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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第三章

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お祭りを開催しよう


 しばらくはマッドボアの肉料理が多いかもしれない。むしろウェルカム。どんと来い。私の胃袋はそんなそんなもんじゃ負けない。一年間毎日同じものを食べても文句なんて言わない。食べられるだけで幸せってもんよ。


 森に潜んでいたマッドボアたちを殲滅、そのおかげで大量の肉が手に入った。食べ物の保存に関しては冷蔵庫的な魔道具があるんだけど、さすがにここまで大量の肉を扱えるわけでもないので、生ものはその日のうちに料理に使うのが吉。まあ、私は多少危なくても食べるけど。食べ物は食える時に食うが鉄則よ。


 そんなわけで被害が大きかった村の人達も呼んで大カレー祭りだよ。村の子供達には隠し持っていたチョコレートもあげた。ガズ兄ちゃんが開発に成功した固体チョコレート、板チョコだ。まあ、融点が低いのか、結構溶けちゃうけど十分だと思う。こっちも子供達には評判良し。リュートちゃんが切なそうな目で見ていたのが心苦しい。帰ったら食べさせてあげるからね……!


 大カレー祭りのおかげで領主の館での歓待というのはなくなった。気兼ねする必要がなかったから私としてはありがたい。教皇様と司祭様は領主様に感謝されっぱなしで大変そうだったけど、巫女の私は気楽なもんよ。なのでカレー作りに勤しんだ。料理人はつまみ食いできるのが特権だね。うまー。


『ただいまー』

『エスカリテ様、おかえりなさい』

『色々調べて――あれ? 何かあったの? お祭りみたいじゃない?』

『大量の魔物を倒したので大カレー祭りを開催中です』

『お祭り!? ならダンス!? 男女でダンスするのね!?』

『それはどうでしょう? キャンプファイアーみたいなのはありますけど、アレは魔物を寄せ付けないためのものでして』


 調合した魔物除けの草も焚いているから魔物は近寄ってこれないと思う。今日はここで野営する形だからああしただけで別に踊るためじゃないはず。別に踊っても構わないけど私は踊らない。なぜなら踊れないからだ!


 ……別に威張るこっちゃないけど、辺境でもお祭りとかなかったからね、そんな余裕がなかったとも言えるけど。今ならそれくらいの余裕はあるかな?


『キャンプファイアーがあるのに踊らないって何!? こういう時に淡い気持ちを抱いている相手に突撃かますもんでしょ!? 踊ってくださいって!』

『ああいうのは心の準備が必要なんですよ。いきなり始まったお祭りでそれをするのはハードルが高いんです』


 こうね、バレンタインの日が近づくにつれてハラハラとドキドキで胸と胃が苦しくなる、そういうテンションの高め方がある。そしてテンションが最高潮で告白だよ。ノリや勢いでやっていいもんじゃねぇんだ。


 魔物との戦いと一緒。作戦を練って罠を張り、相手をおびき寄せて離れた場所から遠距離攻撃。告白というダイレクトアタックも悪くはないけど、相手から好きって言わせる戦術が必要なんだ……って、前世で誰か言ってた。勉強になるぜ。


 私にそういう状況はなかったけどね。寄ってくる奴らはことごとく詐欺師でロマンスの欠片もねぇ。よく考えると私から告白ってないな。はぁ、わたしゃ、男を見る目がないね。こっちの世界でも気を付けよう。すでに一回ミスってるけど、記憶を思い出す前だからセーフ。


『はぁ、残念だけど仕方ないわね。ちなみにマリアちゃんは私の許可なく踊っちゃダメだから』

『横暴すぎませんか!?』

『私が見つける最高の男性が見つかるまでダメだってば! これは決定事項、神の意思! 踊りそうになったら雨を降らせる!』

『邪神がいる……! 紛うことなき邪神だ……!』

『私は推しのカプのためなら邪神でもなんでもなってやる!』


 誰かと踊るつもりはないからいいんだけどさ、私の理想――というよりもエスカリテ様が理想とする私の彼氏がどこにもいなかったらどうすんねん。カプ厨の女神様に頼んでしまった私のミスか……人生ままならないね。


