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新インターンの宮古さんと小笠原くん③

えっ、どういう意味ですか?お嬢様って大学合格確実とかじゃなくて?


「そういうレベルじゃない。すでに教授に博士論文を見てもらっているレベル。で、高三だからって理由で査読を通してあげらないって言われてるレベル」


えっ・・・大学入学もしてないのに博士論文ですか?いろいろおかしくないですか?


「おかしいけど、それがお嬢の普通。全然普通じゃないけどさ。たとえばさ、アタシも七年前、インターンの後期延長、実質的には内定ってことね、そのときに当時小学生のお嬢にフランス語で修士論文の内容が甘いって詰められたのよ」


ちょっとまってください、葵さんも理系ですよね?論文は日本語か英語じゃないですか?


「英語だったよ。ちょっとフランスに関係しているってのと、一応フランス語も日常会話くらいはできるよってエントリーシートに書いちゃったから。でも完璧に理解されてたわ」


えーと、葵さんの専攻は何でしょう。


「学際領域だけど、高校とかの科目で言えば地学と物理かな。イチカちゃんは?」


ああ、それでフランスが関係あったと。私は物性物理ですが、修論は理論物理学っぽくなる予定です。


「おーー、それは詰められるなwww。しかも超早口のドイツ語でwww」


勘弁してくださいよ・・・ドイツ語なんて文章やら簡単な会話だったらギリちょっとわかるくらいで早口だとまったく聞き取れませんよ・・・

って、何か国語話せるんですか、お嬢様は。


「それFAQ~。英語やスペイン語は何か国語だ?と聞き返されるやつ~」


あーーーそういう・・・じゃあ、何言語って聞けばいいんでしょうか?


「本人曰く、約200言語。私に言わせりゃそれ以上」


そんなに言語ありましたっけ・・・


「あるけど。数え方ね。例えば英語。イギリス英語とアメリカ英語はそれなりに違うし、イギリスなんて方言だらけ。アメリカだって方言もあるし、ワシントンDC風の気取った英語、ニューヨークのビジネス英語、シリコンバレーの砕けまくった英語、フランス語もドイツ語も方言だらけだよね。最近のヨーロッパでは地域言語っていって尊重すべき存在ってことになってるみたいだね」


まあ、聞いたことあります。


「お嬢は英語だけでもいくつ話せるかわからないよ?イギリスはBBC英語、ロンドン風、オックスフォード風、スコットランド風の英語と別にウェールズ語とスコットランド語が話せる。アメリカはさっきの三つとCNN風っていってたかな」


それはすごいですね・・・発音もすごいんですか。


「声だけならネイティブだね。それだけじゃなくてフランス語が母語の人のしゃべる英語、ドイツ語の人が以下同文、スペインの以下同文、そして日本語の以下同文が話せるのは確認ずみ」


・・・なんですかそれ?


「ドイツ人とフランス人と日本人が会議で会話するんなら英語しかないじゃん?」


まあ、そうなるでしょう。


「日本人もそうだけど、あっちの人も英語は必要にかられてしゃべるけどそれほど得意じゃない人がいるの」


いますよね。私もですが。


「綺麗な英語が通じないな、と思うと、例えば日本人には日本人がしゃべりそうな発音と文法で話すわけ。それなら聞き取れるし、他の人にも『英語で話している』ってのは伝わるよね?」


はい。・・・ってそれを全員にやるんですか?フランス人ってそういうのされるとムカつく人多いじゃないですか?偏見ですかね?


「それを封じるために最初にフランス人には高速フランス語を浴びせかけて、フランス語ができるからってのを見せ付けとくの」


なるほど・・・さらにちょっと待ってください。7年前、小学生って言ってましたよね・・・えーと・・・小五ということですか?


それで地学と物理の学際領域の修士論文を読んで理解するって天才にしても天才すぎません?

葵さんもよく小学生に詰められてムカつきませんでしたね・・・


「見た目は今と大差ない。今は・・・190はないと思うけど・・・当時も今のイチカちゃんくらいの大きさだったし、メイクもできてたから小学生にはまったく見えなかったんだよ」


ああ、たまに大きくて大人びた小学生とかいることはいますね。私も近いものがありましたが・・・でも小五で理系の英語で書いた修士論文をフランス語で論ずるのは・・・絶対無理でしたね。


「だよね。アタシも天才高校生か、と思ってた。当時は胸も小さめだったし」


ということは今はバインバインとか・・・


「だねww」


まあ、スタイルは置いといて、ということは言語学か何かの博士論文ですか?人文系の博士論文はものすごく大変らしいじゃないですか。


「数論だよ。あと考古学と工学にも手を出している」


げっ、数学ですか・・・


「物理やってんだから、大学二年までの数学はバッチリでしょ?」


バッチリの定義にもよりますが、偏微分とか行列演算とかまでなら。あと物理計算にはコンピュータ使うの前提なら。


「私もそんなもん。つまり・・・」


見てもまったくわからない、と。


「そのとおり。英語を読みとることすら難しい」


何を書いているのかわかりませんよね・・・修士レベルでもそうだったのに博士レベルですか・・・哲学だって言われても、そうなんだって思いますよ。


「数学科は人生おかしくしちゃうやつ多いよね・・・偏見だけど」


同意します。私も偏見だけど。まあ四卒か修士でやめとけば普通に就職できますよ。


「そうだねww。博士課程に行かなければ平和に卒業できるね。でもそんなんやってんのよ。ウチのお嬢は。ね?」


恐しいですね。それも小五のころからですか?


