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女神(邪神)様はカプ厨!  作者: ぺんぎん
第一章

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状況をまとめよう


 司祭様から色々と話を聞いて教会に戻ってきた。今日もお土産のお茶菓子が大量だ。普段なら喜ぶところだけど、今は考えなくちゃいけないことが多いので、まずは聞いた話をまとめよう。きちんとメモも取ったし、エスカリテ様とじっくり話しをしないとね。


『状況をまとめたいんですけど、大丈夫ですか?』

『もちろん大丈夫よ。でも、あの天使ども、よくもあんな嘘を……!』

『まあまあ、邪神の天使だから仕方ないですよ』

『仕方ないで済まされることじゃないんだけどね!』


 エスカリテ様がかなり怒っているようなのでポップコーンと貰ったお茶菓子をお供えした。あと、アルコールなしのカクテル――ただのジュースか。それを小さな祭壇に捧げると、エスカリテ様はそれをバリボリと食べ、飲み物も喉をゴクゴクと大きく鳴らして怒りをアピールしてる。でも、飲み食いが終わってから大きく息を吐くとちょっと落ち着いたみたいだ。美味しいものは精神を安定させるよね。私はそれをチョコでやってた……この世界にチョコってあったっけ。くそう、思い出したら食べたくなってきた。おっと、それよりもまずはエスカリテ様だ。


『落ち着きました?』

『うん、ようやく落ち着いた。美味しいものは偉大ね』

『それでは今日得られた情報をまとめたいのでご協力をお願いします』

『分かったわ』

『エスカリテ様には常識的なことでも私が知らないことがあるので、間違っていたらその都度指摘してください』

『りょーかーい。さあ、どんときて!』


 まずは勇者と魔王、そして勇者の妹さんのことからかな。


『えー、勇者はエイリスさん、魔王はベルトさん、そしてエスカリテ様の巫女だったのは勇者さんの妹でコトさん。間違いないですか?』

『うん、間違いない』

『エイリスさんとベルトさんは、争いをやめて平和な世界を創ろうとしていた』

『そうなのよ! すごくない!? 二人だけの話じゃなくて種族間の話でもあったからすっごく苦労してたの!』

『人と魔族ってことですね。確かに苦労は多そうです』


 勇者と魔王がそれぞれの種族を率いて争っていたらしいから、一人二人ならともかく、種族単位で説得するなんてほぼ不可能だと思う。どうやったのかは知らないけど、かなりの苦労があったんだろうな。


『最終的に神たちの手によってエイリスさんとベルトさんは殺し合いになった』

『そうなのよ。それまでも何度か戦ったことはあったのよ、でも、お互いに殺したくないという気持ちがあることに気付いたんでしょうね。いつのころからか戦わずに話し合いをしていたわ。そこでお互いに惹かれたのね。それぞれの種族を説得して、二人が平和の象徴になるように結婚しようって話になったの』


 結婚したいから頑張ったという考えになるのは無粋かな。たとえそうだとしても、生半可な気持ちじゃやり遂げられないと思う。愛の力はすごいね。


『最終的にあの邪神どもに体を操られてしまった勇者と魔王が、それぞれの相手を聖剣と魔剣で貫いた……その後の記憶はあまりないの。コトちゃんにごめんと謝った気はするけど、覚えているのは現実だと思えない気持ちと、どす黒い感情、それと私を邪神と呼んだアイツら……気付いたら天界にいた神々をぶっ殺した後だったわ』

『……はい』

『その後は天界の上層から天使たちを追放して、誰もいない場所で泣いて、いつの間にか眠ってた。アイツらがエイリスちゃん達の身体を支配したとき、すぐに対応すればあの二人は――』

『後悔は後にしましょう。もしかしたらエイリスさんのお墓があるかもしれませんし、後悔や謝罪ならそこでするべきです』

『……そうね、今の私は後悔する権利すらないと思う。せめて、エイリスちゃんの墓で謝罪してからじゃないとね』


 正直なところを言うと、エスカリテ様は何も悪くない。謝罪とは何の謝罪なんだろう。神々が介入したのにエスカリテ様が傍観してしまったことだろうか。それともエスカリテ様と同じ神々がやらかしたことの謝罪ってことかも。


