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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第二章

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巫女様たちと仲良くなろう


 部屋に入ると二人の女性がいた。


 一人は結構お年を召した方。エルド様よりも上かな。白髪をアップにしていて、優し気な顔をしている。それと着ている草色のローブから微かに土や草の匂いがする。草神様に仕えている巫女様なのかも。


 もう一人は私よりもちょっと年上のお姉さんって感じだけど、長めの黒髪がぼさぼさで厚手の長袖とズボンは明らかにサイズが大きくて合ってない。片方の目が髪で隠れているし、ジト目でクマまである。なんかおどおどしているけど、大丈夫かな。


「草神ドバ様に仕えているクフム様と、虫神ロシダス様に仕えているトッカ様です。こちらは女神エスカリテ様に仕えているマリアさんです」

「最近巫女になりましたマリアです、よろしくお願いします」


 司祭様が紹介してくれたので、すぐさま笑顔を作って頭を下げる。こういうのは最初にやった方が下っぽく見られるけど、巫女として新米なのは私の方で間違ってない。ここは先にやるべき。社会人に処世術は重要だ。


「まあ、ご丁寧に。先ほど紹介がありましたクフムです。おばあちゃんだけど、よろしくね」

「はい、よろしくお願いします」


 白髪のおばあ様がクフム様。草神様って何ができるのかしらないけど、ディアナさんみたいに傲慢には見えないな。それに話し方も丁寧。好感度高いわー。


「私はトッカ……生まれてきてごめんなさい……!」

「そ、そんなことないですよ、お会いできてうれしいです。よろしくお願いします」

「……神がいる……!」

「巫女です」


 なんか自己肯定感が低い人なのかな。両手の人差し指同士をちょんちょんと突きながらこっちをチラチラ見てるんだけど、なにか身の危険を感じる……! とはいっても、邪な感じじゃなくてなんか友達になりたいオーラが強い。


 トッカさんは癖が強いけど、クフム様は近所の優しいおばあちゃんって感じだ。とはいえ、初見でイメージを固定するのはよくないよね。話しながら仲良くなれるように頑張ろう。目標は敵対しないだけど、最初の感触が良かったから大丈夫そう。


 以前、ちょっと聞いた話だと、この国にはもう少し巫女がいたらしい。ただ、待遇に不満があったのか、スカウトされて別の国へ行っちゃったみたいだ。そういう巫女たちは結構傲慢だったと聞いたけど、この二人は違うみたいだね。


 スカウトされるような神様って主に戦闘系だからね。草神様や虫神様だと戦力として考えるのは難しいんだろう。基本的に神様たちは相談に乗るくらいで、目に見えて影響があるのは戦神様とか戦闘系の神様だけ。それ以外の神様はなんというか格が落ちる扱いだ。それでも何かできそうだし、話をしながら教えてもらおう。


 巫女同士の関係としては私が下っ端でもいいんだけど、神様同士は大丈夫かな?


『エスカリテ様、草神様とか虫神様で思いつく神様っています?』

『んー、いないなぁ。そんなピンポイントの天使って誰が作ったんだろう?』


 詳しくは知らないけど、天使って作るものなんだ……まあ、それはいいんだけど、他の巫女様にエスカリテ様の事情というか、神様が天使であることを言ってもいいのかな。私達からすれば神も天使もそう変わらないけど、エスカリテ様と他の天使は明確に違うわけだからどうしたものか。


「ドバ様? 先ほどからどうされたのです? なぜ苦しそうに?」

「んあ? ロシダス様? なんで過呼吸……?」


 あー、これは特に何も言わなくても大丈夫そう。ディアナさんの話だと戦神様がエスカリテ様のことを伝えたのは上位天使だけで、下位天使には伝えていないらしい。おそらくだけど草神様も虫神様も下位天使なのかも。司祭様が紹介してくれたときにエスカリテ様のことを言ったから驚いたみたいだ。


 二人ともそれぞれ神様と話をしているようだけど、その間に司祭様に確認するか。司祭様も神様と天使については知ってるし、教皇様と情報を共有してるって話だから方針も共有しているだろう。


「司祭様、エスカリテ様のことはどういう扱いになりますか?」

「はい、このお二人なら問題ないとのことで、事情は全て話すつもりです」

「そうでしたか」

「では、私の方から説明いたしますね」


 司祭様はそう言って二人に説明を始める。


 二人とも司祭様の話を信じられないだろう。でも、仕えている神様――正確には天使がその話を肯定しているので、二人は驚きながらも話を理解してくれたようだ。


 魔王と勇者の話はしていないけど、神がエスカリテ様以外いないこと、神を名乗っている者はかつて神に仕えていた天使であること、天使であったとしても多くの人が恩恵を受けているのは間違いないので公表するつもりはないこと、このあたりを共有した。


「私達はマリアさんを巫女の頂点と考えて活動するべきなのですかねぇ?」


 クフム様は何を言っているんだろう。エスカリテ様が神でその神に仕えているのが私だから巫女的にも上になるって話なのかな? ここは断固拒否だ。


「クフム様、エスカリテ様は唯一の神として偉いかもしれませんが、私はただの巫女です。なので、同じ巫女同士、優劣はありません。逆に私は巫女として新米ですから、後進としてお二人に教えを乞う立場ですよ」

