第36話「創造の果て、そして新たなる黎明」
◆ 混沌神戦後
混沌神を打倒してから数日。
黎明帝国ノヴァリアには、静かな平和の風が流れていた。
「これが……戦いの終わった世界……」
バルコニーから街を見下ろしながら、蓮は深く息を吐いた。
市場には活気が戻り、子どもたちの笑い声が響き渡る。
農地では豊かな穂が揺れ、兵士たちは武具を磨きつつも笑顔を交わしていた。
「随分……変わったよな」
「ええ」
隣に立つイリスが、淡く微笑んだ。
「貴方が創ってくれた世界よ、蓮」
◆ 評議会
中央議事堂・皇帝執務室。
蓮は仲間たちと共に、新たな世界の体制構築会議を開いていた。
「深界連合、神界連邦、原初秩序連合……全てが崩壊し、世界の権力構造は真空状態です」
ミストが淡々と報告する。
「つまり……この帝国が、世界の中心になるってことか」
カイエンが腕を組んだ。
「でも、それじゃあ今までと同じじゃない?」
リーナが鋭い視線を向ける。
「私たちが望んでいたのは、“誰も支配しない世界”。自由と選択のある世界でしょ?」
◆ 皇帝の決断
蓮は静かに頷いた。
「そうだな。俺たちが神や王に代わって世界を支配したら、それはまた同じことの繰り返しだ」
無限アイテムボックスに手を入れ、《創世剣〈イデア・エクスカリバー〉》を取り出し、机の上に置いた。
「だから――」
その言葉に全員が注目する。
「この剣で、最後の創造をする。この世界に……“完全なる自由と可能性”を与える」
◆ 最後の創造
夜。
黎明城最上階の神殿。
蓮は一人、剣を手に祈りを捧げていた。
「この世界に生きる全ての者たちが、自由に選び、自由に生きられるように……」
白銀の光が彼を包み込み、天へと伸びていく。
《創造者最終術式・自由創世》
彼の声が世界全土に響き渡った。
◆ 世界改変
翌日。
帝国全域、そして世界全土で変化が起きた。
腐敗していた土地には緑が芽吹き、荒れ果てていた海には魚影が戻った。
無数の浮遊大陸が統合され、人々は自由に行き来できるようになった。
病気は癒え、飢えは満たされ、悲しみは希望へと変わっていった。
「これが……蓮の創った世界……」
イリスが涙をこぼし、リーナが肩を抱いた。
「でも……彼は……」
◆ 皇帝の消失
黎明城最上階。
蓮の姿は、神殿から消えていた。
《創造者最終術式》の代償として、彼は存在そのものを世界に溶け込ませたのだ。
全ての人々の選択と自由を保証する“根源的存在”として――
◆ 仲間たちの誓い
「……蓮」
イリスは空を見上げ、涙を拭った。
「貴方が創ってくれたこの世界……私たちが守っていくわ」
シャムが槍を突き立てる。
「国防は任せろ!」
カイエンが戦斧を担ぎ上げる。
「労働者の賃金アップも任せろ!」
マリルが笑顔で手を挙げる。
「楽しい遊園地も作るからね!!」
ネフェリスが歌い上げる。
《叡智共鳴歌・黎明の賛歌》
彼らの誓いは、青空へと響き渡った。
◆ 世界の黎明
そして、世界は新たな時代《自由創世紀》へと突入する。
神も秩序も運命もない。
ただ、人々の自由と意思が全てを決める時代。
その礎には、ひとりの創造者の魂が眠っていた。




