第二話
試作段階につき、誤字脱字の可能性あり
春、それは高校生にとってどんな季節なんだろう
出会いの季節?
別れの季節?
私は前者だったかな。
この高校の屋上に来たのには理由がある。
それは「あの子」に会うため。
どうもその子は建物の屋上にいるらしい。
屋上に登って、
本当に苦しいことがあって助けてほしい、って思っていると
その子は現れるんだって
私もその思いはあった。
まさか、ね…と思いつつ私は屋上へ行くことにしたの
そして
私は「あの子」にあったの。
。。。。。。。。。。。。。。。
先の少年が屋上を離れてから一週間後の午後5時
一人の少女は職員室へ向かった
「失礼します。雨宮先生はいらっしゃいますか?」
その声に一人の先生が返事をした
「はい。今行きます」
雨宮先生、と言う人は少女に小声で質問をした
「…何か用?」
少女は小声で答えた
「…屋上の『あの子』に会いたいんです…」
先生はそう聞くと
「…わかった。じゃあ、準備するから待ってて。」
と言い、ボードにかけられている「屋上用」の鍵をとった
そして職員の先生方に向かって
「少し用ができたので失礼します」
と言って少女と共に職員室を出て行った。
しばらくして
職員室の先生たちの誰かがこういった
「…また、あの用事、か…前にも屋上に行った生徒がいたよな。」
「ええ、その生徒、確か先生に許可を取らずに行ったようですし。」
「ばっかだな…ちゃんと理由を言えば「どうぞ」っ言うのに。」
「まあまあ、今は気にしないでおきましょうよ、この前の生徒だって
ちゃんと反省しているでしょうし。」
「ま、それもそうか。『あの子』のおかげでここ最近は学校の中で__もないからな。」
「にしても、
『あの子』は本当に存在するんですかね?。』
雨宮先生こと、「私」は彼女「小野崎綾瀬」のクラスの担任だ
彼女は一日の時間を一人で過ごすことがほとんど多く、
クラスメイトと話している姿を見ることは滅多にない
私の方からも「クラスメイトに声をかけてみれば?」と助言はしているつもりだが、
彼女は何も反応せず、ただ黙っているだけだった。
休み時間に多くのクラスメイトがはしゃいでいる中、彼女の周りだけが異様に暗かった
「一体どうすれば…」と頭を抱えていた時、こんな噂が流れてきた
「『夕暮れ時、一号棟の階段からつながる屋上に行くと「ある少女」がいる』
その少女は本当に悩みを抱えて苦しんでいる人の前にしか現れない」と言う。
その噂を聞いた時、ハッとした
思い出した
あの冬での出来事を
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
十年前、冬。
雨宮遥は苦しんでいた。
その年の春からクラスメイトからいじめられていて、いつも孤独だったのだ。
クスクス、ゲラゲラ。
口角を大きく開いた女子生徒たちが雨宮の腹を蹴る。
「お前、キモイんだよ」
「成績いいからって浮かれやがって」
「この前も私たちのことチクリやがって」
言葉が発せられるたびに殴られ、蹴られた
痛い、痛い
苦しい
辛い
もういや。
逃げたい。
「死にたい。」
彼女のことはだれも助けてくれなかった
先生は「無視すればいいじゃないか」と一括。
助け舟も出そうとしなかった
・・・・・
ある日、彼女は決心した
「屋上から、飛び降りよう」と。
それを実行したのは春休みの直前
まだ雪が降る日だった
だれもいない職員室にそっと忍び込んで
屋上への鍵を取った
その後すぐさま屋上への扉へと駆け上がり鍵を開けた
その時、時計は午後5時を指していた。
遥は驚いた。
扉を開けると空がほんの少し黄色くあとは真っ白だった。
そこまでに違和感はなかった
遥が驚いたのは空ではなかった。
驚いたのは________
自分以外だれもいないはずの屋上に
