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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第二章

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32/89

チョコレートを作ろう

 

 女神エスカリテ様のカプ厨ターゲットになってしまった巫女マリアです。神なんかいねぇな。自分が認めた奴としか結婚させないと言う父親と同じだよ。そういう親に限って、実家住みの娘に「お前、いい人いないのか」とか言い出すんだぞ。経験済みだから分かる。彼氏はいたけど、いい人はいなかったんだよ……詐欺師は滅べ。


 嘆いていても仕方ないので前向きに行こう。ポジティブシンキング。


 戦神様の巫女であるディアナさんとのことがあってから二週間経ったけど、とうとう教会にお風呂がついた。それだけじゃなくて、教会も前より立派になった。最初は王都の中心に今の四倍くらいの土地で大きな教会を建てましょうとか言われたけど、それは却下。エスカリテ様もそれはちょっとって引いてたし。


 こうなったのは教団経由でディアナさんのおかげなんだよね。脅されたり襲われたりと色々あったから、お詫びで大量のお金を提示されたんだけど、さすがにそれは受け取れないと断った。でも、ケジメはちゃんとつけないといけないと教皇のアマシャ様に言われてしまった。それなら教会に浴槽を付けて欲しいと頼んだら、なぜか教会の改築までされてしまった。隙間風が入ってこない家は嫌いじゃない。


 そんなわけで教会のバージョンが上がったぜ。美味しいごはんと温かい寝床、そして毎日入れるお風呂。人生の春やでぇ。


 春はここだけじゃなく孤児院もだ。なんか支援金が増えたとか。さらにはエルド様がカクテルのお礼にってものすんごい報酬を送ってくれたらしい。お金ってあるところにはあるんだよね。お金は寂しがり屋だから、たくさんあるところに行くって言うけど本当だったのか。大事にするからうちにも来てよ。


『マリアちゃーん』

『エスカリテ様、どうされました?』

『本当に私のミニ石像を作って売るの?』

『そりゃ作りますよ。お金を稼がないと』


 すでに石工技師さんには発注済み。最近まで教会を改築してたけど、その間に絵師さんがエスカリテ様の像をスケッチしてくれて、それを元に彫ってくれている。そのお金も教団がだしてくれた。私の懐はノーダメだ。


『お金稼ぎの手段なんだ?』

『信仰心を上げるためでもありますよ』


 ちょこちょこ寄付してもらえるのもありがたいけど、最初にミニ石像を買ってくれたら寄付金はもういいよってことにするつもりだ。サブスクじゃなくて買い取り式。確かにお金も欲しいけど、エスカリテ様に必要なのは信仰心。寄付をしてくれたからと言って信仰心が上がるわけじゃないし、目につくところに置いてもらって毎日お祈りしてもらった方が良いに決まってる。たぶん。


 それを説明するとエスカリテ様は「なるほど」と納得してくれた。


『色々考えてくれてるのね。ありがたやー』

『拝まないでください』


 見えないけどエスカリテ様に拝まれた。神様に拝まれるなんて畏れ多いよ……おっといけない。それよりもお願いしようと思ってたことがあった。


『そのミニ像なんですけど、祝福してもらっていいですか?』

『それは別にいいけど、なんで?』

『ご利益がありそうなんで。別にすごい性能がある必要はないんです。なにかこう日々にちょっとした幸せがあるといいんですけど』


 前世みたく何の意味もないツボを買わされそうになるのは嫌だし、したくない。せっかく買ってくれるんだから、ほんのちょびっとでも幸せがあるといいよね。卵割ったら黄身が二つあったとか。地味すぎるかな?


『む、難しい祝福ね。風邪を引きにくくするとか、そんな感じの祝福かな……?』

『最高じゃないですか。健康は大事ですよ』

『あ、本当? 自慢じゃないけど私って生まれてこの方、一度も風邪を引いたことないの!』

『神様なんだから当然では?』


 神様が風邪ひくって何さ。その時点でもう神じゃないような気がする。それはどうでもよくて、風邪予防の像だったらエスカリテ様の信仰心も爆上がりだ。そういうアピールもしっかりしていかないと。重要なのは宣伝だよ。


 とにもかくにも信仰心を稼ぐためなら何でもしないと。聖剣が刺さったままの魔王と魔剣が刺さった勇者、その二人を助けるためにはエスカリテ様がもっと信仰されていないといけない。


 問題は信仰心をがっつり稼ぐには期限があることだ。それは私。エスカリテ様の巫女が存命中じゃないといけない。これまでエスカリテ様は二千年ほど寝てた。その間にエスカリテ様の巫女はいなかったんだけど、普通に起きている状態でも、三、四百年に一度くらいしかエスカリテ様と話せる巫女はいなかったみたいだ。エスカリテ様と波長が合う人が少ないってことなんだろう。それもどうかと思うけど


