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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第二章

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対策会議をしよう


 今回は私も大聖堂で行われていた会議に出席できた。


 会議室には、教皇様、司祭様、執事さん、みっちゃん、アイレダちゃん、そして同じ巫女であるクフム様とトッカさんも一緒だ。国は国として何らかの対策を講じるけど、私達は巫女として、そして教団の一員として対策を考える必要があるらしい。国から補助金をもらっているんだから当然だよね。


 状況については大体わかった。


 今日の朝にルガ王国の王都で黒い霧のようなものが発生した。その霧に巻き込まれた人はものすごい倦怠感に襲われて、立っているのも大変な状態になるらしい。今のところ死者はいないようだけど、向こうの王都では動ける者はわずかだとか。


 霧自体はもうなくなったみたいだけど、その症状は人に感染する上に感染力が高く、ルガ王国のほぼ全域でその症状が出ているとか。この国や他国も慌てて関所を封鎖したけど時すでに遅し。行き来する人が何人かいたようで、すでに国内にも感染者が出ている状況だ。


 感染力が高いのは呪病と呼ばれる魔力を持った病気だから。自然発生するような感染症とは異なり、効率よく感染していく意思を持つ病気のような厄介なものらしい。


 ……これって私のせいじゃない?


 どう考えてもみっちゃんの呪いを解いたことによる呪詛返しが影響してるって。エスカリテ様から聞いた症状とは異なるけど、威力が弱くなって感染力が高いような呪病が向こうのリスクだったと思う。


 あかん。みっちゃんのことで熱くなりすぎてたからだ。すぐさま呪いを解いてもらったからこんなことに。今のところ死者はいないようだけど、ヤバいことをしてしまった。いや、後悔よりもまずは謝罪だ。


「あの、本当に申し訳ないです。間違いなく私がやった呪詛返しの結果です」


 テーブルにおでこが付くくらい頭を下げて謝罪。誰も何も言ってくれないから頭をあげられないよ。呆れてものが言えない感じになってるのかも。巫女になったり、お金を得られるようになって調子に乗っていたかも。穴があったら入りたい。


「マリア姉さん……」

「みっちゃん、ごめんね。私が何も考えずに呪いを解いたからこんなことに――」

「いや、あのね、誰がどう考えてもマリア姉さんのせいじゃないから」

「え?」

「百歩どころか、何億歩譲ってもマリア姉さんのせいじゃないから頭を上げて。悪いのはルガ王国の王族、その次に私って感じだから、マリア姉さんは全然悪くないよ。いきなりマリア姉さんが謝りだしたから皆がびっくりしてるんだけど」


 そっと頭を上げて周囲を見ると、全員が不思議そうな顔をしている。あれ? そういうものなの? 私が相談もなく勝手に呪いを解いたからこんなことになっていると思っているんだけど。そう思ってたらこの場にいる全員が私は全く悪くないと太鼓判を押してくれた。皆いい人だね。


「マリアさんのせいでないことだけは、はっきりしていますから頭を上げてください。ただ、それはそれとして呪病を防ぐ手立てを考えなくてはなりません。どうかマリアさんやエスカリテ様のお力をお貸しください」

「教皇様、それはもちろんです。ただ――」


 エスカリテ様が天界の別の場所へ向かったために連絡が取れない旨を伝えた。一日ほどは連絡がつかないのでエスカリテ様のお力を借りられるとしても明日以降だ。


「それは困りましたね。感染速度を考えると、あと数時間のうちにこの王都にも感染者が出るとのことです。門はすでに閉じているのですが、城壁の外にも多くの人がいます。感染を防ぐ手立てがなければルガ王国と同じ運命をたどるでしょう」


 困った。致死率が高い病気ではないけど、身体がものすごくだるくなって動けなくなるらしい。気合で動ける人もいるらしいけど、国が機能しなくなるほどじゃ死ななくたってヤバイよ。


 マスクで感染を防げるってわけでもなく、魔力を持つ人が辛うじて防げる程度だから、庶民はほぼ間違いなく感染するらしいんだよね。治療薬もないし、どれくらいの期間そうなるのかも分からない。教皇様が別の国にいる薬神様の巫女に薬の調合を頼んだらしいけど、それだっていつになるか分からないらしい。


 くそう、私のせいじゃないって言われても責任を感じちゃうよ。呪詛返しで本人以外も巻き込むなんてひどすぎる。エスカリテ様はいないけど、私がなんとかしなくては。使えるかどうか分からないけど、異世界知識だって披露するぞ……まあ、思いつかないけど。


 せめて感染を防ぐ方法が分かればいいんだけど、そんなの簡単に分からないよね。人から人に感染するわけだから、隔離するしかないし、感染した人の世話は魔力がある人がやるしかない。


 皆が色々な意見を出し合っているけど、どれも決定的じゃない。色々と厳しい意見も出てきたし、ちょっと休憩を挟んだ方が良いかも。こういうときこそ甘い物か。


 そう思ったら会議室の扉がノックされた。司祭様が「どうぞ」と答えると、絶対零度のメイドさんが入ってきた。そして司祭様に耳打ちする。なぜか私の方を驚きの顔で見たんだけど、何?


