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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第三章

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友達の恋愛相談を受けよう


「え? やばいんだけど。可愛すぎない?」

「私はウサギがいいと思う!」

「ハムスターに敵うものなし!」

「それもすごいが、この饅頭の猫もすごくないか?」

「わかる!」

「それな!」

「やばいよ、食べられないよ……! なんて罪深い食べ物……!」


 ガズ兄ちゃんにお土産を渡して、オムライスのお絵かき技術を教えた翌日、お店でその成果とお土産のお饅頭を見せたところ、畜産場の三姉妹さんと店長さんや店員さんがが大絶賛してくれた。


 私のケチャップさばきはそうでもないんだけど、ガズ兄ちゃんは芸術的センスもあるのでオムライスに描かれた動物たちは滅茶苦茶可愛い。パティシエっぽい料理人を目指しているだけあるよ。味以上に見た目も気にするから、センスが必要だろうね。


 しかもケチャップのお絵かきは結構色々な応用がきくっぽい。ガズ兄ちゃんはケチャップじゃなくて、チョコレートでケーキに絵や文字を書く練習を始めた。それに生クリームに色を付けるとか、キャラ弁の概念を教えただけで別のことをやり出しちゃったよ。なんか華やかなケーキを作るとか、これまた変なスイッチを入れちゃったね。我が兄ながら、その貪欲さが恐ろしい……!


 店長さんも「こりゃ、ガズが独立する日も近いか?」と言い出した。いままでも結構すごかったらしいけど、最近のガズ兄ちゃんは料理人としての実力がメキメキ上がっているらしい。私も鼻が高いよ。こういうのってちょっとしたきっかけで伸びる人もいるからね。


 しかし、ガズ兄ちゃん、料理人としての腕もたしかなら、見た目と相まってモテモテなのでは?


 その辺りを三姉妹さん達に声を小さくして聞くと、モテモテなのは間違いないけど、本人がストイック過ぎて誰も相手にしていないらしい。ただ、冷たくあしらうとかではなくてやんわりとお断りを入れているとか。やれやれ、断り方まで紳士かい。こういうのって天性のものなのかね。ウチのお兄ちゃんはスペックが高すぎて妹としては困るよ。


 おっと、そろそろ開店の時間かな。皆のところへお土産を渡しに行かないといけないし、そろそろお暇するか。


「それじゃガズ兄ちゃん、もう行くね」

「おう、ありがとうな、これで料理の幅が広がったと思う。それに焼印も助かる」

「お気に入りだから大事に使ってね。じゃ、辺境へ帰る日は改めて連絡するから」

「分かった。調整に無理を言いたくないから早めに連絡くれ」

「りょーかーい。それじゃ皆さん、またー」


 店長さんや店員さん、それに三姉妹の皆さんに挨拶してからお店を出る……おおう、すでに順番待ちしているカップルや女の子同士のお友達が多いよ。結構お歳を召したご夫婦もいらっしゃるから、前に来てた常連さんかな。これは王都で一番の飲食店になっちゃったかも。


『マリアちゃん! ここはもう少しお店にいた方が良いんじゃないかな!?』

『さて、次はカフェ&バーに行きますか』

『無視は良くないと思います! 女神だって泣くんだよ!』

『カップルを見るのもいいんですけど、まずはやることをやってからです』

『マリアちゃん、私の巫女なのに、なんでそうしっかり者なのかなぁ……』

『それ、エスカリテ様がしっかりものじゃないって言ってません?』


 エスカリテ様の家とか酷いことになってないよね? 片付けられない人って言うか神様もいるみたいだし、なんかごちゃごちゃしてそう。まあ、私の場合、しっかりしていると言うよりは、どうせやるんだし、先にやるべきことをやっておきたいって気持ちなだけだから、しっかりしているわけじゃないんだけどね。


 おっと、そんなことはどうでもいいや。今日はやることがいっぱいだし、サクッと知り合いのところを回るぞ。




『冒険者ギルドが最後なのね?』

『まあ色々ありまして、ここが一番時間がかかりそうなのですよね』

『邪神像とか? 確かにいっぱいありそう』

『あー、それもありましたね』


 冒険者ギルドではお土産を渡す以外にも色々やらなくちゃいけないことがある。それにこに時間帯ならソナルクさんがルルさんと一緒に食事をする時間だと聞いたこともあるからちょうどいい。色々やってもらいたいこともあるから、時間をかけて交渉しようじゃないの。


 お昼を少しずらしているけど、ギルドは相変わらず人が多い。教皇様の歓迎式典が終わったからちょっと前よりはずいぶんと落ち着いたかな。結構他国の冒険者も多かったけど、国に帰ったのかもしれないね。ソナルクさんはこっちに永住するみたいだし、申請を出したとか聞いた……執事さんがものすごい早さで処理しそうだ。


 お、ソナルクさんとルルさんがいた。


 はて? ソナルクさん、しょんぼりしている感じ?  何かあったのかな?


