表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/94

魔物を討伐しよう


「そっちだ! 追い込め!」

「落とし穴に気を付けろ!」

「五秒後に光と爆音の魔法を放ちます! 五、四、三――」

「目と耳に気を付けろ! 退避! 退避ー!」


 おおう、神殿騎士さん達はすごいね。辺境での戦い方を教えてあげて欲しいと教皇様に言われたので伝えたんだけど、初めてとは思えないほど上手く連携しているよ。それにリュートちゃん達もいい仕事をしている。魔物除けと魔物寄せの草を上手く配置して燃やしたら魔物の群れがこっちの思惑通り移動してるみたいだ。それに光や音の魔法も的確だ。


 おお、森から大量の魔物がこちらの戦いやすい平原に追い出されてきた。計算通りだ。罠だらけの場所へようこそ。


「来るぞ! 構え!」

「「「おう!」」」


 魔物は巨大なイノシシ、マッドボア。猪突猛進とは良く言ったもんだ。森から追い出されたマッドボアが落とし穴に面白いように落ちてる。落ちなかったマッドボアは神殿騎士さん達が隊列を組んで、盾で受けて動きを止めてから隊列の二番目が長槍で刺すというよくある戦法だ。


 全く危なげなく戦っている神殿騎士さん達を見ていたら、隣にいた司祭様が「素晴らしいですね」と言った。


「はい、見事な戦い方だと思います」

「それもありますが、マリアさんが説明した戦い方のことです」

「戦い方? ああいう戦い方はどこでもするのでは?」

「対人戦ならそうかもしれませんが、魔物の場合はなかなか難しいのですよ」


 狼とかだと徒党を組んで襲ってくることもあるけど、ほとんどの魔物は勢いに任せてバラバラに襲ってくるから上手く対応できない場合が多いらしい。予測がつかないとかそういう理由で魔物との戦いは集団戦でも個人戦みたいな感じになることが多いとか。そういえば、辺境でも最初はそんな感じだったかな?


「火や煙、それに匂い、眩しい光や音を嫌がる習性を利用して動きを誘導する……なるほど、冒険者というよりは狩人の戦い方ですね」

「ああ、そうですね、辺境にいた狩人のおじいさんに教わった戦い方です」

「良く教えてもらえましたね。同じ狩人でも教えてもらえないものですが」

「畑が荒らされて孤児院の食料が減るから助けてと泣きつきましたから」


 どんな大人も子供の涙には弱いものよ。皆の泣き真似の演技も光ったね。自分たちを人質に脅したようなもんだけど、最終的には孤児院の中から狩人の後継者を出すって条件を出したら教えてくれた。なぜか私を後継者にって話があったんだけど、丁重にお断りした。狩りで得られるお肉も大事だけど、当時は孤児院へのお金が必要だったからね、王都での就職に懸けてたんだよ。


 おかげで巫女になれたし、孤児院への仕送りも結構ある。私なんかよりもはるかに優秀な狩人が育つ土台ができたってもんよ。辺境はお年寄りが多くて若い人が少なかったからね、後継者問題もあるだろうし、孤児院の皆と上手く縁を結んでもらいたい。その上で皆がやりたい仕事に就けられたらいいな。孤児院出身だと就職先を見つけるのが大変だからね。


「辺境での生活は大変だったでしょうね」

「まあ、そうですけど、終わってしまえば笑い話ですよ。今は支援金も増えたみたいで皆の生活が楽になったみたいですし、お腹を減らしている子も少なくなったと思います」


 皆は口うるさい奴が来たと嫌がるかもしれないけど聖国から帰ったら孤児院に顔を出そう。皆がふっくらしてたら嬉しいよね。あ、そうだ、ガズ兄ちゃんも誘うかな。美味しいスイーツを食べさせてやりたいって言ってたし。私も食べたい。


 ……はて? 司祭様がなんか変な顔をしている。どうしたんだろう?


