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「ここにもいないな……」

 二階建ての屋敷を上から順に見て回っていたルシウス達だったが、 こっちの主寝室や子供部屋 などの各部屋を見て回り、一階へと戻っていた。

 一階にある部屋も粗方見て回り、それでもいるはずの魔物は姿を現さない。

  気配だけがする。その状況に苛立ちを抑えきれなくなったのか、アロンは自分の頭をガリガリと乱暴に掻きむしった。

 彼は魔法を使うルシウスとは違い、主に剣術で立ち回るタイプの冒険者だった。要するに敵が現れてくれなければ何もできないに等しい。 それが彼の苛立ちをさらに増幅させているのだろう。

 ルシウスも早くこのどこか気味が悪い屋敷から出て行きたい 気持ちは同じだ。だが二人がかりでこれだけ念入りに探しても見つからないのだから、相手はよほど巧妙に姿を隠しているのだろう。

 このままでは埒があかない。ルシウスもそう思いはじめていた。

「アロン。いっそのこと俺の力で敵を炙り出してみようか?」

 ルシウスがそう提案すると彼は驚いた顔をする。

「炙り出す、ってな……。この屋敷がどれだけ広いかお前も分かってるだろ? せめてどの部屋にいるのかくらい確定できないと、だな……」

「広いって言っても、たかだか屋敷一つだろう? 一番嫌な感じがするところを中心に屋敷全体に魔法をかければ多分当たるよ」

「は……?」

 呆然とするアロンを横目にルシウスはこれまで見回ってきた部屋を思い出し、どこが一番魔の力が濃かったか考えを巡らせる。

 正直、どこもかしこも魔物の気配で満ちていて特定するのは難しい。だがその中でもとりわけ気にかかるのは――

「主寝室……」

 二階にあった、かつての屋敷の主人の寝室と思しき広い部屋。そこはどうにも気にかかる。

「アロン、主寝室の方へ行ってみないか?」

「それは構わないが……。本当に屋敷全体に光の魔法をかけるなんてできるのか?」

  アロンはいまだ不審げな目をしている。だが、ルシウスから言わせてみれば、どうしてそこまで疑うのかがわからなかった。

「……当然、だろ?」

 ルシウスが首を傾げつつ、そう問い返すとアロンはますます驚いた顔をした。

「――……本当に…………なんだな」

 アロンの言葉はあまりに小さく、ルシウスにはうまく聞き取れなかった。

「アロン?」

 先に歩きだそうとしていたルシウスだったが、足を止めて後ろを振り返る。名を呼ばれたアロンは、首をふるりと横に振るとルシウスの隣に並んで歩きはじめた。

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