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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第三章

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84/90

魅了の魔眼というらしい


「えーと、つまり、迷惑していると?」

「そうなんですー!」

「ソナルクさんには本命の人がいるから?」

「まあそう言えなくもありませんが本命という言葉はどうでしょうか別に嫌ではありませんがその言い方は少々異議があると言いますかもちろんお慕いしていると言っても過言ではないんですけどちょっといいなと思っているだけで本命というのは相手にも失礼になるかと思いますし――」

「ソナルクさん、落ち着こう?」


 ここまで話を聞きだすのに手間取ったけど、ソナルクさん、なにか本命の人がいるみたい。普段おっとりとした話し方なのに、その人のことになると饒舌を通り越して高速詠唱。断片的に聞き取った情報から考えて同じ錬金術師ギルドの人みたい。なんでも魔力の扱いが丁寧で正確、魔力量的にはソナルクさんよりも少ないけど、尊敬できる先輩という感じらしい。現在は仕事の話をするくらいで一緒に食事に行ったことはないとか……ここまで聞きだすのにフライドポテトが大量に消費されたよ……。


 そしてお付き合いをしたいと言ってきた商人ギルドの人は押しが強いけど、明らかにソナルクさんが好きとかじゃなくて、ソナルクさんが作り出す化粧品が欲しいだけだとか。ソナルクさん、この国への護衛で騙されたからね。しかもその護衛たち、ソナルクさんがすごい化粧品が作れることが分かったら恥知らずにも改めてパーティに迎えようとしたとか。断ったらしいけど、その辺りからソナルクさんも相手の悪意というかいいように使う気だなという気配が分かるようになったとか。護衛のパーティに騙されたこともまったく意味がなかったわけじゃないってことだ。


 そんで商人ギルドの人にはしっかり断っているけどかなりしつこいらしい。まあ、恋愛的な理由じゃないなら諦める理由にならないからね。それに商人から見たらどう考えてもソナルクさんは金がなる木、見逃す手はないだろう。


「私だけならまだ無視してればいいんですけど……」

「ソナルクさんだけなら?」

「どう考えてもマリアさんへの伝手を得たいとも考えているようでして」

「え? 私?」

「化粧品がマリアさんからの情報だって分かってるみたいです。積極的に言ってるわけじゃないんですけど、石鹸レシピを公開した人の名前は残りますから、そこから調べたみたいですね」


 それはそうか。石鹸のレシピを公開することでソナルクさんが危険な目に遭わないようにしたし。一部の化粧品は非公開だから、こんなことになってるけど。


「私にもマリアちゃんを紹介してほしい的な話があるわよ」

「そうなんですか?」

「うん、でも、ウチの場合はそんなことがあると冒険者の皆がすぐに注意するから大丈夫。そう言ってくるのは外部の人達だけね」


 なんでもこの冒険者ギルドに所属している冒険者さんたちは私に感謝しているようで、流れの冒険者なんかが私を探ろうとするとすぐさまお説教が始まるとか。さらに、私はギルド所属じゃないのに、ギルドを通して私に何かを依頼しようとするようなこともあったらしい。そういうのは大聖堂に行けばいいと思うけど、教団よりも冒険者ギルドの方が緩いと思われているみたいだ。


 なんだか色々なところに迷惑をかけてるね。これは私の悪女っぷりが足りないってことか。いや、悪女だろうとなんだろうと伝手さえあればやりこめると思われてんのかな。舐められたもんよ……!


 でも、私のところへ直接そんなことを言いに来たのっていないような? ガズ兄ちゃんのお店にいた副店長さんが直接教会に来たくらいかな。これってもしかしてリュートちゃん達のおかげなのかも……あれ? そういえば、ソナルクさんのところにも護衛を付けるとか言ってなかったっけ?


「リュートちゃん、いる?」

「ここにおります」


 何もない場所からリュートちゃんがスッと出てきた。私はもう慣れたけど、ルルさんもソナルクさんもかなりびっくりしているみたいだ。そりゃそうだよね。気配を完全に絶った状態で壁の近くにいるって言うんだから。しかもまだまだ鍛錬が足りないとか。一体、何かリュートちゃん達をそこまでさせるんだろう……?


 おっと、それよりも確認だ。


「私に接触するような人たちっていたりする?」

「それはもうたくさんおります」

「私は会ってないけど、どうなってるのかな?」

「…………話し合いで解決しております」


 沈黙が長いよ。どう考えても「話し合い(物理)」だよ。物理ならまだしも、「話し合い(暗殺)」とかだったらどうしよう。怖くて聞けない。


「それと話を聞かせていただきましたが、ソナルク様、申し訳ありません」

「えっと、なぜ謝ってるんです? というか、どちら様でしたっけ? マリアさんのお友達……?」

「お友達認定もされておりますが、私はマリア様の護衛です。そして私の仲間がルル様やソナルク様を護衛しておりまして」

「ええ?」

「え? そうなの?」


 そういえば二人には黙って護衛してたんだっけ?