「マリアさん、孤児院が大変だったのは――」

「ボス個体が出ました! 警戒してください!」

「え? なにか言いました?」

「いえ、なんでもありません。距離はありますが、私達も気を付けましょう」


 司祭様が何か言いかけたけど、神殿騎士さん達の方から声でかき消されてしまった。まあ、それは後にしよう、今はこっちだ。


 ボス個体。群れを統率するような魔物で体が大きいのが特徴だ。当然強さも段違いだし、厳しい戦いにはなるんだけど、このボスを倒すと周辺の魔物が少しだけ大人しくなるって特性もある。ゲームっぽいけど、なんか魔物の魔力含有量とかが影響しているとかなんとか。辺境には物知りのおじいさんが多いぜ。


 ……デカ! 辺境でも何回かボス個体を見たことがあるけど、こんなに大きくなかった。イノシシって言うかゾウじゃん。あんなのどうやって――あ、落とし穴に足を取られた。身体が半分くらいハマって、もがいてはいるけど出れそうにない。身体が重すぎて這い出れないんだな。


 なんだろう、神殿騎士さん達もちょっと戸惑っている感じだ。これは想定外なのかな? なぜか哀愁が漂っている感じだ。


「弓と魔法で攻撃を開始しろ! 絶対に近づくな!」


 バリトンボイスが脳を揺らすなぁ。どうやらリーダーさんが最初に我に返ったようだ。直後に遠距離攻撃が開始された。


 攻撃が降り注いでから五分、ボス個体は動かなくなって、周囲の魔物も動いていない。そこでようやく警戒が解かれたようだ。


 やっぱり神殿騎士さん達は強いね。怪我らしい怪我はほとんどないんじゃないかな。それに魔物たちを倒した数が多い。魔物たちの肉は食べられるわけだし、今日の夕食は結構なごちそうになっちゃうかも。よだれが止まらないね。


 あ、そうだ。司祭様がなにか言いかけてたっけ。


「司祭様、さっきなにか言いかけました?」

「いえ、大した話ではありませんので。それよりも皆さんと合流しましょう」

「そうですね、もしかしたら誰か怪我しているかもしれませんから」


 騎士団にも医療班みたいな人達はいるだろうけど、私でもなにかできそうな気がする。辺境でも戦いには参加しなかったけど、後方支援は良くしてたしね。まずは水とタオルかな。それに怪我してたなら包帯か。包帯の巻き方なら任せろい。


 司祭様と共に神殿騎士さん達のところへ行くと、リーダーさんがやってきた。


「マリア様、フレイ殿、周囲の安全は確認しておりますが、ここまでいらっしゃらなくとも、もっと安全な場所で待機を――」

「皆さんが命懸けで戦っているのですから、何かお役に立てればと――もしかして邪魔でしたか?」

「そんなことはございません。それに今回の戦い、なんと言いますか、拍子抜けするほど簡単に終わりました。これもマリア様から教えていただいた戦術のおかげで、皆が感謝しております」

「私は何もしてませんよ。魔物たちを上手く誘導できたのは草神様の巫女であるクフム様のおかげでして」


 フフフ、こうやってクフム様の株を上げつつ、私の株は上げない。間接的にエスカリテ様の信仰心に影響しちゃうんだけど、致し方なし。エスカリテ様の信仰心はもっと別のことで稼ごう。やはりゆるキャラぬいぐるみか……!


 ……なんだろう、司祭様とリーダーさんから似たような雰囲気を感じる。この子、何言ってんだって感じの視線だ。どういうこと?


「司祭殿、マリア様はいつもこんな感じで?」

「ええ、困ったことに自分のことに関して全く分かっていないと言いますか」

「困りましたな」

「まったく」


 なんだろう。男同士でしか分かり合えない何かが目の前で展開されている。くそう、教皇様がいれば味方してくれるのに。


「マリア様」

「リュートちゃんもお疲れ様」


 やったぜ、味方が来てくれた。


「教えていただいた魔物除けと魔物寄せの効果は絶大ですね。これは野営の時に重宝すると思います」

「でしょう? さすがクフム様だよね」

「……それを使って誘導するという作戦も素晴らしいかと」

「辺境にいる狩人さんに教えてもらったんだよ。さすが本職だよね」

「……はい」


 なんだろう。司祭様やリーダーさんの視線と同じものをリュートちゃんから感じる。味方ではなく敵だった?


「すでに終わっていましたか」

「教皇様」

「領主との話し合いで数日はかかると伝えたのですが、まさかこの短時間で終わるとは驚きました」

「ハッ、マリア様から教えていただいた作戦が功を奏しました。いえ、これは控えめな言い方ですね。絶大な結果が得られました。すべてマリア様のおかげです」

「神殿騎士さん達の成果ですよ。言葉で言っただけでやれちゃうんですから。普通、ぶっつけ本番でこんなにうまくいきません。普段の鍛錬の賜物ですよ」


 ……おかしい、教皇様からも皆と同じ視線を感じる。ずっとアウェーなんだけど、どういうことなの?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