第一話
試作段階につき駄作の可能性あり
入学の季節・青春の季節…などの始まりの季節である「春」
その始まりである四月四日の放課後午後5時 高校生の俺、柊 翔は職員室に忍び込んだ
目指すは屋上への鍵の入手
先生が一人しかいない職員室は警備も緩いだろう
抜き足、差し足、忍足
音を立てずに鍵がかけられているボードへ近づく
(「よし…気づかれていないぞ…」)
冷や汗をかきながら鍵に一歩ずつ近づく
チャリン
音が「鳴った」
(「まずい…!」)
先生が気づく
(「……もう、やるしかねえ…!」)
鍵を取り屋上へ全力疾走
「こら、君、鍵は勝手に持ち出しちゃあかんだろう!」
小太りの中年男性の先生が声を荒げて追いかけてくる
(「ちっ…めんどくせぇ…!」)
廊下を走る自分の足音が響き渡る
それと同時に先生の「どしん、どしん」といった足音も近づく
階段が見えてきた
(「うっし…!あそこを上がれば屋上への扉だ!」)
息が荒くなる
胸が苦しい
後ろ三メートル先に先生の姿が見えた
(「……!…クソ…!」)
階段に辿り着き、駆け上がる
扉に辿り着き、鍵を開ける
ガチッ!
その時一メートル先に先生がいた
「ゲッ!」
「待ちなさい! 柊!」
先生との差は縮まっていく
だが、
「うおりゃあぁ!」
先生が来る寸前でドアを閉めて
鍵をかけた
「ちっ、柊!明日、覚えてろよ!」
先生はそう吐き捨てて、去っていった。
「はぁ……なんとか逃げ切った…」
自分はその場に座り込んだ
そして
「来たぞ…茜…」
目の前の少女に話した
その少女は水色の帽子に白いワンピースを着ていた
「いらっしゃい、少年くん」
「…いいかげん、柊って呼んでくれないか…」
「いいじゃん、「少年くん」の方が私は可愛いと思うけどな〜」
「おい…(カチン)」
「あはっ、照れてるな〜」
「!…べ、べべ、別に照れてないし!もう、柊って呼べよ!」
「どうしよっかな〜」
「む……」
「…………」
「…………」
「………もういいや、少年くんでいいいよ…この繰り返し面倒になってきた…」
「やったぁ!」
「……そんなに嬉しいことかよ…」
「うん、あの時私が最初に言った言葉だからね〜」
自分はその場に座り込んだ
そして
「来たぞ…茜…」
目の前の少女に話した
その少女は水色の帽子に白いワンピースを着ていた
「いらっしゃい、少年くん」
「…いいかげん、柊って呼んでくれないか…」
「いいじゃん、「少年くん」の方が私は可愛いと思うけどな〜」
「おい…(カチン)」
「あはっ、照れてるな〜」
「!…べ、べべ、別に照れてないし!もう、柊って呼べよ!」
「どうしよっかな〜」
「む……」
「…………」
「…………」
「………もういいや、少年くんでいいいよ…この繰り返し面倒になってきた…」
「やったぁ!」
「……そんなに嬉しいことかよ…」
「うん、あの時私が最初に言った言葉だからね〜」
「………ま、いいか…」
「じゃあ、今日は何する?」
「じゃあ、これにするか」
少年はポケットから何かを取り出した
「ジャーン!」
「なあに、これ?」
「…子供みたいに言うな…」
「私は生涯、子供です!(むふー)」
「……そうかい」
少し間が空き
「では改めて、これは、「トランプ」というものだよ」
「へえ、どんな遊びをするの?」
「「ババ抜き」てやつだ。楽しいぞ〜」
「へえ!やってみたーい!」
無邪気にはしゃぐ少女
自分にとって、この少女と一日を生きることが自分の生きる意味となった
しばらくして
「むーーーーー」
「ふふふ〜」
(「なんで、こんなに揃わないんだ⁉︎」)
運が悪すぎる
さっきからずっと
彼女の手札ばかりが減っていく
(もちろん私の手札も減るが彼女の方が揃えるのが早い)
そして…
「わーい!上りだぁ!」
喜ぶ少女
自分の手には怪しく笑う「ジョーカー」のカードが一枚握られていた
(「負けた……」)
こんな感じでいつも彼女と遊んでいる
またしばらくして、
「それで、今日は何を話してくれるの?」
「…重い内容になるぞ」
「別にいいよ、なんでも聞くし」
「_。そうか…」
「ぼく」は少し深呼吸をして言った
「また、『死にたい』と思ってしまったんだ」
「…ふーん…なんでそう思ったの…?」
「成績がここのところあまり良くないんだ…親にも先生にも散々言われた挙句、
クラスメイトにまで見下され、からかわれて…ぼくは頑張っているのにみんな認めてくれないんだ」
・・・・・・・・・・
学校の授業は楽しかった。
新しい知識を得ることができて、日常が良くなる
だけど。
「成績」と「テスト」と「クラスメイト」と「家族」がいる環境の中では別だった。
成績を良くするためには多くのことをしなければいけなかったし、
テスト前にはたくさん勉強しなければいけない
それを持ってしても僕の成績はクラスの中では最下位だった
自分なりに毎日3時間以上勉強しているはずなのに
おかげで家族からは怒号を浴びせられ、クラスメイトからは罵られ、
心が張り裂けそうになった
誰も自分の努力を認めてくれない
どんなにいい点数を取ろうと
「彼ら」はそれ以上をとってくる
もう変わることはできなくなりそうだ
認められない・耐えられない・変えられない
辛い、苦しい
「死にたい」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…だから「死にたい」と思ったの?」
「……そう。」
「………」
彼女はしばらく間をあけて
スッ。
俺の手を握った
暖かい
これが人の温もりか、と思いつつ、恥ずかしい気分になる
「っ…………。」
頬が熱い
顔が赤くなるのを感じる
そして
視界がぼやける
大きな水の粒が瞼から落ちた
彼女が言う
「…君は、変わることができる、でもすぐに変われるわけではない。
まずはいろんなやり方を模索して実行してみるのがいいと思うよ。
そのためには少し我慢が必要かもしれないけど、君ならきっとできるよ
自分を信じて、周りのことなんて気にしないでいいのだから。
いつの日か、君を認めてくれる人がきっと現れるはず」
「_____________。」
俺は「泣いていた」
彼女の温もりと励ましの言葉が重なって
言葉に言い表せない何かがそこにあった
そして翌日、俺は先生に叱られたのだった。
流石にそれで「死にたい」とは思わなかったけど。
第一話 「成績と人間関係」