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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第二章

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34/90

錬金術師を探そう

 

『マリアちゃん! なんでそういうことを言ってくれないの!?』

『忘れてました。それよりもコスメです』

『大事な人と忘れられない最高の思い出を――そんな素敵なキャッチフレーズの店をなんで忘れちゃうの!?』

『お店は気になりますが、キャッチフレーズは割とどうでもいいので』


 副店長のワノンさんに提案したコンセプトだけど、意外と食いつきが良いらしく、夜の予約はかなり埋まっているようだ。まあ、私の方からあの中央広場のカップルさんに話をしたらすぐさま予約を入れてたからね。それにガズ兄ちゃんのところに来たカップルさんたちにも宣伝していたようだ。ライバルに塩を送るなんてやるね。私なら傷に塩を塗り込む。


 ワノンさんは高級ホテルの厨房で修行したこともあって、庶民的なものではなく、貴族さんが食べるような高級な料理も作れる。そこそこ値は張るけど庶民がちょっと背伸びして貴族っぽい食事をするのが新鮮だとか。誕生日とかプロポーズ、それに結婚記念日とか、そういう大事な日にそこで食事をするのが流行りになりそう。カップルだったら男性も見栄を張りたいから奮発するよね。


 昼間のランチのほうは夜のようなコース料理ではなく単品の料理だけ。ただ、夜のコースの偵察のためにやってくる男性が多いらしい。一人で来ても下見だと思われているようで、前のように独り身の男性だけが行くような店とは思われることもないようだ。繊細な男性もこれで問題なくお店に通えるってもんよ。


 そんなわけで、たった数日で売り上げが戻りそうとのことだ。これも教皇様目当ての観光客が多いからかな。そして、ついさっき、ワノンさんとその彼女さんまで教会へやってきて寄付をしてくれた。彼女さん、かなりの美人さんだったね。そりゃ店長さんもへこむよ。ワノンさんと彼女さんは結婚する予定だったので店が傾いた状態だと危なかったらしく、めちゃくちゃ感謝された。かー、幸せっていいね。おすそ分けしてください。


 これでエスカリテ様の信者が増えてくれるといいんだけどな。エスカリテ様はワノンさんたちが寄付にくるまでお店のことを知らなくて、ものすごくがっくりしてる。別に知らなくたっていいと思うんだけどね。それにそんなことよりもコスメだ。


『それでレシピはありましたか?』

『それっぽいのはあったよ。家の中が汚くて時間がかかったよ……』

『今度はどんな神様の家に行ったんです?』

『ミナイルって名前なんだけど美の探究者って感じの神ね。前髪のセットがちょっと違うだけなのに、褒めないと殴り掛かってくるようなタイプ。褒めるのを強要する神ってどう思う? 悪い神よね?』

『まともな神様っていないんですか?』


 なんだろう。神様って信仰心があればなんでもできる割にはやってることが微妙だ。ものすごい暇なのかな。というか美の探究者なのに家の中が汚いのか。


 それはいいとして、もってきてもらったレシピでコスメを作るには基本的に魔力を使うようで、いわゆる錬金術の領域だ。前世に魔力なんてないから作れないことはないんだろうけど、文明の方向性が違うからこっちでは魔法で何とかしてるわけだ。たぶん、昔の転生者もコスメを作る知識はなくて、魔法で何とかしようとしたのかも。


 それに目を付けたのがエスカリテ様の知り合いである美の探究者らしいミナイル様だ。なんか巫女を通してその転生者と色々やっていたらしい。お酒好きのギザリア様とは違って独占し、日ごろから美を極めようとしている女性にだけに知識を与えていたとか。美を極めるってなんだ。


 そんなわけでこの世界にあるのは魔法なしでもつくれる石鹸くらいしかない。あとは香油とか香水。肌や髪を直接綺麗にする魔法なんてのがあるらしいけど、そういうのは貴族様のお抱え。誰でも手軽に使えるような化粧品はないわけだ。お金儲けの匂いがプンプンするぜぇ……!


