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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第三章

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教皇様と話そう


 出発してから三日目、順調な旅がちょっとだけ不穏な感じになった。


 ここはもうアデルラルド王国の隣にあるセルデオス王国ってところなんだけど、通りかかった小さな村で足止めされてしまった。この辺りの領主が歓待したいから屋敷まで来て欲しいとお願いしているらしい。それを伝えに来た騎士様と教皇様の護衛である神殿騎士様が話し合いをしているみたいだ。


「こういうことはよくあるのですよ」

「そうなんですか?」

「寄付金のことで言うことを聞かせようとする人はいつの時代にもいるのですよ」

「寄付金ですか」


 詳しく聞いてみると、教皇様の移動中は結構な確率で足止めをされるという。教皇様と懇意になっていざというときに力を借りようとか、そういう邪な考えがあるらしい。それを言ったら司祭様もそうなんだろうけど、司祭様が王族であることは知らないことになってるのでツッコミはしない。


 邪な考えではあるけど拒否するのも問題がある。教団自体が国からの寄付によって成り立っているからで、寄付を打ち切るという状況になると教団も困るかららしい。そうなったら教団もその国から巫女様を引き上げさせるという方法もとれるけど、巫女様個人の考えもあるから実際には難しいのだとか。


 巫女様だけじゃなくて教団自体も色々と役に立っている組織なので、寄付金の打ち切りなんてのはこの数百年ないらしいけど、それをチラつかせてくる人はいるわけだ。それが国王じゃなくて領主ってのが、ちょっとどうなのって気はするけど。たぶん、ここの領主は国王様に何も言わずに勝手にやっている可能性があるよね。


「アマシャ様」


 神殿騎士のリーダーさんが馬車の外から声をかけてきた。バリトンボイスは最高です、はい。


 アマシャ様が馬車の窓を開けると、顔を完全に隠すような兜を付けた人が立っていた。一度、会釈されたことはあるけど、直接紹介されたわけでもないし、顔も見てないんだよね。たぶん、ちょい悪風イケオジのような方だと見た……みんな真面目に護衛してくれてるんだからアホな考えは捨てよう。


「どうですか?」

「領主の屋敷に行くまで通すつもりはないようですね」

「困りましたね。領主の独断ですか?」

「おそらく。ただ、話を聞く限り、アマシャ様と懇意にしたいとかではなく、対処をお願いしたいという理由の方が大きいかと」

「対処とは?」

「どうやらここ最近魔物の出現が増えたそうです。村の者にも確認しましたが、魔物の被害が増えているのは間違いないようでして、農作物が荒らされているとのことです。まだ死者は出ていないようですが、怪我人も何人かいるとか」

「そういうのは冒険者にお願いするのが筋だと思うのですが」

「言い難いのですが冒険者たちがアデルラルド王国までの護衛で出払ってしまっているようです。まだ戻ってきていない冒険者も多いようでして」

「事情があったとはいえ、私の決定が問題に関わっているわけですか。そういう状況なら対処しないわけにも行かないでしょう。領主の館まで行き、そこで状況の確認を。その後、対処をお願いすることになると思います」

「承知しました。何人か先に先行させます。状況の確認をさせておきますので」

「よろしくお願いします」


 神殿騎士さんが教皇様に頭を下げた後、私の方を見てから同じように頭を下げた。私は唯の同行者みたいなもんだから頭を下げなくてもいいんだけど、紳士って感じなのはポイント高いです。


「単なる歓待なら断るつもりでしたが、そういう事情なら仕方ありませんね。教団は神の力を人々のために使う組織、表向きはそうなっていますからね。マリアさんも申し訳ありません。一刻も早く聖国へ行きたいところですが、すこし寄り道させていただきます」


 お、これは分かる。教皇様も私と同じように悪女ムーブをしている。表向きなんて言いつつも本当は助けたいんじゃないのかな。仕方ないなぁって言うのは演技と見た。悪女の振りでは私を騙せませんよ。