「まあ」

「……やっぱり神……!」


 おっと、好感度を上げちゃったか? でも、本音だ。そもそも教皇様の歓迎式典でも何していいかよく分からんし。馬車から手を振るだけでいいとか、絶対に罠だと思う。絶対にスピーチとかはしないぞ。


「私はマリアさんを聖女にした上で巫女たちの頂点にするつもりだったのですが、教皇様がそれはマリアさんが嫌がるだろうと却下されてしまいました。なので、皆さんは同じ立場の巫女として引き続き活動をお願いします」


 問題発言頂きました。司祭様、実は敵だった。しかもなんで残念そうに言う。これからも嫌なことは嫌って言おう。なあなあだと勝手に色々されそう。まだ見ぬ理想の彼氏のためにも偉くなっちゃいけない。彼氏のハードルを下げるためには私のハードルは上げてはならぬのだ。


 そんなわけでお茶を飲みながら雑談タイム。


 私としては巫女としての活動を色々聞いておきたい。エスカリテ様への信仰心は稼がないといけないけど、他の神様のシェアを奪うのは良くないからね。


「お二人は普段巫女として何をされているんですか?」

「私は薬草の採取ですねぇ」

「ああ、なるほど、草神様ですもんね。すごい効能のある薬草とかを?」

「そういう薬草は危険な場所にあるから私では採りにいけないの」

「確かにそういう薬草はなぜか危険な崖とか魔物が近くにいるんですよね」


 冒険者ギルドでも結構高額な依頼になるとかルルさんが言ってた。その辺に生えている草で完全回復薬のエリクサーとかできたらそれはそれで変だから当然だけどね。


「そうなのよ。それに私は草の種類が分かっても薬にすることはできないから、薬師ギルドに薬草を納めている程度なの。しかも誰でも採取できるような草をね。長年巫女をやってるけど、あまり信仰されてないのよねぇ」

「信仰はともかく、感謝はされていると思いますよ。庶民じゃ魔法での治療とか金銭的に厳しいですし、手軽に買えるポーションはすごく貴重ですから。少なくとも辺境では大活躍で、すっごい助かってました」


 辺境では魔物が多いから怪我も多い。治癒の魔法を使える人なんていなかったし、回復力が高いポーションは本当に瀕死になったときだけ。お手頃価格のポーションは最高だよ。遠慮なく使えるし、高価な薬だから使うのを躊躇するエリクサー病の心配もない。辺境なら皆がそう言うね。


「まあ。そういえば、私が採取した薬草で出来たポーションは辺境に送られているってギルドの方が言ってたわ。売れ行きも良いとか」

「私もクフム様が採取した薬草のポーションを使ったことがあるかもしれませんね。辺境は魔物が多くて大変ですから、そのポーションで助かった人も多いですよ」

「それなら嬉しいわねぇ」


 おっと、本当に嬉しそうだ。あまりそういう話は聞かないのかな。確かに私もポーションの原料を誰が集めているとか誰が作っているとかまであまり考えていないからね。それなら「私が採取しました」とか、前世のスーパーでよく見たアレをするのもいいと思う。アピール大事。


 それに採取って言ってるけど、自分で草を育てたりしないのかな。草神様の知識ならレアな薬草を見分けるだけじゃなくて、自分で育てられそうだけど。というかウチの畑でも美味しい草を作ってる。


 それを言ったら驚かれた。一緒に聞いてた司祭様も驚いているみたいだ。そこまで驚くことかな?


「今ね、ドバ様に確認したのだけど、簡単な物ならできるみたい。希少な薬草に関しては、以前お仕えしていた神様に聞かないと分からないみたいね。もういらっしゃらないから無理っぽいわねぇ」

「そうなんですか。ちなみにその神様の名前を聞いてもらっても?」

「ちょっと待ってね……レオティア様という名前らしいけど」

『うげ』

『エスカリテ様?』


 なんかものすごい嫌そうな声をだしたんだけど……?


『レオティアね、レオティアかぁ』

『知ってるんですか?』

『まあ、うん。変な野菜を作って私に食べさせようとしたり、変な薬を作って飲ませようとする奴。悪い神ね!』


 エスカリテ様基準だと良い神っていないの? 神様に薬って必要なのか微妙なんだけど、薬を作るために草が必要だったのかな。それを天使に集めさせたとかそんな感じなのかも。


『エスカリテ様がぶっ殺しちゃった感じの神様ですか?』

『ああ、それはないわよ。個人的に悪い神だと思ってるけど!』

『ちなみに草の育て方の情報をもらってくることは?』

『できなくはないわね。行きたくはないけれど!』


 きっぱりとした発言、嫌いじゃないです。でも、行ってきて欲しいところだ。


『お願いできます?』

『情報があるか分からないけど、まめな子だったから家に栽培日誌とかあるかもしれないわね。マリアちゃんの頼みだし、行ってくるかぁ……でも行きたくない! アイツの家、変な植物がうようよしてるの! 防衛機能付きなのよ! 今頃酷いことになってるに決まってる!』

『そこをなんとか』

『ぐぬぬ……はぁ、マリアちゃんにはお世話になってるし、仕方ないから行ってくるわね。でも、そっちの子の話を聞いてからでいい? そっちの天使もそういうのが必要になるかもしれないでしょ?』


 なるほど、その可能性は高いかも。ならまずはトッカさんの話を聞いてからだ。


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