第15話「無双建国始動」
◆ 真白き世界
創世神域。
それは虚空神王撃破後に開かれた“創造の座標領域”。
この世界には文明も街もなく、ただ無数の魔力草花が黄金色の大地を彩り、空には虹色のオーロラが揺れていた。
「ここが……私たちの国になる場所……」
マリルが両手を広げ、瞳を輝かせる。
「綺麗……けど、空気密度が低いわ。魔素濃度が異常に高い。呼吸結界を長期展開しないと、人間には過酷かも」
ミストが魔導端末を操作しながら答える。
「だったら環境改変から始めないとね」
蓮は無限アイテムボックスを開き、複数の魔導機材と設計図を取り出した。
「……また大量に取り出したな」
カイエンが呆れたように言った。
「最初が肝心だ。基幹インフラの構築と、生活圏保護結界を同時進行する」
イリスが微笑む。
「本当に、あなたって……こういうときだけは躊躇いがないわね」
「当たり前だろ? 俺たちの国を作るんだ。失敗は許されない」
リーナが剣を腰に戻し、周囲の警戒を続けながら呟いた。
「でも……敵対する存在が現れないとは限らない。ここは神域……虚空神王を倒したからといって、無制限に干渉できるわけじゃない」
「だからこそ急ぐ」
蓮は仲間たちを見渡した。
「まずは本部拠点となる《黎明拠点〈ノヴァ・ベース〉》の建設だ」
◆ 拠点建設開始
拠点予定地に集められた仲間たちは、配置図を見て息を呑んだ。
「……蓮、この設計図……」
ノアが目を丸くする。
「最初から……城砦都市規模じゃないか……」
「当然だろ?」
蓮は笑った。
「この国は、俺たちが“自由であるため”に創る。最初から小さくまとまるつもりはない」
彼が取り出したのは、《全自動展開型鋼構築装置〈インダストリアル・マキナリー〉》。
かつて魔導文明時代に開発された都市建設兵器で、無限アイテムボックス内で解析・再構築していた切り札だった。
「これを使って、まずは中央城砦《黎明城〈ノヴァリア〉》を建設する。ここを行政、軍事、研究、魔導、教育の中心にする」
「え、ええええ!? 行政機関とかもう考えてるの!?」
マリルが目を白黒させる。
「当たり前だろ? 国っていうのは理念だけじゃ動かない。仕組みと構造があってこそ、人も文化も育つ」
「ふふ……流石、私が見込んだ男ね」
イリスが満足そうに微笑んだ。
◆ 自由の旗
建設が始まった。
無数の鋼構造体が地面から隆起し、魔導クレーンが稼働し、魔力炉心が大地に埋め込まれていく。
「……すごい……」
リーナが思わず呟いた。
「これが……国家建設……!」
カイエンも剣を杖代わりに立ち尽くす。
ネフェリスが笑顔で空を見上げた。
「この国……絶対に、楽しい国にしようね!」
「そうだな」
蓮は頷き、懐から一枚の旗を取り出した。
それは彼が夜中にこっそり刺繍していた“国旗”。
漆黒の地に、星を抱く銀色の双翼が刺繍されている。
「この国の名は……《自由黎明国ノヴァリア》。英霊も、魔族も、人間も、神族も……全ての存在が対等に生きられる国だ」
彼が旗を掲げると、風が吹き抜け、黄金色の花畑がざわめいた。
「自由黎明国ノヴァリア……」
イリスがその名を呟き、微笑んだ。
「いい名前ね」
◆ 迫る影
だが、その光景を遥か上空から見下ろす影があった。
漆黒の鎧を纏い、紫黒の双眸を輝かせる謎の存在――。
「……“彼”がついに動き出したか」
その声は、まるで虚空そのもののように冷たかった。
「だが――“創世の座”は渡さない。この世界は我ら“旧神連盟”のものだ」
その背後には、無数の神影が揺らめいていた。
◆ 建国式
建設開始から一週間。
黎明城の中央塔が完成し、蓮は城砦の最上層テラスに立っていた。
「ここが……俺たちの始まりの場所だ」
イリス、リーナ、シャム、ネフェリス、マリル、カイエン、ノア、ミスト、そして黒翼竜神グラディオルクス――。
仲間たちが背後に立ち、星空の下で静かに彼を見守っていた。
「俺は誓う。この国を……全ての者が“生きる意味”を見つけられる国にすることを」
彼が剣を抜き、空へ掲げた。
「――我らが自由黎明国ノヴァリア。今ここに、建国を宣言する!!」
雷鳴が轟き、天空が震える。
その光景は、神話の時代よりも尊く美しかった。




