スピードシスターズ・ファイナル!!④
「悪い悪い。わがまま長身美人のおねーさん中心のインスタントチームかと思ったんだよ」
「はあ・・・言い換えても、あまり変わってない、ヨーコ」
ミツキです。まあ、いくらかはマシな言い方だと思います。
マイティさん?
「まあ、悪口、陰口は言われ慣れている」
「・・・慣れてても気分のいいもんじゃないでしょう?」
「大丈夫。最後は拳で黙らせる」
「・・・見た目よりワイルドだな・・・」
マイティさん、あなたは拳でなくて蹴りのほうが多いと思いますよ?
「そういう問題!?・・・まあ、蹴りのほうが凄そうだけどな」
「凄いよ~~。体重が二倍近い柔道部の部長をヒト蹴りでノックアウト~~」
「ユカ、余計なことを言うな!!」
「でも~~、ちゃんと手加減したじゃーーん?」
「まあ、私が喉を蹴ると簡単に相手が重傷を負う可能性があるから仕方あるまい」
「手加減してどこを蹴るんだ?腹とかか?」
「鳩尾~~」
「それのどこが手加減?」
「数分悶絶する程度~~ 首だとホントに死ぬ~~」
それくらいにしときましょう。ピザ焼けましたから配りますよ。
まあ、冷食ですけど、逆に味の心配はありません。
「ふつーにうめーな」
「そーれーが一番~~♪」
「だからヨーコ・・・ヨソではもっとちゃんとしようよ」
「地だからなー。ムズいよ、キャプテン」
まあ、大丈夫ですよ?キャプテン?
「あー、アカネでいいよ。ミツキさん?」
私もミツキで大丈夫です。
「しかし・・・よく集めたね?」
何でしょうか?
「ギャラリー。それなりに有名なコーチや関係者が結構来てたよ?」
そのあたりは私は何とも・・・リコ?
「なんもしてねー」
じゃあ、リオン?
「特には・・・まあ、ウチのパパの高校時代の友人で大学でコーチやっている人に声を掛けてもらったけど・・・一人とか精々二、三人だよ?」
「なにシレっと会話してんだよ!!直前に動画公開しやがったろ!!あれだよあれ!!」
何のことでしょう?
「わがまま長身美人おねーさんの爆速ドリブルやダンクとか!!ホントに出来るんだから見に来てね、まで派手にテロップ入れてたろ!!」
そういうのをやるとなると・・・ユカですか?
またソロバンくん使ったりしたんですか?
「いやーー、向こうがやりたそーーにしてたから、編集だけお願いしただけだよ~~?」
はぁ・・・かわいそ。ソロバンくん。
「・・・なにがかわいそうなんだ?」
ヨーコ・・・って呼んでいいのかな?
ソロバンくんはPCとか得意でユカに片思いしてるんだけど、それをユカは利用して面倒なことをやらせるのよ。
「・・・まあ、そういうことしてくれるオトコがいるんならいいじゃないか・・・」
でね。お礼になっているのか嫌がらせなのかなんだけど、ほぼ密着したり、彼の体のまわりを近接しているけどギリ接触しない距離でふわふわと動き回ったり、まあ、直接接触してないだけで結構挑発的な動きをするのよ・・・ユカは。
「・・・それは健康な男子なら股間が大変になったりしないのか?」
うん。お門違いはわかっているけど抗議する先が無いから・・・と言われて、私が文句言われたことはあるの。
「ひでぇ誤爆だな・・・」
「でもよろこんでーやってくれたよ~~?」
「まあ、あのクオリティは良かったよ。でもあれで彼女がプレイヤーじゃないってのは詐欺動画っぽくね?」
「ちゃんと~小~~さな文字でー『動画に出演しているプレーヤーが大学でのプレーを希望しているとは限りません』って書いてあるよ~~」
「それは見えたけど・・・じゃあ、見に来てねってのは何よ?」
「えー?見に来てって意味だけで、それ以外の意味はないよ~~?」
「なんじゃそれ!・・・ウチのヘッドコーチも『すげぇすげぇ』言って興奮してたんだけど!!」
まあ、女バスのレギュラーより、彼女入りの・・・旧クラスマッチのチームのほうが圧倒的に強いというレベルですからね。
そもそも、彼女以外のクラスマッチメンバーが女バスのレギュラークラスですからねー。
「・・・終わったあとで言うのもカッコ悪いんだけど、今日はアタシらがそっちに胸を貸す立場だと思って来てたんだよ・・・。ウィンターカップではそっち、いいとこ無しだったしさ・・・」
あー、私とユカは第二所属なので、ウィンターカップは出なかったんですよ。
面倒なので先に話しますけど、第二所属というのはウチの部活のルールで、文化系と体育系と両方一つ以上所属するルールです。で、私は文学部司書班が第一所属、ユカは理学部が第一です。バスケは二人とも第二なので、夏までですね。
「そーゆーことかぁ・・・まあ、三年が冬までやってんのは私立でも公立でも強いとこだけだもんなー」
まあ、そうでしょうね。
うちのバスケ部もどっちかというと例外のほうです。強い代しか冬までやんないんだよね?リコ。
「そうだな。今年は・・・夏までは強かった。シード取れちゃったからな」
「そっか・・・ステルス美少女と、ブザービーター要員が入れば、一本づつだったとしても、ツーゴール差がイーブンになるもんな」
ブザービーターはそうそう入るもんじゃないですよ?