「流石に無理だったみたいで、中一の冬から。それでも異常だけどね」


えと・・・四年半ですか・・・数学の博士論文と思えば、長すぎるってことはないでしょうね。わかりませんが。


「わかんないけど私もそう思うww」


「あのーー、すみません・・・」


あ、小笠原さん、


「宮古さんが戻ってこないので、少々心配になって来てしまいました」


「ごめーん。ダベりすぎただけーー」


葵さん・・・そういえば業務時間中ですよね。大丈夫ですか?


「大丈夫大丈夫! 今の私は人事兼総務的存在だから、今はあなたたちのケアが仕事だし?」


え、セールスSEじゃないんですか?


「ちょうどいいから説明するよ。あっちの会議室にいこう。さっきの匂いが残ってないといいけど・・・」


そこまでやってないですよ!!「・・・」


           ・・・


葵さん、よろしくお願いいたします。


「はいはいーー。私達の職務は基本的にセールスSEです。システムセールスと、企画設計構築運用、まあ、運用は運用設計までで、お客様運用か、別のアウトソース会社に振るかになります」


はい。


「よって、プログラミングもしないことないですが、ドキュメントやプレゼンを書いている時間のほうがずっと長いです。なので理系でドキュメントの読み書きをしないと卒業が難しい理系修士を新卒採用してます」


わかります。でもプログラミングの経験は不要なんですか?

まあ、実習とかで少しはやってますが・・・小笠原さんはどうですか?


「僕も学校の実習程度ですね。苦手ではなかった記憶はあります」


「それで充分。この会社の特色は『身に付けられる技術』という考え方。プログラミングは『容易に身に付けられる技術』と定義されてます。女子ならお化粧とか、色気とかもそういう技術の一つになってます。そっちのほうが難しい」


まあ、理系女子として、なんとなく理解します。

でもそれって必要ですか?


「建前としては不要だけど、あって無駄になるものじゃない。お客様は圧倒的に男性が多いからね。50:50を49.5:50.5にするくらいはできる。どう?小笠原くん」


「まあ、今の社会では言わないほうがよいと思いますが、全く同じ内容で、プレゼンしている人が内容をしっかり理解できていることを確認できるのなら、美人のほうが有利でしょうね」


まあ、わからなくはないです。でも、実績とかは言われませんか?


「そこはもう大丈夫。弊社は既に実績15年以上。しかも最初から男女同数採用で理系修士以上だけだから、ウチが提案に来ればしっかり基礎のできた若い女子が来るということにはだいたいどのお客様も慣れているし、それを見るのが楽しみでウチに提案依頼を出してくるとしか思えない官公庁や市町村もあるよ」


まあ・・・それはどうかと思わなくもないですが、受注に繋がるのであれば・・・でも女子ばかりだとナメられませんか?


「そこで小笠原くんのようなゴツ目の男子と組ませるわけだ。優秀な女子もウッと詰まるような質問を受けたときには自分より大き目の男子に頼っているという構図は中高年男性にも受ける」


確かに・・・私もそれなりに大きいですが、小笠原さんならヒールを履いてもまだ10cmくらい大きいですからね。

本当に使えるものは何でも使え、なんですね。


「もちろん。ステレオタイプ、世間の目、上の世代の常識と、今はそれを打破したほうが今っぽいという風潮。使えるものは何でも使うのがウチのやりかただ」


はい。


「で、人事とか総務とか経理って普通は別に部署があるんだけど、ウチでは持ち回りで順番が回ってくる」


へ?


