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ジョージも免許が取れちゃった

「おめでとう!!自家用免許はこれでOKだ!!ジョージ!!」


へ?確かに試験は受けましたが、マイティさんは去年からずーっと飛行時間を増やしていた認識ですが?


「いやいや、彼女は事業用の免許だ。そっちは200時間でもまったく足りないんだが、君のは自家用免許だから40時間以上、普通は60時間くらいで、君はもう64時間の飛行時間がある。計器飛行も夜間飛行もやってるし合格で問題ない。最近ではそうでもなくなった、という話も聞いていたが、やはり日本人は勤勉だな? こっちが勘弁してくれよってほど予約を入れて飛びまくる。まあ、彼女はさらに凄いけどな。うまいことやって300時間はもう飛んだ」


はい、ジョージです。


サンノゼ、ざっくりで言うとシリコンバレー付近ですが、強制的にマイティさんに連れてこられて、車の仮免を取って、飛行機学校に通ってます。


仮免で普通に運転していいってのがちょっとどうなんだと思いますが、世界に名だたるシリコンバレーも、まあ、広いですし、少なくとも大都市じゃないです。広大な面積がないとそういう工場も作れないんでしょうね。部分的には都市()ですし、サンフランシスコの中心部は大都会ですが、サンノゼ周辺は一部を除けば大都会じゃなかったです。


つまり、車がないとどうにもなりません。


マイティさんも僕の仮免の規定時間分は付き合ってくれましたが、飛行学校の時間が合わないときはどうするんだろう?と思っていたら、新しいレンタカーを借りて、「お前はこちらに慣れたのだろうから、お前が使え。私は新しい・・・といっても別に新車じゃないが・・・こっちを使う」と言って、乗って行ってしまいました。

・・・言い方はアレですが、マイティさんにしては優しいほうだと思います。

基本、ハードモードですからね。


そのお陰で、中央高入学時ではまったく不可能だったアメリカ人との普通の会話もできるようになっているわけですし。


教官? 僕はもう自家用機なら操縦してもよいということですか?


「そうだな。地域の管制官と仲良くしておくことが重要だが、自家用機ならOKだ。ネヴァダのカジノでも行っておねーちゃん・・・おっと、彼女がいるんだったな・・・まあ、適当に楽しめばいいだろう?」


教官・・・僕から見たらあなたはグランパ的な感覚はありますが、そういう発言はコンプライアンス的な問題にならないのですか?


「厳密に言えばダメだろうね。まあ、彼女はそういうのは比較的寛容だし、私達も彼女のお金、支払いの寛容さには助けられてる。この一ヶ月半で十万ドル以上を前金で払いこんでもらっているらしい」


あー、札束で殴りつけるのは彼女の得意技なので・・・これって日本の免許に書き換え可能なんでしょうか?


「知らねーよwww。まあ、そういう問い合わせはあるんで需要はあるんだろう? そこは日本にそういうプロがいるはずだから、そっちに問い合わせてくれよ」


承知いたしました。


           ・・・


と、言うわけで、一ヶ月とちょっとで自家用機の免許が取れてしまいました・・・

実際にはアメリカの航空局への申請は三年になってすぐにしてました。

マイティさんが、大量の文書を持ってきて、これにサインしろ、と迫られただけですが。

読まなきゃダメですか?と聞いたら、べつに読まんでもよい、とのことだったのでサインしただけですが、ともかく大量にありました。


その上で、マイティさんもこの夏では厳しいかも、くらいの態度でしたが、夏休み期間としてはギリギリなので予防線を張っていたのかもしれません。


もっとも本当に札束で殴りつけるようなやり方です。


普通は一人の教官と組んで時間を掛けていろいろな技術を習得していくのですが、教官3~4人くらいにお願いして、こちらの時間優先でどんどん学んでいくスタイルです。


実際、最初のころは一日に2時間くらいしか飛べませんでした。

それもそのはず、実際に飛ぶ前に飛行計画の準備、ブリーフィングの実施が必要で、着陸してからもデブリーフィング・・・事後確認ですね・・・、それに機体の点検や書類の提出で、一時間飛ぶために二時間くらいの事前、事後作業が必要だったからです。