『それじゃ今日は冒険者ギルドに行きます』

『邪神像を破壊するの?』

『それもしますけど、錬金術師を紹介してもらおうかなと』

『ああ、そういうこと』


 それじゃ錬金術師を雇いに冒険者ギルドへ出発だ。


 教会を出て大通りまで出ると、多くの人が楽し気に歩いている。教皇様の歓迎式典を見るために来ているんだと思う。ものすんごく早く来たから準備が整ってなかったけど、来週くらいにはこの大通りでパレードするみたいだ。なんか私もそのパレードに参加しないといけないみたいなんだよね。私だけじゃなくて、この国の巫女様全員が参加だ。


 この国にいる巫女様は私を含めて三人。残念ながらかなりマイナーな神様――天使なんだけど、国としてはかなり少数らしい。巫女様っているだけで戦力になるから国家間による引き抜きも多いとか。この国にいる巫女は私を含めて全員がマイナーな神様なのでどこからも引き抜きされていないけど。


 たしか草神様、虫神様だったかな。今は大聖堂で寝泊まりしているようで、今度話ができるように司祭様が手配してくれているみたいだ。問題はその神様たちがエスカリテ様をどう思っているかなんだよね。


 戦神マックス様を倒した後の天界に関してはどうなっているのか分かっていない。ディアナさん経由で聞いた話だと、すでに上位天使たちにはエスカリテ様のことを話してあるとか。ただ、それ以降に新しい話はない。そもそもどの神よりも信仰心を集めている戦神様が倒せない時点で、他の天使たちも倒せないから諦めたのかな?


 他の巫女様たちとは仲良くやりたいよね。少なくとも敵対はしたくない。でも、巫女様って結構傲慢らしいからなぁ、エスカリテ様のことが伝わっていない下位天使だと攻撃されるかも。そのときはそのときだけどさ。


 おっと、考えて歩いてたらいつの間にか冒険者ギルドに着いた。


 中に入るとすぐさま受付嬢のルルさんが私に気付いて手を振ってくれた。どうやら今は他の冒険者さんに対応中みたいだ。なんか最近、ルルさんの人気が高いらしい。普段クールなのに笑顔が増えたとか。クールビューティの笑顔とか最高かよ。クール系イケメン眼鏡がニヒルに笑うのと一緒か。


 ルルさんは対応中だし少し待とう。食堂が併設されているから何か食べようかな。


 それにしても冒険者が増えたね。教皇様を見に来た観光客の護衛で来た冒険者だとか聞いたけど、確かに普段見かけない冒険者が多い。理想の男性はいねがー。


『ねぇねぇ、マリアちゃん』

『どうしました?』

『隅っこのテーブルにいるまんまる眼鏡をかけた魔法使い風の子なんだけど』


 そちらを見るとエスカリテ様の言葉通りの子が一人で座っていた。つばの広い三角帽子をかぶってまんまる眼鏡を付けている。ローブを着て、身長と同じくらいの杖を抱えている感じだから確かに魔法使いっぽい。私と同じくらいの年齢で、肩くらいまでの黒い髪を両サイドで三つ編みにしている女性。眼鏡がちょっとずれていることろがポイント高い。


『あの人が何です?』

『魔力が結構高いよ』

『そうなんですか?』

『あの子が錬金術をできたら化粧品に関しては解決じゃない?』

『そういうことですか。でも、魔力があっても錬金術って難しいんじゃ?』

『聞くだけ聞いてみましょうよ。それに私の中のカプチュウが騒ぐのよ……!』

『最近、そのセリフが好きなんですか?』


 エスカリテ様の中にいるらしいカプ厨が騒ぐってことは恋愛的な何かがあるのかな。地味系女子が「おもしれー女」って言われるあれか。こういうのはエスカリテ様が神でもただの勘らしいから間違っていることも多いけど、とりあえず話をしてみるくらいはいいかも。でも、さっきからちょっと挙動不審というか、お皿の上にあるフライドポテトをポリポリ食べながらキョロキョロしてるけど、大丈夫かな?


「あの、すみません」

「ひぃ! すみません! すみません!」

「え? ちょ――」

「お、お金はありませんが、さ、皿洗いでも何でもしますから! 追放だけは勘弁してください!」


 おっと、そういう感じか。無銭飲食は悪いことだけど、身なりから考えてもなにやら事情がある様子。それにお腹を空かせている子には何となくシンパシーを感じる。ここは話を聞いてみよう。もちろん、おごっちゃうよ。


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