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ファイティングガール  作者: Jack…
高校三年
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物理準備室での依頼事項

ジョージです。


物理準備室は実質的に理学部中枢の根城になっており、物理教師の安らぎの場ではなくなっています。大変申し訳ございません。


「ジョージ、誰に謝っておるのだ?」


いえ、特に誰ということは。強いて言えば、教師の皆様と、未来の部長にでしょうか・・・


           ・・・


理学部の部長・副部長は新歓の部内順位・・・ほとんどの場合は全校順位ですが・・・一位・二位が勤めるという慣例は少なくとも今年までは継続されています。

その結果、マイティさんは三年連続の部長となり。そして、ユカさんが副部長となりました。


女子・女子の前例は無いので、オマエが副部長だ、と僕に向かって叫ぶユカさんに対し、マイティさんは落ち着いた声で、

「男子・男子の前例はいくらでもあるのに、女子・女子がおかしいということはなかろう?」

と、一瞬で論破してしまい、「ぅ・・・」と言葉に詰まってから、目立つのやだー~~と歌い叫ぶユカさんを「今更だ」の一言で片付けていました。


まあ、今年も僕はマイティさんの後ろに立ってますから・・・と慰めになるのかならないのかわからない言葉を掛けながら、理学部執行部をやっています。


去年は、「なんということだ!!」と言ったかと思うと、部長、副部長の業務執行マニュアルがない、と、一年掛けてマニュアルを作成していました。


道理で一年のときに何もわからなかったはずだ・・・ともおっしゃってました。


今年は一年掛けてマニュアルの検証と改訂をするつもりでしょう。

当然、ユカさんも巻き込まれるはずです。


ユカさんはその報復措置かわかりませんが、今年のいつのころからかは覚えていませんが、マイティさんのことをマイちゃん、と呼んでいます。


「マイちゃ~ん、準備室いこ~?」


最初はきょとんとしていたマイティさんですが、


「私のことか?」


「そう、出会ってから~6年、もう~親しいー友達と言えるじゃーん。それなのに~高三女子どーしなのにー、さん付けはどうかと思う~、なのでマイちゃ~ん」


「マイちゃ~ん・・・か。そう呼ばれたことはないが、まあ、ユカならいいか」


「恥しがったりしないの~?」


「別に、呼び名など呼称に過ぎぬ」


「ざんねーん~」


みたいなやり取りがあり、夏休みまでにはユカさんのマイちゃん呼びは確立しました。


スピシス内ではリコさん、桃花さんがマイちゃん呼びに変化しました。リオンさんとミツキさんはマイティさんのままです。


桃花さんは「マイちゃんなんて、普通の友達みたい!!」と謎の喜びかたをしていました。


リオンさんとミツキさんはそれを見て力なく笑っていました・・・なんとなくですが気持ちはわかります。

なお、スピシス外ではまったく普及しておりません。


マイティさんは夏休みを丸々サンフランシスコ郊外での飛行訓練と免許取得にあてるつもりで、理学部の残務を終業日までに終えようと早くも二学期の中間のヤマ当てに入っています。


そう、去年わかったことですが、理学部は夏休み中にも仕事があったりするのです。

もっとも「飛行訓練は昼間だけだから、夜は空いている。時差的にもそちらのほうがよいだろう」と小さなラップトップだけ持ってアメリカに行ってしまいました。昼12時が前日の午後8時相当だそうですので、確かによいかもしれません。


あ、寝起きで外国語を教えてもらう仕事は休止期間を事前に告知し、二週間以上休止期間がある月は、月額費用もゼロでOKということで続けています。

飛行機の免許を取るということで、そういう話題が増えたりはしています。

マイティさん的にも管制との会話など、航空英語を事前に学習できて助かっているそうです。

休止期間明けの夏休み直後は少し視聴会員数も減りましたが、会話希望者の絶対量は増えまくったりして大変でした。今年もそうなるんじゃないかと予想しています。


そんな、ある時に、物理準備室のドアがノックされました。


どうぞ。


「おう、ジョージか。忙しいみたいで悪いんだが、マイティさんに聞いてほしい話があるんだ」


今、佳境みたいなので、そこの椅子に座ってください。10分くらいで一区切り着くかと思います。


「ジョージ・・・すっかり秘書かなんかだな・・・何の佳境なんだ?」


モルくんも受けるであろう、HGIS の二学期中間の範囲のヤマ当てです。


「期末終わったばかりじゃん・・・もうやってるんだ。それを聞くと邪魔なんて到底できねーな・・・でも明日じゃダメなんで、どんなに待ってもいいから、今日話をしたいんだよ」


承知いたしました。そこでお待ちください。


           ・・・


「モル、何の用だ?」


しばらくして、一山越えたのか、マイティさんはスッと顔を上げ、モルくん、赤池くんに話し掛けました。


「あー、マイティさん、明日、一学期最後の第二の日なんだが、来るか?」


「野球部に、ということなら、行く予定だが?」


「そこに外部からお客が来るんだが、参加させてもいいか?」


「お客?・・・他校の者という意味でよいか?」


「そう、二年前の練習試合をしたところだ。今年、県で優勝して甲子園出場するんだ」


それはおめでとうございます。しかし、ウチの練習に参加する意味がよくわかりませんが・・・自校のほうが器具なんかも揃っているのではないでしょうか?