また、フライトスクールでも混む日があり、離陸の順番待ちなんかもあったりしました。


教官も大雑把に二種類に別れます。若い人とおじいちゃん的存在です。


若い人はキャリアパスの一つとしてフライトスクールの教官をしてます。

マイティさんがサイパンでやっていた飛行時間稼ぎみたいなのも兼ねているようです。

おじいちゃん的存在は、穏健なほうでは航空会社を定年退職してからのセカンドキャリア、穏健でないほうは何らかのやらかしをしてしまい、退職せざるを得なかった人です。


ここはほとんどが定年退職組と聞いてます。


若い人はやる気も体力もあるので、午前と午後、場合によっては夜間飛行まで付き合ってくれるというメリットがあります。


おじいちゃんは体力的にはやっぱりイマイチですが、長年の経験と勘から来るノウハウ、みたいなものを教えてくれることもあり、別の意味で頼りになる存在です。


なので、あれこれ組み合わせて目一杯のフライトスケジュールを入れるという強引かついつも通りのやり方wwです。


で、現地の自宅・・・彼女の実家の会社、HLS で借りているようなのですが・・・そこには三画面フライトシミュレータがどどんと有ります。


もちろん、PCベースのもので航空会社がパイロット育成に使うようなものから比べればショボいのでしょうけど、実機で飛んだあとに、シミュレーターで、ワザと失速するような操作をする、など、実機ではできない危険な操作を敢えてすることで、やったらダメな操作を学ぶというのが彼女流の急速上達法です。


僕もやらせてもらってますが、確かに上手くなる気がします。

実際、教官にも覚えが早い、速すぎないか?と誉めて?もらいました。


彼女のやっているのを後ろで見ていると、第二次世界大戦のときの空戦パイロット?みたいな変態機動を延々とやっています。


こんな機動、実機でできるんですか?


「うむ。判定は一番辛くしてあるので、実機のほうが失速したり墜落したりしづらい。だが、これは流石にフライトスクールで、隣に教官が乗っている時にはできない」


マイティさんは単独飛行のほうが多いですよね?


「まあな。空港から見えないところでやってはいる。本当に落ちては困るので、安全なほうから試しているが、今のところ問題ないな。だからと言って油断すると危険なので、事前に Upset Prevention and Recovery Training (UPRT) 講座というのも受けた」


なんですかそれ?


「アクロバット飛行入門、みたいなものだ」


直訳すると、動揺の予防と回復トレーニングですか?飛行機が異常な状態になったときの回復させる方法ということですね・・・なるほど、ワザとそれをすればアクロバット飛行になるわけなんですね。


「その認識でよろしい。このフライトスクールなら自家用免許が取れたら受けられるから、受けておけ。基本的に役に立つものだ」


わかりました。

           ・・・


そんな感じで、自家用機の免許と、車の免許を取得し、帰国しました。

UPRT 講座も受け、実機での演習もしました。

もっとも、本当のアクロバット飛行講座はもっともっと飛行時間を積み重ねないと受けられないそうです。


ギリギリまで粘ったので、帰国翌日から学校です。正直眠いですが、ともかく日本時間に合わせろ、というマイティさんからの教えで、今日の夜までは寝ない方針です。


           ・・・


「おー、ジョージー、おはよーー」


今日も眠そうですね、ユカさん。


「一言めー、が、それかー? お前こそ眠そーだぞー?」


はい、まだ時差が取れてないというか、そんな感じです。


「そーかそーかー、お前らはー、授業とかー、試験勉強とかー、関係無いからなー」


関係無いわけじゃないです。成績を維持しないと僕の場合は入学が無しになるかもしれませんから。


「そーなのかー?」


そう脅されてます。


「ふーん、マイちゃんはー?」


彼女は大丈夫でしょう。でもまあ、試験勉強はともかく、別のことで何か学習しまくると思いますが。


「まーー、そーだろなーー。飛行機の試験は受かったのかー」


はい。ただ、今すぐ日本で飛ぶのはできず、色々と行政的な手続があるそうです。


「ジョージはもう18だろー? 車の免許は取ったのかー?」


アメリカ、正確にはカリフォルニア州の免許は取れましたが、日本のは未だです。


「順番逆な上ー、まだなのかよー」


はい。日本の教習所で取るつもりです。一応国際免許の申請も可能なんですが、現在ではカリフォルニアに在住していないので難しいかと。


「まーいーやーー。あ、放課後、理学部集合なー。いつもの準備室ー」


あ・・・行ってしまいました。きっと今のが本題なんでしょうね。


眠いのに放課後理学部活動確定です。きっと良いことがあるに違いありません。

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