「ルルさん、ソナルクさん」

「あ、マリアちゃん、おかえり!」

「マリアさん、おかえりなさいー」

「ただいま帰りました。相席してもいいですか?」

「もちろんよ。遠慮なく座って」


 ルルさんが笑顔で席に座らせてくれた。ソナルクさんも普通に笑顔で「どうぞどうぞ」と言ってくれた。さっきのしょんぼりした顔は何だったんだろう? なにか相談中だったのかな? とりあえず、お土産を渡しておこう。お昼を食べ終わった後のデザートとしてお饅頭を食べてもらうのもありだ。


「これ、お土産です。美味しいので是非食べてください」


 ガズ兄ちゃんの話によると、エスカリテ様から何かを出してもらうのは秘密にした方がいいということで、わざわざカバンから取り出す振りをしながら出すことになった。そもそも人前であんな風には出さないつもりだったけど、普段からやっておいた方が良いということでさっそく実践。


 お饅頭は一人五個とちょっと少ないけど、エスカリテ様から取り出したら日持ちしないし、仕方ないね。


「これって何――猫ちゃん!?」

「わあ、可愛い!」


 やはり女性には受けがいい。猫と犬は鉄板。どっちも嫌いなんて奴はいない……はず。そして両方好きな人はいる。世界の半数以上は喜ぶってもんよ。


 ……でも、すぐにソナルクさんの方は喜んだのも束の間、ため息をついちゃったよ。何かあったのかな? 結構心配。


「ソナルクさん、元気がないように見えますけど、お仕事が大変なんですか?」

「え? いえいえ! お仕事ですっごく感謝されるようになってやりがいもありますし、全然大変じゃないですー!」

「それじゃ、お仕事以外で何か悩み事でも?」


 めちゃくちゃ図星って顔をした。しかも大きめのまん丸眼鏡が過去最高にずれた。これは先に相談に乗った方がいいかな?


「マリアちゃんに相談してみたら?」

「え? こんなことを?」


 ルルさんは知っているってこと? 私が聖国へ行く前はなんでもなかったわけだし、何があったんだろう?


「私で良かったらなんでも伺いますよ」

「ちょ、ちょっと待ってくださいね! すみません! フライドポテト、特盛で!」


 景気づけなのか、気合をいれるためなのか、ソナルクさんが大好きなポテトが山盛りでテーブルの上に置かれた。ソナルクさんはそれを両手で一本ずつ取って交互に食べる。なにか鬼気迫る物があるけど、大丈夫かな?


 そして半分ほど食べてから、水を一気に飲み、コップをテーブルに置いた。


「マリアさん、聞いてくださいー!」

「は、はい、なんでしょう?」


 勢いとは裏腹にソナルクさんの声は小さい。必然的に私とルルさんもテーブルの上で顔を寄せ合った。


「じ、実は――」

「実は?」

「商人ギルドの人からお付き合いしてほしいって言われまして……」


 ガタンと椅子が転げるような音が聞こえた……と思ったら頭の中に響いただけだ。


『マ、マリアちゃん! お、落ち、落ち着いて! 深呼吸! 深呼吸しないと!』

『いや、エスカリテ様が落ち着いてください』

『来た! 来た来た来た! 私の中のカプチュウが騒いだ通り!』

『あー、そういえば、そんなこと言ってましたね』

『足! 足つかってこ! まずは距離測って! 大事なのは間合いだから!』

『なんかの格闘技でも見てるんですか?』


 確かに恋愛はあらゆる駆け引きが必要な格闘技とも言えるけどさ。それはともかく、ソナルクさんがあまり楽しそうじゃないのが引っかかるね。それに商人ギルドの人? なにか訳ありかも。ここはカプチュウの女神であるエスカリテ様の巫女としてではなく、お友達としてちゃんと聞いてあげないとね。


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