「黙って護衛など大変ご不快であることは承知しておりますが、今やマリア様はこの国にとって大事な方、そのマリア様のご友人とも言えるお二人には国から護衛を付けさせていただいております」

「あー、そういうことでしたかー」

「確かにそれじゃ仕方ないかもね」


 なんで二人とも納得しているのか分からないけど、別にいいならいいのかな。でも、リュートちゃんはソナルクさんに謝ったんだろう?


「話を戻しますが、今回ソナルク様に近づいた人物は我々の守りを突破した者です。申し訳ございません」

「そうなんですか……?」

「はい、どうやら何かの魔道具を使っているようで我々が止める前にソナルク様に接触しました。何の魔道具なのかなど、状況が分かっておりませんので現時点でも対策がとれておりません」

「そうだったんですか」

「はい、ただ、一つだけご注意願いたいことが」

「注意? なんでしょう?」

「あの者の目を見てはいけません。つい昨日分かったのですが、どうやら見つめた相手の思考力を低下させるような魔法が使われているようで、それでのし上がった商人の様です。魔力があるソナルク様には効き目が薄いのですが、それでも何度も目を見ていると効果が出てしまう可能性が高いと」

「……! わ、分かりました、注意します!」

「あの、マリア様がよろしければ……」

「え? 何?」

「ええと、その、話し合い、をしてきますが……」

「その話し合いは止めておこうか」

「……はい」


 どう考えても、手や足が出る話し合いだよね。この国に来た商人はすぐに消息不明になるとかいう噂になったら困るし、そういうことはしないでもらおう。しかし、この国は色々あるね。他国からみたら結構な小国なのに、最近まではルガ王国に狙われていたし。まあ、あれは辺境にある鉱山の資源をねらってたわけだけど。でも、今度はエスカリテ様の知識と言うか、私狙いか。巫女はつれぇぜ。


 信仰心を稼がなくちゃいけないのに有名になり過ぎると面倒が増えるのか。ディアナさんは上手くやってたのかな。戦神様なんて誰もが知っているほどの有名な神様だもんね、接触も多そう。あんな風に傲慢に振る舞うのも一種の防衛なのかな。今度教えてもらおう。


 でも、これって恋愛相談じゃないよね。エスカリテ様は静かになっちゃったし、ご不満かな?


『エスカリテ様、内容がご不満だとは思いますが――』

『え? 別に不満じゃないわよ。商人の方はなんだぁと思ったけど、同じ職場の先輩に対するソナルクちゃんの想い、これはリアタイで見ないと! それでも事後報告だろうけどライブ感は大事! 今度、その男性の方を見に行きましょう! 今後の展開を予測しないと! データ! データが必要よ!』


 楽しそうで何より。でも、どこでそういう言葉を覚えてくるのか、今度はアニメ視聴みたいなことを言い出した。


『いやいや、それも大事だけど、そうじゃないのよ。その商人のことなんだけど』

『え? 何かありました?』

『もしかして魅了の魔眼という神器を使ってるんじゃないかしら。もしかしたらその劣化版かもしれないけど』

『魅了の魔眼……?』

『相手を惚れさせるような目を持つことができる神器ね。目を見て話しをしているだけで、好感度が上がるような物なんだけど』

『また変なものを作りましたね』

『そうなのよ! 作ってどうなるかは二の次で、作れるから作った的なことを言う奴なの! アイツは悪い神だ!』


 ただの想像だけど、技術だけににこだわって予算とか役に立つとかそんなことは度外視して変なものを作る職人とかどこかにいそう。そういう人が歴史を動かしちゃう気もするけど。


 しかし、好感度が上がっていく神器ねぇ。もしくはその劣化版……人が作った魔道具とかかな。魔法がある世界だから、それがズルとは言わないけど、なんか悲しいね。商人は話術や商品で相手を説得するもんじゃないのかな。そもそも、商人として大成したいわけじゃなくて、単にお金儲けしたいだけか。


『ということでその商人の持っている物を破壊しましょう』

『いきなり過激すぎません?』

『そういうのを使うのはカプくない。そんな神器や魔道具は世から消えないと』


 ものすごく冷めた口調で言ったね。これは本気だ。


 とはいえ、今回はエスカリテ様に大賛成。ソナルクさんに迷惑をかけている時点で私の敵だ。どうやら相手は私への伝手が欲しいみたいだし、ここは私を囮にして商人が持っているという神器だか魔道具だかを破壊しちゃおう。私の知り合いに変なことをすればこうなるぞって事例を作っておかないとね。


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