「教皇様、私の前で悪ぶる必要はありませんよ。遠慮する必要もありません」

「悪ぶる……?」

「またまた。全部お見通しです。本当は助けたくて仕方ないのでは?」


 ……あれ? 教皇様が目を見開いて動かなくなっちゃった? もしかして全然的外れだった? ドヤ顔で言っちゃったし、滅茶苦茶恥ずかしいんだけど。


「マリアさんは……」

「はい?」

「もう少し人を疑った方が良いと思いますね」

「え?」

「ですが、ありがとうございます」

「えっと、何のお礼でしょうか……?」

「教団やコト様について考えを改めるべきだと教わったお礼です。確かにコト様はエスカリテ様やエイリス様のために教団を立ち上げた。今の神々を騙すためだったという理由もあるとは思いますが、人々のためという理由も絶対にあったでしょう。天使様たちの力がなければ魔物たちとの戦いに負けていた可能性もありますからね」

「そうですね」


 魔物って色々な種類がいるけど、強い魔物は相当強いし、数も多いからね。今の神様たちの加護とかないと危険だった時代もあったとか。そんな時代があったわけだから戦闘系の神様が信仰されるわけだよ。


「私は今まで教団はエスカリテ様とエイリス様のためにあると思っていました。それ以外の理由は全て教団を存続させるための偽装であるとも。ですが、マリアさんに言われて思い直しました。教団は人々を助ける組織、それがあるべき姿だと。もしかしたらコト様もそちらをメインに考えていたかもしれません。この歳になるまでそれに気づかないなんて、ダメなおばあちゃんですね」

「教皇様がダメなおばあちゃんなわけないじゃないですか。現に今だって困っている領主を助けようとしていましたし」

「私の決定が影響していると思ったからですよ。エスカリテ様の巫女が現れて、すぐにアデルラルドへ向かわなくてはと思いましたからね。それがなければ聖国へ急ぎました……ですが、今後は教団のトップとして恥ずかしくないよう、人々のための決断をしていくつもりです」

「その、なんと言ったら分かりませんが、教団がより良い組織になるんだろうなとは思いました」

「ええ。エスカリテ様と共にどうか教団の行く末も見守ってくださいね」


 なんか教皇様が清々しい顔をしている。よく分かんないこともあるけど、なにかが良くはなったんだろう。なにがどう良くなったのかは分からないけど。


 それはいいとして、魔物の被害が多いんだ。辺境でも魔物の被害は甚大だったからね。私にとって畑を荒らす奴は敵だ。食べ物の恨みに関しては容赦せん。だから罠を仕掛けたり、嫌がりそうな匂いの煙を焚いたりしてある程度は動きを制限してたんだよね。ここではそういうことをしてないのかな。


 あ、そうだ。クフム様に教わったんだ。みっちゃんには教えたけど、ここでも結構使えるんじゃないかな。


「リュートちゃん、いる?」


 馬車の外に向かって話しかけたらすぐに返事があった。


「はい、います」

「少しは落ち着いた?」

「……はい、大丈夫です……」


 駄目そう。でも、今回、猫のギザリア様はお留守番なんだ。ガズ兄ちゃんに預けて来たから大丈夫なんだけど、かわりにリュートちゃんが駄目になった。連れて行かないと言った時、無表情なのに世界が終わりそうな雰囲気になったよ。


 聖国へ行くってことでギザリア様を護衛する気満々だったんだろうなぁ。ちょっと悪いことをしてしまった。帰ったら思う存分護衛という名の抱っこをさせてあげよう。ギザリア様は嫌がるかもしれないけど。


 とはいえ、それはそれだ。


「えっと、大変だとは思うけど、お願いしたいことがあるんだよね」

「はい、なんでしょうか」

「これらの草を集めておいてもらえるかな。魔物除けに使える草なんだけど」

「魔物除けに使える草……初めて聞きますが、そんなものが?」

「うん、複数の草を混ぜ合わせることで効果を発揮するんだって。クフム様に教わったんだ」


 クフム様がエキスを取り出した方が効果が高いんだけど、普通に混ぜ合わせて焚くだけでも結構効果があるとか。その辺に生えている草らしいから結構集められるんじゃないかな。魔物寄せの草も教えてもらったから上手く使えば被害を減らせるかも。


「分かりました。手の空いている護衛に集めさせます」

「護衛中にごめんね」

「問題ありません。マリア様の命令は我々にとって神の命令ですので」

「冗談でも怖いから止めてね」


 いつの間にか巫女から神にクラスチェンジしてたよ。リュートちゃん達のなか限定だけど。それに組織名が影から楽団という名前に代わったみたいなんだけど、私のおかげとか言ってるんだよね……なんで?


 まあいいや、私も教団の巫女として問題を解決するのに頑張っちゃうぞ。


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