第8話『封印・頭部《サンクタム》―記憶を喰う声』
【Scene 1:聖域都市・市街地】
カーン……カーン……(鐘の音)
美しい尖塔、祈りの歌、石畳の広場に集う人々――
一見すれば“平和の象徴”のような街。
だがこの都市には、かつて“記憶を代償に力を得る”という
禁断の魔術《刻印式・精神構造干渉》が封印されていた。
ミラ「この街の地下、旧大聖堂の奥に“頭部”が封印されてるわ」
ユウ「……封印されてる、って信じていいのかよ」
カイ「信用はするな。“声”はもう表層に漏れてる。
それが“今朝の集団記憶障害事件”の原因だ」
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【Scene 2:異変】
ガンッ! ガシャアアアァン!!(建物から転落音)
???「やめてぇぇええ!! 頭の中に……誰かが……喋ってくるッ!!!」
ボゴォッ!(通行人を殴る音) ギャアアアッ!!
ミラ「始まってる……“頭部の力”は記憶に干渉する。
それに触れた人間は、自分と他人の境界が曖昧になっていくのよ」
ユウ「つまり……“自分の記憶”が誰かのものと混ざる……!?」
カイ「そうなる前に、“頭”の本体を見つけるしかない」
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【Scene 3:旧大聖堂・地下封印区画】
ギィ……バン……ッ!(大扉が開く)
三人は静かに、大聖堂の奥深くへ。
そこには巨大な祭壇、
その中央に、黒い仮面のようなものが浮かんでいた。
それが――
《アモンの頭部》
形状:空中に浮遊する仮面
能力:記憶干渉、幻覚誘発、言語改変、強制共鳴
危険度:最悪
接触条件:視線/言語理解
> そして、その仮面が、しゃべり始める。
『キミは誰……? 僕はキミだよ』
ユウ「……っ、今の声……!? どこから聞こえた!?」
ミラ「ユウ、目を合わせるな!! 耳を塞いでも意味はないわ、
あれは“直接、脳に声を送ってくる”!!」
カイ「“視線に入った瞬間”、記憶領域へ干渉が始まる――!」
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【Scene 4:記憶の侵食】
ユウ「う……あ……があああっ……!!!」
バシュウゥゥゥッ!!(脳内イメージが崩壊)
ユウの中に、“もう1人のユウ”の記憶が流れ込んでくる――
両親の顔が歪み、友の声が混ざり合う。
『どれが“お前”の記憶だ?』『ねえ、本当に存在してたの?』
ミラ「ダメ……あの子、既に“侵食深度30%”!!」
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【Scene 5:アモンの声と接触】
> 『ユウ――名前。それは他人が呼ぶもの。
本当のお前は、何を代償にした?』
その声が、ユウの脳内深層に潜り込んでくる。
そして、
“契約時に失った記憶”のフタが、いま――開かれた。
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【Scene 6:記憶の真実(断片)】
・ユウには弟がいた。
・“腕”との契約で、その存在を消した。
・代償は「弟との記憶全て」。
ミラ「……記憶に埋もれてる、忘れられた大切な何か――
アモンの頭部は、それを**“餌”にする”**」
カイ「“記憶ごと世界を書き換える”……
この頭部、完全に目覚めたら人類の歴史自体が変わるぞ……!」
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【Scene 7:覚醒前夜】
仮面がゆっくりと割れ始める――
そこから漏れ出す無数の“声”。
『忘れていいよ』『全部、僕が持っておくから』『キミは空っぽになっていい』
ユウ「……やめろ……!」
ユウ「それは……それは俺の“痛み”だろうが!!
忘れたくて、忘れたんじゃねぇよ!!!」
> 『――なら、取り戻せ。“刻印再接続”だ』