「極論すれば、エンタープライズシステム開発ってのは最終的には経理・会計につながっちゃうの」


そうなんですね・・・


「あと、ERP とかCRM とかやってくと会社の仕組みを根本的に知ってる必要があるわけ」


なるほど・・・その略語がよくわかりませんが・・・


「そして、一般的な会社では営業とSEが分かれているけどウチでは一緒」


はい。それは思ってました。


「なんで、バックエンド業務も全員が理解する必要があるってことでみんなで交代でやるわけ。人事兼総務はワタシは二度目、二周目なの」


そういえば面接なんかも慣れてましたね。


「まあ、あれはAIのおかげもある。エントリーシートを読ますと、こういう質問をして、こういう答えが返ってきたらさらにこういう質問はどお?とか教えてくれるし」


そこまでAIでできるんですね。


「まー、最終的な判断は人間だけどね。そこに至る道筋を明らかにしてくれるという意味ではとっても便利。そういう仕組みは随所にあるから、どの業務だとしても、あなたたちもすぐできるようになる」


・・・すぐにはできるようにならないと思いますが勉強してなるべく早くできるようになります。小笠原さんもお願いしますね。


「もちろんです。こちらこそお願いします」


「頼むよー。ウチは高給とはいいがたいが、手取りの半分は余裕で貯金や投資に回せるからなー」


ですけど、寮費、最初思ったのは福利厚生が売りのわりには安くはないな、でしたよ?


「うん。安いとは言えない。実は創業のころは安すぎて、税務署と揉めたらしい」


税務署ですか。それは揉めたくないですね。


「なので、社長も徹底的に税務署とやりあって、寮費はそのへんのアパートと比べても安いとは言えないけど、食事やら設備やらなんやらでトータルで割安にしたってさ」


三食出ますから・・・一月5万でしたっけ?インターンでも寮費必要なのはちょっと驚きましたが、トータルでは安いですね。なんつってもメッチャメシが旨い!!びっくりですよ。プールやジムにもびっくりです。


「300円でも30日90食と考えると27000円だからねー。まー、この水準になったのはここ二年くらいだけどさ」


そうなんですか?


「そう、お嬢の彼氏の母が全てを改革したんよ」


繋がりませんが・・・


「165cmくらいの超エロい見た目の女子社員は見てるっしょ?」


あー、なんとなく。小笠原くんはどう?


「見てますね」


興奮する?


「しないことはないですが、もし、するとしたら、体格差で潰してしまうんじゃないかと不安になります」


「それがさー、お嬢の彼氏の母。まあ、これもヘンだけど」


そうなんですね。


「いや、ヘンですよ・・・あの人の子供が高校生なんですか?」


そういえば・・・アラサーくらいの白ギャルに見えますもん。


「で、異常なほどに当たりがやわらかめのジョージはわかる?」


まあ、デカい若い男子がいましたね。彼がジョージですか?


「そう。小笠原くんはお嬢、マイティさんとも会話したらしいと聞いてるけど?」


「あーーー、社長の娘さんですね。社長とは大学が一緒なので・・・でもあれは会話ですかね?」


どういうこと?


「イチカさん、僕も名前で呼んでいいですか?」


いいですよ。


「投げられました」


は?


「まだ、僕は筋肉ダルマ、120kgくらいあるときに、こっちは大学3年くらいかなぁ・当時高一くらいですかね。彼女は」


「だね。投げられたってのは初耳なんだけど」


「あれはすごい体験でした。お嬢さんは当時、マックス増量でも多分75kgくらい? 見た目はモデルかってスタイルでしたし、美人だけど背は高くて筋肉質なのを見てとれましたから、重さ自体は女子としては重いんでしょうが・・・体重1.5倍はあるであろう僕が片腕でぶん投げられましたからね・・・」


えっ・・・そんなん可能なの?


「僕だってそう思ったですよ。軽い脳震盪になったみたいで、詳細な記憶はすっとんでます。ああ、ヒール履いてんだ、じゃ、オレよりちょっと低いってことか、とは思ったのは覚えています」


・・・えーと・・・見た目では小笠原くんと同じくらいだったってことでいいのかしら・・・大きいわね・・・

てゆーかヒールでこのデカいのを投げるって、どうやったらできんだよ!!

しかも片腕で?コワっ!!!


「片腕でボディースラムをくらったのは・・・たぶん事実。結構昔はトガっていたから・・・気にくわないこと言ったんじゃない?」


「・・・そうですね・・・当時は僕も増長してテングになっていたと思います。

結構な距離があったはずなのに、いつの間にか目の前にいて、『やばっ怒らしたか?』と思ったら、お空が見えました・・・」


葵さん・・・お嬢、お嬢様って・・・

てゆーか、それヒールで動けるものなんですか?


「お嬢なら、一般人には不可能そうなことでも大抵できる。まー、手加減はしてたと思うよ?死んでないからいいんじゃね?私もしらんけどヤクザの事務所にステゴロ仕掛けたのもホントらしいし?」


無茶苦茶ですね・・・本当だとしたら・・・


「聞いてんのは噂だけだけど?。仕掛けたのは中学生のころ、少年法に守られていたころだと思うよ」


「僕もそれ以降、他の要因もありましたが、より謙虚になれたと思います」


・・・お嬢様は社長より恐い存在かもしれない、ってことは承知したしました。


で、見た目は抜群にいいと・・・反則じゃないですか。


「それがお嬢www」

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