「でも~~最後みっちゃん出てたらダメもとでみんなパスするよね~~?」
「そりゃ、自分でやるより確実だから」「リオンの言うとおり!自分が持ってても一桁になりそうならミツキにパスね!」「自軍ゴール近くで5秒では自分でダンクに持っていくのも一苦労だ」「アタシのレイアップじゃなー。そもそもそういう時アタシは前で一人だし」
「・・・信頼度高いんだね・・・まあ、3年で公式戦だけで9発だっけ?本当だとしたら、なんかの記録にはなるんじゃない?練習試合ではやってねーの?」
第二のメンバーはあまり練習試合には出ないんですよ。基本、土日は部活に参加しないんです。
「・・・それでよく本番で合わせられるね・・・キャプテン、やべぇところとやっちまったみたいだ・・・」
「まあ、試合中にアタシもやらかしたと思ってたよ・・・。格下のクセに人数半分とか舐めやがって、と思ってたもんな。実際にはこっちがスタミナ負けさせられちまったもんなぁ・・・しかし、本当にプレイしないのか?マイティさん?もったいないな・・・」
彼女はしませんね。ね?そうですよね?
「せぬな。年二、三回の遊びならいいが、義務で出るようになったら、多分故障する」
「まあ、あんだけ飛べれば・・・あんなに飛んでたら、そのうち膝や足首、どこかの関節やっちまう、は、理解できるけどさー・・・しかしあんなに飛べるのにーーって、イチ部外者としては思っちゃうわけよ」
それはみんなずっと思ってますよ。
「そりゃそうか。まあ、そうだよな・・・ふと思ったんだが、あんなに飛べるなら走り高飛びとか、陸上で出ても記録出せるんじゃないか?」
出せるでしょうね。あくまで体育の授業に過ぎませんけど、185cm飛んでましたよ。
「おーい、発言していいか?ハマミナのミキって言うけど、陸上歴アリだ。185ならインハイで優勝、少なくとも上位狙えるぞ?」
ミキ、よろしく、ミツキです。そうなんですね。でも、マイティさんははさみ飛びしかできないみたいですよ?
「ちょっと待て!!はさみ飛びで185だとぉ?! それ・・・背面マスターしたら、日本記録どころか世界選手権、オリンピックでもメダル狙えるんだけど?」
まあ、我々、その手のものは驚き慣れてるんで、まあ、そんなもんでしょうね、って反応になります。背面は飛べないんですか?
「飛べるが・・・体育の授業でケガしやすい飛びかたをする必要はないだろう?185飛んでおけば文句はあるまい」
「そりゃ・・・文句ないよ。インハイ勝てちゃう高さだもん・・・背面ならどれくらい飛べる?」
「2mは飛べると思うが、2m10は難しいかもな」
「あの・・・女子の2m10って不滅と言われている世界記録なんだけど・・・2m越えれば世界選手権で優勝できる可能性あるよ?金メダルだよ?」
「そうか」
「・・・そうかって・・・興味ないんだ?」
「無いな」
いつもこんな感じなんですよ。幅跳びも普通のスニーカーで6m越えますし、100mも流して12秒切ります。水泳も速いんですよ?流して50m30秒切るくらいですよね。
「そんなもんかな。水泳は泳法違反とかがあるらしいから、記録狙いは私にはあまり向いてないな」
そのたびに、陸部とか水部で一部所属の子が泣きそうな表情をして彼女を見てるんですよ・・・誰がどう見ても本気出してませんから・・・
「・・・そりゃそうだよ・・・じゃあ、さっきの185もスパイクじゃなくてスニーカーで飛べるってこと?・・・」
「バッシュだったかもしれぬが、特に陸上用の靴は用意しておらぬ」
「はあ・・・スパイクにして、ちょっと専門のコーチに練習見てもらえば世界記録連発しそうだな・・・」
「まあ、靴があればいいがな。足がデカいのだ。測り方にもよるが、今履いているバッシュも男子用の30か31cmのやつだ」
「あのねぇ・・・そのレベルだったらスポーツ用品のメーカーがやってきて計測してくれて無料で靴を作ってくれるよ?」
「そうなのか?それなら一度は飛んでもいいかもだが・・・普段使いできそうにない靴だから、いいか」
「どういう基準よ!?」
私達にはわかりますよ。ファストファッションの店にいっても女子向けのサイズが無くて悲しい思いをすることがよくありません?