「何かありましたか?」

「はい、この王都でも感染者が出たようです。門は閉じたのですが、外にいる人達と門越しに話をしただけで感染してしまったとか。呪病とはやっかいなものですね」

「大変じゃないですか!」


 だから驚いたのか。でも、このままじゃどうしようもない。解決法が見つかるまで逃げるしかないね。三十六計逃げるに如かず、戦略的撤退だ。


「ときにマリアさん」

「司祭様、話は後です。私はエスカリテ様が戻ればなんとかなると思いますので、皆さんは王都から脱出を――」

「いえ、問題ありません」

「え? 問題ない?」

「マリアさんはエスカリテ様の石像を色々なところへ贈りましたか?」


 え? 何の話? ミニ石像のことかな? それなら確かにお世話になったところへ置いてきたけど、なんでその話?


「はぁ、今日、お世話になった方へ直接渡してきましたが、それがなにか?」

「エスカリテ様の石像がある付近では感染しないとのことです。それどころか、感染初期の方なら像の近くにいると治るほどだとか」

「……はい?」


 あれ? もしかして呪病って風邪のことなの? それならエスカリテ様の祝福でちょっと耐性ができるはずだけど、呪病だったんじゃ?


「あの、どういうことでしょう?」

「エスカリテ様の祝福とは素晴らしいですね。像の周囲は呪病への完全耐性があるということです。この国の宮廷魔術師が調べたのですが、あらゆる呪いを撥ね退ける力があるとか」


 ……聞いてねー。ちょっと風邪を引きにくくなる程度の祝福だって言ったじゃん。そんな祝福効果があったら金貨十枚でも売れちゃうよ。でも、おかげで助かるってことかな。


「そういうことでしたら、エスカリテ様の像はまだ教会にあります。すでに祝福してもらいましたので、王都や国の要所に配置していただければ」

「助かります。像は売り物だと聞きましたので、国が全て買い取るとのことです」

「いえ、教団が買い取ります。さすがエスカリテ様」

「お金はいいですからすぐに配置をお願いします」


 なんで教皇様が対抗してくるの? どっちでもいいから、国の至ることへ配置してほしいよ。こんな状況で売るつもりはないからすぐに持って行って欲しい。


「それともう一つ」

「え? まだ何か?」

「マリアさんがもたらしてくれた石鹸ですが、像と同じような効果があるそうです」

「はい?」

「錬金術で作られた質の良い石鹸で身体を洗った人はそれだけで呪いを撥ね退けることができるようです。石像ほどではありませんし、効果時間も分かっていませんが、それでも素晴らしい効果となっています」


 そっちも知らねー。なんでそんなことに。単に身体を綺麗にしたかっただけなのにどえらい効果があるよ。神様ってすげぇって思えるね。でも、なんでそんな効能があるんだろう? 温泉かよ。


「すでに我が国ではレシピを公開しておりますので、レシピと石鹸のサンプルを他国に送りたいと思うのですが、よろしいでしょうか?」

「私の許可はいりません。早く送ってあげてください」

「ありがとうございます。オルエン、では、祖母にそう伝えてくれ」

「承知いたしました」


 執事さんが椅子から立ち上がる。そして私の方へ笑顔を見せた。


「素晴らしいです、マリア様。レシピを公開していなければ、錬金術師ギルドとの交渉に時間を取られていたでしょう。先見の目がおありですな」

「単なる偶然ですから褒めないでください。それに時間がありませんから、すぐにご対応をお願いします」

「承知いたしました」


 執事さんはそう言って会議室を出ていく。いきなり褒めるから焦ったよ。だいたい、どれもこれも私は何もしてないじゃん。褒められるのは神様であって私じゃないね。それに高品質の石鹸を作れるのはソナルクさんだしね。


 でも、偶然でも何でも何とかなりそうならありがたい。後はエスカリテ様が戻ってくれば完璧だな!


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