 勇者と魔王、そして巫女に関してはこれくらいかな。なら次は天使だ。いや、その前に天界のことかな。


『次に天界のことなんですが、上層というのがあるんですか?』

『そうそう。天界は上層、中層、下層って分かれていて、私がいる場所は上層ね』

『具体的にどう分かれているんでしょうか?』

『具体的に……? 説明が難しいのだけどピラミッドって分かる?』

『三角のお墓ですよね?』

『三角……うん、まあ、そうかな。あんな感じではあるけど、下が上を支えているわけじゃなくて、上層が中層を、中層が下層を構築しているって感じと言えばいいかな。もちろん物理的に支えているわけじゃなくて、高次元側が低次元側の空間を構築しているというか、木の根のように下層が無数に広がるというか……分かる?』

『う、ううん?』

『ごめんね、言語だと上手く説明できないの』

『そうですか。まあ、そこはいいです。なんとなくは分かりましたから』


 嘘です。わかりません。でも、詳しい説明はいらないかも。単純に上層、中層、下層に分かれているってことが分かれば十分だった。エスカリテ様はそこの上層にいると。なら天使たちはどこにいるんだろう。上層以外だから、中層かな?


『天使たちは中層にいるんですか?』

『そのはずだけど、天使たちも二種類いて、中層に入れるのは上位天使、下層は下位天使になると思う』


 また新しい言葉が。でも、天使が二種類か。こっちでは神々を知名度でメジャーとマイナーに分けているけど、天使たちもそういう扱いなのかも。そして中層は上位天使、低層は下位天使と。


『なら戦神マックス様は上位天使なのかな……というか、エスカリテ様ってマックス様のことを知らなかったですよね? そこで天使だと思わなかったんですか?』

『邪神どもの天使の名前なんて覚えてないよ。話したこともないし』

『それなら知らなくて当然ですね』


 邪神の天使に恨みはないけど興味もないってことかな。少なくとも見逃しても問題ない程度にしか思われていなかったと。


『今の神々はエスカリテ様を倒そうとしていますけど、天使は上層へ行けるんですか?』

『上層に入るには神の許可が必要なの。だから今は私だけしか許可を出せないんだけど、どうやって来るつもりなのかしらね?』


 なるほど。今の神はエスカリテ様だけ。そのエスカリテ様が許可を出さない以上、天使たちは上層にいけないわけか。でも、力を集めて倒すとか言ってたような。他にも行く方法があるのかな?


『他に方法はありますか?』

『天使が神になって許可を出せば入れるけど』

『え? 神になれるんですか?』

『前にちょっと言ったと思うけど、神であるためには神格が必要なの。天使でも神格を持ったなら神になれるわね。神格は目に見えるような物じゃないんだけど、邪神どもの神格は全部私が持っているから、天使たちは神になれないはず』

『邪神以外の神格はあるんですか? たとえばギザリア様の神格とか』

『あー、そういう可能性はあるのかな。でも、神格があったとしても上層にしかないと思う。そもそも神は次元が低い中層や下層には滅多に行かないし』

『なるほど』


 この辺りの情報をディアナさんから聞けないかな。戦神マックス様ならエスカリテ様を倒せるとか豪語してたわけだし、何かしらの手段があるのかも。


 さて、今日知った情報をまとめるとこんな感じかな。これらを総合して考えると……戦神マックス様の傘下につくとかないね。確証はないけど、そもそも神じゃなくて天使じゃんという話でもあるし、エスカリテ様を倒そうとしている人の下につくわけがない。ということでお断りだ。司祭様も断っても大丈夫って言ってたし、しっかり断ろう。


『ねぇねぇ、マリアちゃん』

『どうしました?』

『ずっと後でいいんだけどさ、エイリスちゃんのお墓がある場所が分かったら、連れて行ってくれないかな?』

『え? 当たり前ですよね?』

『……当たり前なんだ?』

『エスカリテ様は私の近くしか見えないんですから、私が行かないとお参りできないじゃないですか』

『その通りなんだけど、面倒くさいとかないの?』

『エスカリテ様にはお世話になっているんですから、それくらい当然ですよ』

『……そっか、ありがと』


 とはいえ、お墓の場所ってどうやって調べればいいのかな。司祭様は知らないと言ってたし……おっと、そういう時の冒険者ギルドじゃない。そろそろ邪神像も貯まっているはずだし、ギルドで依頼を出してみよう。


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