジェット機、ターボファン・・・高バイパス比ターボファンエンジンも相当にうるさいけど・・・。


「まあ、そうです。基本的には燃費重視で小型から中型機で遅くてもかまわない用途、そして、短い滑走路しか用意できないところにはターボプロップ、そうでなければターボファンエンジンと考えてもいいと思います。民間機ならですけど。・・・あ、あと高度ですね。ターボプロップはプロペラなので天気の影響を受けにくい高度まで上がれません。なので頻発遠距離な航空路線は基本的にターボファンの旅客機になります」


ああ・・・なるほど、なんとなく分かった。話変わるけど、民間機じゃないってとこで・・・前にテレビで親が見ていた・・・比較的最近のアメリカの戦闘機の垂直着陸はなんかすごい強引な仕組みで実現してたよね。


「うむ。あれは『力技』だな」


「マイちゃんが言うんだからよっぽどなんだろーねーー」


「あれは確かに強引ですね・・・エンジニアリングの勝利とも言えますが」


そうなの?


「はい、強引なハードとそれを制御するソフト。コンピューター制御無しで人が全て操作するのは不可能でしょう」


ああ、そうかもね。自動制御なんだろうね、なんかスライドして着艦してたし。


うん。飛行機のエンジンについて詳しくなった気がするよwww

ユカもだよね?それとも知ってた?


「アタシがそんなのーー、知るわけがないーー」


まあそうだよね。で、その輸送機がターボプロップエンジンだとすると、ショボい空港でも離陸できるんですよね?

で、話を強引に戻すと、マイティさん、何が問題だったんですか?


「内陸すぎて、海まで遠い。海まで行ければ・・・平坦な船なら20m x 50m の鉄板の上にでも着艦・・・というか墜落でない程度に、何とか主脚が壊れない程度に停止させることだけならなんとかやれるのだが・・・まあ、風の強めな時に風上に向って全速前進してもらう等、条件は相当厳しいが、条件さえ揃えばできぬわけではない。しかし、DHC-5では、そもそもの航続距離が足りぬ。それより・・・」


それより?


「海に行くまで数ヶ国、領空侵犯しないとならぬ。DHC-5 では旧世代戦闘機でも一瞬で撃墜されるのがオチだ」


それはダメですね・・・

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