「確かに、あそこなら理学部が作った謎の装置じゃなくて、市販のいろいろな機器を持っていると思う。いや、理学部も少ない予算でいいものを作ってくれていると思うよ?」


まあ、理学部の一部生徒がスピードガンやら、ラプソードモドキを作っていることを指しているのでしょう。

あれらの機器は動作はするものの、理学部でそういうことができる面々の技術力を前提にしているので、操作性がイマイチだったり、歴代のスピードガンが燃費が悪い・・・電池消費が激しい・・・のが伝統だったりします。

ラプソードモドキは、設置が面倒臭いというのもあります。


「で、二年前の練習試合なんだけどさ、普通受けてもらえるはずがないんだよ。ウチとあそこでは」


毎年優勝を目指している古豪の強豪高とウチでは、高校野球的な格が違う、とかそういうことですか?


「おっしゃる通り、ってやつ。格的には二段階か三段階違う感じかな。一段階なら、受けてもらえることも多いが三段階だと申し入れた時点でお断りって感じ」


じゃあ、なぜ受けてもらえたんですか?


「チームが、ABと言って、二軍というか、1.5軍くらいの扱いのメンバーだったことと、オレとセイヤ・・・横溝というやつだが・・・第一試合で投げてたピッチャーが、U15で同じ県出身のチームメイトだったから。まー、日本代表なのにヨソの県に行かず、地元のウチに入ってくれてありがとう、くらいのお礼で組んでくれた試合だな」


「待て、日本代表だったのに1.5軍というのはどういう意味だ?自ら降格を選んだということか?」


「半分はそうだろな。春先に軽めとは言え故障したと言ってたし、アソコの伝統として、よっぽどのよっぽどでないと一年だとリリーフ登板くらいだろうし、まだ、あのころはセイヤはリリーフに苦手意識があったと思うし」


「二年三年になって先輩に臆せず投げれるようになるまで基礎練習に励むか。それもありか。それで三年で優勝したということはピッチャーとして成長できたというわけか?」


「テレビやまとめサイトで見たくらいだが、リリーフも一人目からちゃんと投げれていた。U15のころは立ち上がりが悪かったんだよ。結局フォアボールとかな」


それは僕にはなんとなくわかりますが、マイティさんには分からないと思うので・・・で、二年前の練習試合が、その、横溝さんからモルくんへの「貸し」という形で、貸しを返すというか、お礼的なもので、マイティさんに仮想敵をやってもらえませんか、という話なのではないかと思いますが、違いますか?モルくん。


「おっしゃる通り、ツー。向こうからこっちに来るから、スタメン+代打連中くらいでいいから、いつもの30球くらいでいいので投げてもらえないか、という話だ。初戦の相手がマイティさんと似たタイプ、伸びる真っ直ぐと高速スライダーが売りのサウスポーだ」


「まあ・・・私の時間的にはいつも通りであればかまわないが・・・30球だと待たれたら打者一巡くらいで終わりだぞ? あと、いつものシートのように、打てる球を置きにいくのは無し、ということか?」


「おっしゃる通り、スリー。やっぱり実際の、人間のピッチャーと対戦して置きたい、ってのがデカいと思う。当日驚くか、事前に驚いておくか、という感じだろう」


「わからなくは無いが・・・仮に12人くらいが対象だとしたら、一回目は全員真ん中高めの打ちやすいところにお主らであれば「なんとか打てる」球を投げて、初球から振れ!!を徹底させて、12球で一巡。そのあと普通に一巡投げてやろうか?」


「それは・・・向こうにとってもありがたいと思うが・・・多分30球越えるぞ?いいのか?マイティさん」


「構わぬ」


というと、彼女は僕に視線を送ってきました。説明せい、ということですね。


はい、マイティさんは夏休みは飛行機の免許を取りにアメリカに行くので、ピッチングは一月ちょっとお休みです。

なので、明日多少投げ過ぎたところで問題ないということです。

また、30球というのはそれなりに安全率を見込んだ目安だと思います。

明日、明後日は朝のピッチングも無しにすれば全然問題ないということだと思います。

40~50球なら投げてくれると思いますよ。


「本当か?・・・」


疑うと投げてくれなくなるかもしれません。


「脅すなよ。じゃあお願いしてもよいってことで、大丈夫か?」


大丈夫です。明日の午後、放課後ですね。


「マイちゃ~んはね~、努力と才能には鷹揚~。県大優勝ってことは~、才能溢れるプレーヤ~が努力したってこと~」


ユカさん、合いの手は普通歌うものではないと思います。


「マイちゃん、ってマイティさんのことか? そう言えばクラスでも聞いてた気がするが、まさかマイティさんのことかとは思わなかったよ」


まあ、雰囲気が違いすぎますからね。


「オレもそう呼んでもいいか?」


「モルはダメだ。特に理由は無いがダメだ!」


まあ、今のところスピシスのうち三名だけですからね。


「わかった。投げているところは俺達も良く見させてもらう」

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