白い服を纏った同世代の少女がいたことだった。
「え」
思わず声に出してしまった
それに呼応するかのように少女が振り向く
白い服に、白い帽子
そして藍色の長髪と顔にほんのりと肌色を纏った彼女は
天使なのかと疑うほどに美しかった
「…どうしたの?」
少し間をおいて彼女がいう
ハッと我にかえり遥は動揺した。
「あ、えっと、その……」
そんな遥を見ながら彼女はこういった
「君は、私が見えているんだね。」
「…うん。」
「何か、辛いことがあったの…?」
彼女はゆっくりと遥かに近づき、笑顔で言った
遥はその笑顔につられて
「私…死にたいの…」
思わずそう言ってしまった
だれも聞いてくれなかった本音
それを、「言った」
彼女は何も反応しなかった
変だ
彼女はそう思った
「死にたい」と言ったら、みんな驚いて離れていくはずだ
「気味が悪い」だの
「命を軽々しくとらえるな」だの
「なんでそう考えてしまうの」だの
みんなみんな、そう言うはずだった
でも、彼女は何も言わなかった
そして、
「そうか。」
と言って遥のそばに座った
つられて遥も座り込む。
俯いたように顔を埋めると
彼女が背中に手を置いた
驚いた
なんで、怒らないんだろう
なんで、気遣ってくれるんだろう
なんで、「死にたい」と思っている人に寄り添ってくれるんだろう
そんな思いが一気に込み上げて
「あなたは、なんで私のことを心配してくれるの?」
少し強気に、でも響く声で言ってしまった
声が白色の空に響く
約30秒間の沈黙が流れた後
彼女が言った
「あなたを放って置けないから」
どういうことだ、と思った束の間
「あなたが苦しい思いをしているなら、助けてあげたい、元気づけてあげたい
だから私は、あなたの隣にいるの。」
彼女のその声は今まで相談してきた人たちとは段違いだった
まるで優しさに溢れた誰かのように
とたん、遥の「死にたい」と言う思いは一瞬にして崩れた
同時に視界が大きく揺らぎ、自分が泣いていることがわかった。
なんで、「死にたい」と思っちゃったんだろう
そう思いながら、泣いた。
一際泣いた。
泣いて泣いて泣いて
その最中少女は遥を静かに宥めていた。
___しばらくして
遥は悩んでいることを少女に全てを話した。
少女は話を全て聞いた後
「そうか。大変だったね」
と言って
「誰かに相談とかはしたの?」
「うん…でも誰も聞いてくれなかった」
「……。」
それを聞くと彼女は一枚の紙を渡した。
その紙にはある施設の住所と一人の女性の写真が載っていた
「高校生悩み相談・ホットライン・_・」
「この人に相談してみたらいいと思うよ」
どうやらこの人は彼女の知り合いらしい
「この人なら、きっと味方になってくれる。」
彼女はそういった
遥は半信半疑になりながらも
「わかった。ありがとう、相談してみるね」
と言って
屋上を後にしようとした
「あ、待って!」
遥は言った
どうしたの、と少女が振り向く
「また、会えるよね…」
・・・・・」
「うん…また会えるよ、きっと…」
少女は笑顔で答えた
その後、遥は彼女が紹介してくれたカウンセラーにあった
とても優しい人で話しやすかった
その際、少女にあったことを話した時
「あの人か…」とどこか懐かしげな顔をしていた
この時、彼女は特異的な存在だったということは、まだ知らない…
彼女は_________________…
・・・・・・・・・・・・・・・・
雨宮はふと目を覚ました
屋上に綾瀬を連れてきてから
彼女と話しているのをみているうちに
過去の思い出にふけっていたのだ
「……__。」
「!……__。」
すぐ近くの屋上の広場で彼女と綾瀬は楽しそうに話している
その時の綾瀬の笑顔はかつて自分が彼女に会った時に見せた
表情と同じものだった…
第二話 『記憶に残る春初め』 終わり