第2話『契約者ユウ、咆哮(ほうこう)す』
ゴオオオオ……ッ!!
黒い腕から噴き出した“気”が、空気を裂いた。
草が揺れ、鳥が飛び去り、辺り一帯がざわめく。
ユウ「……な、なんなんだよ、これ……! 力が、勝手にッ――!」
ガキィィィン!!!
鎧の騎士が、大剣を振り下ろす!
ズシャァアア!!(土煙と共に大地がえぐれる)
ユウ「っぶねぇぇぇ!!」
ゴロゴロゴロッ!(転がる音)
すんでのところで跳び退いたユウの目の前に、
**ズッ……!**と静かに大剣が突き刺さる。
騎士「……排除対象、再ロックオン」
ギュイイイイン……!(眼の光が収束する)
ユウ「やべえ……こいつマジで殺る気だ……!」
握った右腕が**ズゥゥン……ッ!**と脈動する。
> 『恐れるな。力を解放せよ。汝は既に契約者――我が“腕”の主なり』
ユウ「……っ、そうかよ。だったら――」
ドッ!!(地面を蹴る音)
全力で走り出すユウ。その右腕が、黒く染まり、
指が獣の鉤爪のように伸びていく。
バチバチバチ……!(黒雷のようなエネルギー)
ユウ「一発、かましてやる!!」
グォォォオオオオ!!!(咆哮のような衝撃波)
騎士「……想定外。エネルギー出力、異常数値」
ザンッ!!(ユウの跳躍)
ユウ「喰らええええぇぇっっ!!」
――ガッ!!!!!!(拳がぶつかる衝撃)
拳と大剣が真正面からぶつかり合う!
ギリギリギリィィィ!!(金属がきしむ音)
一瞬、拮抗。
だが次の瞬間、黒い腕がさらに螺旋状にねじれ、“形を変えた”。
ボコッ……ギュルルッ!!(変形の音)
ユウ「……変わった……!?」
> 『一時的解放モード:《斬腕形態》』
右腕が、巨大な鎌状の刃に変わっていた。
ユウ「いけええええっっ!!!」
ズバアアアアアアッッ!!!!!!
斬撃が空を裂く。
鋼鉄の騎士の胴が、**スパァアアアン!!**と真っ二つに!
ゴゴゴゴゴ……!!(崩れ落ちる音)
騎士「処理……失敗……」
ガチャン……ッ!!(崩壊)
沈黙。
森に、風が戻る。
ユウ「……や、やったのか……?」
重い呼吸。冷や汗。鼓動が、耳の奥で響く。
ドクン……ドクン……ドクン……
> 『良き戦いであったな、我が契約者よ――だが、これは序章に過ぎん』
ユウ「……何が、“序章”だよ……」
そしてふと、指を見る。
手が、まだ“黒く”染まったままだ。
「……これ、ホントに元に戻るのか?」
しかし、答えはない。
空を見上げた少年の背に、
**新たな“気配”**が迫っていることに、まだ気づいていなかった――。