 あまり考えたくないけど、何らかの理由で私が死んじゃったりすると、次の巫女がいつ出てくるか分からない。巫女がいなくても信仰されていればなんとかできる可能性はあるけど今の状況だと難しい。なので、今の状況は二千年ぶりの好機とも言える。私がいる間になんとか二人を助けられるだけの信仰心を稼がないと。


 この国だけじゃだめだよね。一人の信仰心に多少の違いはあれどそんなには変わらないらしい。信仰心を稼ぐには多くの人に信仰されないと駄目ってことだ。エスカリテ様の像を輸出したり、もっと世界規模で貢献してますよとアピールしないと。


 孤児院の皆にはエスカリテ様を信仰してってお願いしているし、院を出た兄さん姉さんたちにもお願いの手紙をだしたから、その辺りから広まってくれると助かるんだけどな。もっと啓蒙活動をしておこう。


『マリアちゃん、最近なんかやる気ね?』

『勇者さんと魔王さんを助けるんでしょう?』

『……私はマリアちゃんにどれくらい感謝すればいいのかしら?』

『それは私の理想の男性を見つけてくれれば』

『分かった! マリアちゃんの理想だと全然足りないからもっとハードルを上げておくわ!』

『余計なことはしなくていいです。普通でいいんですよ、普通で』

『何度も言ってるけど、そういうのは認めないから! 世界最高の彼氏を見つけてあげるわ!』


 なんで私の理想なのにエスカリテ様がその理想レベルを上げるのだろうか。カプ厨、ここに極まれりなんだけど、それは私じゃない人でやって欲しい。まあ、それも勇者さんと魔王さんを助けてからだな。それが終わってからじっくりお話しよう。よく考えたら二人を助けるまで彼氏できないのか。こいつはやばいぜ。


『理想の男性に関しては後で話すとして、エスカリテ様にもバリバリ働いてもらいますよ』

『それはいいんだけど、神に働けっていうのマリアちゃんくらいよ?』

『立っている者は親でも使えと言う言葉がありまして』

『面白い言葉ねー、でも、私、神なんだけどね?』


 親よりも神様の方が上だけど、手の空いているならはビシバシ働かせるぞ。


 とはいえ、エスカリテ様だけにやらせるわけにはいかない。そのために前世の異世界知識も惜しみなく出すつもりだ。転生者ってばれたら危険かもしれないけど、あれって今の神である天使たちが災厄だって言っているだけだから問題ない。そもそもエスカリテ様が災厄扱いだしね。それになぜか魔王も災厄扱いされている。もしかしたら天使では勝てないほど強いのかな……?


 おっと、思考が逸れた。それも大事だけど、まずは異世界知識。この世界って意外と転生者がやらかしてて大体の物がある。でも、無いものがあった。


 それはチョコレート。他の国にはあるかもしれないけど、少なくともこの王都にはない。ガズ兄ちゃんのところのスイーツはバターとか生クリーム、それに果物が主体でチョコレートはなかった。作ることができたら売れるんじゃないかな。むしろ私が買う。


 具体的な作り方はよく知らないけど、たしかカカオ豆を……潰して砂糖を混ぜればいいはず。あと、湯煎とかテンパリング……? 違うかな? うろ覚えだけどイメージをガズ兄ちゃんに伝えたらチョコレートを作ってくれるはずだ。なんかガズ兄ちゃんは洗礼で料理の才能があるのが分かったらしいし、スイカに塩をかけたら甘くなる理論といえば理解してくれると思う。違うかな?


 その前にエスカリテ様に聞いてみようかな。もしかしたら知っているかも。


『エスカリテ様はチョコレートって知ってますか?』

『なにそれ?』

『黒くて甘くておいしい食べ物なんですけど』

『二千年前まではなかったと思うけど、甘くておいしいんだ?』

『はい。たしかカカオ豆から作るんですけど、豆のほうは知ってます?』

『あー、苦い感じの豆がそんな名前だったかな?』

『それだと思います。なら市場で売ってるかも。今日はこれから行ってみようかな』

『あれが甘くなるの?』

『たぶん。詳しい作り方は良く知らないんですけどね』

『へー、そうなんだ?』


 なにか食いつきが悪い。おにぎりと同じで食べたことがない物に興味は惹かれないか。でも、チョコレートだよ。ストレスが高い時の万能薬とも言えるチョコレート、発狂までのカウントダウンをゆっくりにしてくれる効果がある。前世の詐欺師たちはチョコレートに感謝しろ。


 それはいいとして、ここはおにぎりの時と同じようにエスカリテ様にもテンションを上げてもらおう。


『前世ではそのチョコレートを使ったカップル未満のやり取りがありましてね』

『……! そういうの待ってた!』


 食いついた。デカい釣り餌だぜ。バレンタインが流行るわけじゃないだろうけど、チョコレートはいつでも食べたいので流行って欲しいな。



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カップルエピソードにチョロすぎるよ、エスカリテ様…
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