 そんな馬鹿話は後にしよう。今考えるべきは勇者さんや魔王さんのことだよ。エスカリテ様は聖剣や魔剣のことを調べてきたと思うんだけど、何か分かったのかな。


『それで邪神様、聖剣とか魔剣のことは分かりました?』

『ナチュラルに邪神って呼ばないで……』

『冗談ですよ、エスカリテ様。それでなにか分かりました?』

『それがさー、天界からこっちの世界に貸し出されている剣って多いのよ。誰よ、あんなにバラまいた奴。倉庫に備え付けの貸出カードにちゃんと名前を書いときなさいよね』


 衝撃の事実。天界にある聖剣と魔剣は貸出カードに書かなくちゃいけないらしい。図書カードか。だったら返却期限とかないの? 普段大人しい図書委員だって本のことになるとこえぇんだぞ。


 でも天界って不思議だなぁ。なんか俗っぽい感じだし、上層が中層とか下層を支えているって言うし、どういう所なんだろう。一度くらい見てみたい。もしかして私の前世みたいなところなの?


『そうだ、ついでに私も借りてきた。マリアちゃんに渡しておくね』

『へ?』


 どういうこと、と思った瞬間に手の中に指輪があった。シンプルな銀色の指輪で宝石とかは付いていない。精巧な薔薇の模様が彫られていて、どう考えてもお高そう。


『これって?』

『倉庫にあった神器。魔法に対する絶対防御がある指輪ね』

『ジンギ……神器!?』

『本当はもっと持ってきたかったんだけど、今の信仰心だとそれくらいしかそっちに送れないのよねー。あ、大丈夫、貸出カードにはちゃんとエスカリテって書いといたから。もちろん、使用者はマリアちゃんともしっかり書いといたわ!』

『天界って庶民的すぎません? というか、そんなすごいの借りられませんよ!』

『いいのいいの、どうせ天界でホコリ被ってるだけなんだから有効活用しないと。マリアちゃんが遠距離から魔法を食らって怪我でもしたら大変だしね』


 それはそうかもしれないけど、ただの人には過ぎたものだよ。レアアイテム過ぎて怖い。こういうのってゲームクリア後にやりこみ用の裏ダンジョンで手に入るような物じゃないの? ゲームバランスが壊れ……人生のバランスが壊れない?


 でも、借りてるだけだからいいのかな。これが滅茶苦茶攻撃力のあるような武器だったら困るけど、魔法を防御してくれるくらいなら大丈夫かも。でも、あれか、治癒魔法も無効化するとかそういう罠がありそう。怪我をしたときは気を付けよう。


『それじゃお預かりしますね。無くしても怒らないでくださいよ』

『大丈夫大丈夫、使用者をマリアちゃんにしておいたから、無くしても念じればすぐに戻ってくるから。それとマリアちゃん以外が身に付けても効果なし。いわゆる専用装備になってるから』

『神器ってでたらめ過ぎません?』

『そういうこだわりで魔道具を作る神がいてねー』

『悪い神ですか?』

『そうでもないような……いや! そういえばアイツ、私に変な魔道具を渡して実験してたんだ! 悪い神だ!』


 なんかエスカリテ様って他の神様たちから色々やられてない? まさかのいじられキャラ? 反応が楽しくてついちょっかいをかけたくなる神様だったのかな。少なくとも嫌っている相手にそんなことはしないだろうから、皆から好かれていたんだろう。本人にそれが伝わっていないのがちょっと残念なところだけど。


『エスカリテ様は皆から好かれていたんですね』

『……え? どゆこと?』

『多くの神様たちに色々されるのはエスカリテ様が好かれていたからかと』

『……つまり私の周りにいた神達はツンデレだったってこと?』

『そう、なの、かな?』


 よく分かんなくなってきた。今度、ギザリア様に聞いてみようかな。エスカリテ様のところへなんでお酒を持って行って飲んだのかとか。友達だから一緒にお酒を飲もうとしたと思うんだけど。部屋を荒らして帰ったのは微妙だけど。


 よし、とりあえず、指輪を装着。名前は「薔薇の指輪」だ。魔法に対する完全防御が可能という神器。普通に考えてもこれだけで一生遊んで暮らせるお金が手に入りそう。そんなことはしないけど。


 というか、信仰心が上がれば他にも魔道具を借りられるってことか。コイツぁ最強装備を目指しちゃおうか。やりこみゲーマーの血が騒ぐぜ!


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