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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第三章

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75/90

護衛されよう


「司祭様はお仕事かぁ。それじゃ、二人で買い食いでもしようか」

「はい。軍資金は頂きましたので、いくら食べても大丈夫です」

「司祭様も奮発したなぁ」

「司祭様が女性には何がお詫びになるのかと悩んでいたので、食料と伝えたところ、大量の資金をくださいました」

「正しいけど、間違っている気もするね」

「腹が減っては戦はできぬ、それは恋愛ごとにも通用するらしいです」

「それは正しい。でも、なんで恋愛の話?」

「……それは内緒です」


 内緒、それは小悪魔にだけに許される言葉……私が言っても呆れられるだけなんだぞ。それはいいとして司祭様、お仕事で来れないらしい。約束があるときに限って仕事が発生するという罠は異世界でもあるんだね。その日は約束があるって言ってんのになぜかトラブルが発生するというお約束。なめとんのか。


 おっと、そんな前世のことを思い出して嫌な気分になっている場合じゃない。司祭様はお仕事だから仕方ないよね。事情は分からないけど優先度が高いお仕事なんだろう。食事なんていつでもできる。恋人の関係だったらまた違うだろうけど、司祭様とはそんなんじゃないしね。


 とまあ、私としては別にいいんだけど、エスカリテ様がなぁ。


『はい、マイナス七億点! ダメダメのダメ!』

『それ、何点満点です?』

『もちろん百点満点よ! 評価に上限はあっても下限はないの!』

『それは分かりますけど』


 司祭様が来れないってことで怒っているのがエスカリテ様だ。初ごめん待ったはさせないと意気込んでいたところで、見えない護衛さんから司祭様が仕事で来れないと連絡が来たら大激怒ですよ。本人よりも怒ってくれているから逆に冷静になれるね。


『司祭様だってわざとじゃないんですから』

『でもさー、これはマリアちゃんとの約束を軽んじてるってことでしょ!?』

『お仕事が大変なんですよ』


 ここは教団の本部とも言うべき場所だからね。他国の王子だとはいっても司祭という職に就いている以上、教団からの命令には従わないと。むしろ安心したね。司祭様が仕事を放り出して私との食事を優先するような人ならちょっと軽蔑だ。それにお詫びとして軍資金をたくさんくれたみたいだし、また今度ってことでいいじゃんね。


『大した用事でもないんですから、お仕事優先ですよ』

『……それはそれであの子に同情しちゃうわね……』

『なんで急に同情的に?』


 私と食事なんて大した用事じゃない。そんなことよりも美味しい料理を見つけてお仕事頑張っている司祭様に差し入れしないと。


「リュートちゃん」

「はい」

「美味しい物を見つけて司祭様のお土産にしよう」

「承知しました。厳しく判定します」


 頼もしい。昨日は少ないお金をやりくりする形だったけど、今日はお詫び軍資金があるので使い果たそう。その方が司祭様も罪悪感がなくなるだろうしね。お詫びだと言うなら使い切るのがスジというもの、江戸っ子は宵越しの金は持たねぇんだ。江戸っ子じゃないけどさ。




 結論。食べ過ぎは良くない。お腹いっぱいなのは幸せだけど。そんな中でリュートちゃんの歴戦の勇者のような背中は頼もしい。メイドさんだけど。


 なんか私達がほとんどの屋台でちょっとづつ食べているのが知られたみたいで、飲食系の屋台がこれもどうかと持って来てくれたよ。ちょっとした騒ぎになってしまったけど、ようやく落ち着いたかな。


「やはりピザが最強です。熱々チーズと酸味の効いたトマトソースが完璧かと」

「たしかにこの辺りのお店だとピザが一番だったかな」


 屋台だと一切れだけの販売だけど、丸ごと売ってくれるみたいだし、これを司祭様のお土産にしようかな。お仕事の時間がかかるようなら冷めちゃうけど、温めればいいだけのことだし。


「じゃあ、ピザを司祭様へのお土産にしよう」

「はい。では、店主、トッピングにあらゆる肉を乗せてください。お金はあります」

「野菜も入れよう?」


 勇者というかバーサーカー的な感じになっているリュートちゃんを説得してバランスよくトッピング。そして近くの雑貨店で買ったバスケットと布で即席のお持ち帰り用バッグを作成。うん、いい感じ。


 そんじゃ、そろそろ神殿に帰ろう。教皇様が大司教様は抑えているみたいだけど、リュートちゃんや見えない護衛さん達がいるとはいえ、長い時間の単独行動は良くないからね。


『マリアちゃん』

『エスカリテ様? どうかしました?』

『なんか変な集団が近づいて来てるわよ?』

『え?』


 そう言って振り返ると、五人の鎧を着た人たちがこちらに向かって歩いてきている。あれって神殿騎士さんたちの鎧かな。もしかして私のところへ来ようとしてる?


