第32話「黎明帝国・完全独立」
◆ 世界秩序を超えて
原初神王アルファディウスとの決戦から一週間。
黎明帝国ノヴァリアは、これまでにない静寂と解放感に包まれていた。
「世界秩序そのものに勝つなんて……本当に、信じられないよ」
中央議事堂の廊下を歩きながら、リーナが隣の蓮に笑顔を向ける。
「いや……実感なんか湧かないさ。俺自身も、まだ夢を見てるみたいだ」
蓮は苦笑し、白銀の髪をかき上げた。
その瞳には、以前にはなかった深い光が宿っていた。
神王との戦いを経て、彼は確かに“創造者”として覚醒していた。
◆ 評議会決議
黎明帝国中央議事堂。
今日の議題は、《黎明帝国完全独立宣言》。
「神界連邦、深界連合、原初秩序連合……全てに勝利した今、帝国は完全なる独立国家として、どの次元勢力にも属さない自由国家となることを宣言します」
イリスが堂々と宣言文を読み上げると、議場から大きな拍手が湧き起こった。
「異議なし!!」
「賛成!!」
ノアが無表情のまま小さく拍手を送り、ネフェリスは満面の笑みで両手を叩いていた。
「これで……この国は、誰にも縛られない“自由の国”になるんだね!」
◆ 民たちの声
中央広場では、民たちが歓喜していた。
「これでようやく、戦争のない時代が来るんだな……!」
「皇帝陛下ばんざーい!!」
「イリス女神様ばんざーい!!」
蓮とイリスはバルコニーに立ち、その様子を静かに見守っていた。
「……いい顔してるな、みんな」
「ええ。貴方のおかげよ」
イリスがそっと微笑む。
◆ 新たなる提案
その夜、黎明城最上階の会議室。
仲間たちが集まる中、ミストがタブレットを叩きながら言った。
「これからの課題は山積みです。都市拡張計画、農業生産力強化、教育機関の体系整備……」
「でも、それが建国ってやつだろ?」
カイエンが豪快に笑う。
「戦争だけが国づくりじゃねぇ。これからが、本当の“無双建国”だ」
◆ シャムの決意
「私も、槍の稽古場を作りたいんだ!」
シャムが拳を握る。
「子どもたちに戦い方を教えたい。誰かを守るために……力を使えるようにって」
「いいじゃん、シャムちゃん!」
マリルが笑い、ネフェリスが拍手した。
「私は……孤児院と歌劇学校を兼ねた“希望の楽園”を作りたいな!」
◆ 蓮の夢
全員の言葉を聞きながら、蓮は静かに目を閉じた。
(俺の夢……)
ふと、現代日本でただ逃げていた頃の自分が頭をよぎる。
何も成し遂げられないと諦めていた日々。
だが、今は違う。
(この世界でなら……この仲間たちとなら……)
彼はそっと微笑んだ。
「よし。全部やろう。全部まとめて、世界一自由で、世界一強くて、世界一優しい国にするんだ」
その言葉に、全員が笑顔になった。
「「ああ!!」」
◆ 暗躍する影
だが、その頃――
創世神域最深部。
崩壊したはずの原初秩序領域の奥に、ひとつの影が佇んでいた。
「なるほど……“創造者”か」
赤黒い双眸が虚無を見つめる。
「だが……世界はまだ完成していない。次なる“混沌の秩序”を生み出すために……」
低く唸るような笑い声が虚無に響いた。
◆ 夜明け
黎明城のバルコニー。
蓮とイリスは寄り添いながら、夜明けの空を見上げていた。
「これからが……本当の建国だな」
「ええ。貴方となら、どこまでも行けるわ」
二人の目に映るのは、無限に広がる青空。
そして――
新たな物語の始まり。
無双建国譚は、次なるステージへと歩み始める。