「まあ、あるけどさ」
で、ダブっとした服か、ユニセックスまたは男子用のスポーツ用品、ジャージとかで普段済ませること多くないですか?
「女バスあるあるだろ?175越えたら本当に選択肢がないよな」
さらに10cm以上高いんですよ。で、見てわかるでしょう。この人、手足の比率がおかしいんです。
胴体そのものは私より短いかもしれないくらいしかないんですよ。まあ、ユカはもっと短いですけどね。
ファッション雑誌で見るぶんには「理想的」なんでしょうけど、日常的には不便なんですよ。
「え、そんなにあるの?座ってるとそこまでには・・・」
「ちょっとオレも隣に立ってみたいんだが」「私も確かめたい」
いいですか?マイティさん?
「いつもの事だ。隣に行くぞ」
では、並んでください。
「うわーデケー」「マタの位置がすげー」「想像以上・・・すぎるな」
私達は、こんな風に皆さんが驚く風景ってのも見慣れ過ぎちゃってるんですよ。
「そうかもな」
「本気で冗談みたいに足長いのな・・・これなら重心が上で185をはさみ飛びで飛べるってのも信じていい気がする」
「ヨーロッパの選手ならこんなもんではないのか?」
「まあ、女子の世界記録は確かウクライナの人だったから、そうかもだけど・・・そういやハーフなの?見た目的なところだから、最近じゃ触れないほうがいいかと思ってたんだけど・・・」
それも私達は慣れてます。代理で解説すると、彼女のご両親とも日本国籍でヨーロッパ系のハーフなんですが、彼女は日本生まれ日本育ちの、自称純粋な日本人です。
「は?・・・ハーフとハーフの娘だから、血統的にはだいたいハーフだけど・・・日本国籍の日本人ね・・・なんつーか多様性?・・・今っぽいっちゃぽいね」
「そっちのユカだっけ?金髪ちゃんは?」
「にーほーんじーん~だよっ!染めてるだけ~~」
「ハーフっぽいって言われることない?」
「あるけどー?別に親戚みても家系図見ても外国人は入ってないよ~~」
「そうかぁ。あんたも凄いと思うけどこっちの人がなぁ」
「そうそう~~!!この女のおかげで~、私のハートはー、現在進行形でズタズタなのよ~~!」
ユカも成績も体力も大概なんですけど、超人が同じ学年どころかクラスにいますからね。しかも六年連続ですからね。おかげで、ユカのためにウチの高校では断トツ二位という謎表現が生まれてしまったんです。
「6年連続これと同クラは・・・キッツいだろうな。しかし断トツ二位ね?」
「キッツいよ~~。ふつーに、文武両道の美少女枠のはずだったのにさ~~?」
「自分で言うか?まあ、認めてもいいけど。ただ、プレーヤーとしてはちょっと線が細いよな」
「自覚はしてる~~。でもアタシもバスケのプレーヤーをやるのはこれで最後だからいいの~~」
「うーん。全体的にこのチームから一人しか大学でバスケやんない時点でいろいろもったいなくない?キャプテン?」
「ヨーコ、わかるけど、別に大学で活躍できるかどうかはわかんないし、活躍できたとしてもプロになれるかどうかとか、プロでも活躍できるかは別だから」
「まー、そーだよなー。アタシも大学でやりたいと思ってるけど、まったくセレクション引っ掛かってくれてないしなー」
「リコだっけ?まあ、今日結構なメンツが見てくれたから一発逆転あるかもよ?」
「そうかなぁ?」
「これさー、その二人が異様に頭がいいんでしょ?完全にそいつらが仕掛けたやつ、あんたのためにやってくれたんだと思うよ?」
「一応、アカネ、あんたと事前に約束してあった、予定されていた卒業試合ではあるけどな」
「まあ、そうだけど、たまたま時期がズレたからって、あんなん準備して見にくるように仕掛けるなんてフツーやらないよ?ウィンターリーグ中だったら、そっち見にいっちゃうから、こっちは見にこないもん」
「こいつら、そういうの好きなんだよ。無駄にな。強化合宿までやりやがったからな」
「うん、そういう面倒なヤツラっぽいのは、今、なんとなく理解したけど・・・強化合宿か。それで強かったのもあるのかもね。合宿して強化できるだけでフツーにすごいっちゃすごいんだけどな・・・まあ、期待しないで待ってればいいと思うよ。さっき、判定がBとかCとか言ってたし、どこか一般で受けるんでしょ?」
「まあね。★★とか◆◆は受ける。あといくつか受かりそうなとこな」
「全国トップクラスじゃないけどインカレには出れそうなとこね。いいと思うよ。ウチのヘッドコーチに言っておくよ」
「なんで?」
「来ていた関係者に聞かれてたの。最近あんなゴリ押しタイプは珍しいよなってwww」
「うっは~!!それは確実にリコ~~www」
「うっせー、ユカ!」
「期待はしちゃダメよ。非公式なんだから」
「まあな。でもよろしく頼むわ」