 そう思ったら、リュートちゃんが私をかばうように前に出た。


「下がりなさい。それ以上の接近は敵対行為とみなします」


 その言葉に神殿騎士さん達は止まる。そして私に向かって丁寧に頭を下げた。


「巫女のマリア様ですね? 教皇様がお呼びです。すぐに神殿までお戻りください」

「え? 教皇様が?」

「はい、馬車を用意しておりますので、ご同行願います」


 馬車? この距離で? しかも教皇様が呼んでる? なにか大変なことが起きたのかな? おっと、そういうことなら考えている場合じゃないか。


「はい、それじゃすぐに――」

「ありえません」


 なぜかリュートちゃんがそう言い切って私を押しとどめる。そしてナイフを持って構えた。神殿騎士さん達の方は動揺した感じには見えないけど、腰に差している剣の柄に手をかけた人が何人かいる。なんか一触即発って感じだけど、大丈夫?


 周囲の人達もこっちの雰囲気にちょっと訝し気な感じになった。活気のあった場所が静かになっちゃったけど、大丈夫かな、これ。


「なぜ、あり得ないと?」

「教皇様の周囲には私の仲間がいます。何の連絡もありません」

「連絡が遅れているだけでは?」

「ありえません。なにかあれば情報は即座に届けられます」

「ですが――」

「そしてここの情報も即座に向こうへ伝わります。あと二分ほどで包囲されますが、逃げなくて大丈夫ですか?」


 おっと、相手の顔つきが変わったね。こりゃ、教皇様の名前を使って嘘をついているわけだ。でも、なんで? 買い食いしてただけだぞ?


「できれば穏便に済ませたかったのだがな」

「こっちはやる気満々でした」


 リュートちゃんはそういうと一瞬で相手の前に飛び出た。


 ……相手が剣を抜く前に倒しちゃうって凄すぎない? しかも五人相手なのに。というか、やばい、何の躊躇もなくとどめを刺そうとしてる。


「リュートちゃん、待った! とどめを刺しちゃ駄目だって!」

「問題ありません。マリア様に仇成すものは殲滅せよとの命令を受けています」

「問題大ありだよ! その命令自体が怖いってば!」


 エルド様からの命令なんだろうけど、そういうのはちょっとやめて欲しいです。だいたいね、リュートちゃんにそういうのは似合わないよ。


「いやいや、ほら、黒幕を教えてもらう必要があるから生かしておこうよ」

「それも問題ありません。黒幕が誰であろうと襲ってくる相手を全て倒せばいいだけの話ですので。むしろマリア様に害をなそうとする方が危険だと思わせるためにも、しっかりととどめを刺しておいた方が良いと思います」

「そうかもしれないけど、その鎧、神殿騎士さんの物でしょ。なにか事情があるかもしれないし、下手なことしたら国と教団で争いになっちゃうよ」

「……なるほど」

「分かってくれた?」

「分かりました。証拠を隠滅すればいいのですね?」

「違うってば」


 困ったね。ここって魔物がいる世界だし、結構人の命が軽いからなぁ。それに、そういう生き方しか知らないリュートちゃんや見えない護衛さん達は命令第一だろうからね……そっか、命令か。


「なら本音を言うと、リュートちゃん達にそういうことをしてほしくないの。叩きのめす程度ならいいけど、命は奪わないで欲しい。これは命令じゃなくて、友達としてのお願い」

「友達……お願い……」

「そう。それでもダメかな?」

「……よく分かりませんが分かりました。ただ、危険なので縛っておきます。神殿まで連れて行って判断は任せましょう」

「ごめんね。護衛として危険を排除するのがリュートちゃん達のお仕事なのに」

「大丈夫です。私としましてもマリア様の嫌がることはしたくありませんので」


 ええ子や。色々と大変な人生なのに、根は真面目でいい子なんだろうね。


『マリアちゃん、大丈夫?』

『私は問題ありませんよ』

『ならいいんだけど、マリアちゃんもそういうタイプで嬉しいわー』

『そういうタイプって?』

『コトちゃんもね、人の命を奪うのは良くないって考えの子だったから』

『そうでしたか』

『よーし、マリアちゃんを守ってもらうためにもリュートちゃんにパワーアップしてもらおう! 祝福あれ!』

『え?』


 リュートちゃんがぼんやり輝いているんだけど、本人は何かの罠を疑っているのか、ナイフを構えて周囲をキョロキョロしちゃってる。


「リュートちゃん、それってエスカリテ様からの祝福らしいよ」

「エスカリテ様の……?」

「なんか私を守ってくれてるから強化してくれるって」

「おお……?」


 無表情だけど混乱している感じは伝わる。でも、強化ってどんな感じなのかな? あ、ぼんやり光ってたのが終わった。


『これで良し! マリアちゃんを守るときは能力が強化される祝福よ!』

『やり過ぎじゃありません?』

『大丈夫。ドラゴンを単騎で倒せる程度だから!』

『いや、おかしいでしょ』


 私ってドラゴンにでも狙われてんの? でも、ドラゴンが人型になる話は良く聞く。イケメンじゃなくて普通の人にもなれるなら、筋肉もあるし、彼氏候補?


 そんなアホなことを考えていたら、リュートちゃんが膝をついて私を拝みだした。それでなくとも目立っているんだからやめて欲しいです。


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