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「……っ!」
ルシウスは 急激に覚醒して身を起こした。
悪夢を見た時のように、身体は嫌な汗でぐっしょりと濡れていた。かぶっていたシーツをきつく握りしめ、項垂れた。
「――自業自得、じゃないか……」
かつて「勇者」と呼ばれた男は、自身を「勇者」たらしめた月の精霊――レイティアを裏切り、殺そうとした。
彼女はその報復をしようとしているだけだ。 何もおかしなことなどない。当然の結果だった。
勇者、いやルドに出会った頃や、ルシウスの夢の中に出てきた彼女が、眩いばかりの金髪の髪を持っていたのに対し、解放された「魔女」が漆黒の髪をしていたのも納得がいく。
月の精霊は、憎しみで闇に堕ちた。
きっと、そういうことなのだ。
「レイティア、僕は……」
ルシウスはやるせない思いでいっぱいだった。
だが――、窓から差し込んできた朝日で夜が明けたことを知る。
「僕は、君を再び殺さなければならない……」
魔女が解放された日から三ヶ月。今日はアロンと共に「魔女討伐」へと出発する日だった。