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  下り階段降りると、そこは薄暗い神殿のような場所だった。石造りの古びた地下施設、とでもいえばいいだろうか。

「この先?」

 ――えぇ、そうよ。でも邪魔者がいっぱいいるはず。全員倒してね?

 レイティアの声が聞こえた時ちょうど、ルシウスの存在に気付いた男たちが慌ててちらに来た。

「何者だ!?」

 ルシウスは騒がれる前に倒してしまおうと、地上にいた者たちと同じ要領で昏倒させた。だが、うち一人がまだ意識を保っていたらしく、懐から笛のようなものを取り出して思いっきりそれを吹いた。

 警報装置のようなものなのだろう。向こうから慌てた様子の男たちはわらわらと現れる。

「 女神像はどこだ」

 手短に問うと、彼らにざわりと動揺が走った。

「こいつまさか、 あれを狙って!?」

「お前、あれに何をするつもりだ!」

 悲鳴のような声で問いかけられる。

「解放する」

「なっ!?」

 再び男たちに動揺が走った。そこからいち早く立ち直った、中でも身分の高そうな男は慌てて周りに指示を飛ばす。

「 その男をここから通すな!! 非戦闘員は××××に報告に行け!」

 指示された者たちはバラバラと各方面走り、残った者たちはこちらへ向き直った。

「お前は何者だ!」

 先ほど市場とはしていた男が、改めてルシウスに問うた。

「ルシウス。お前たちから、愛する女神を解放しに来た」

 それだけ言うとルシウスは、一気に彼らに距離を詰めた。アロンとの短い旅路で、近近接戦も、多少は腕が上がっていた。ナイフと光の力で十人ほどいた敵を、片っ端から無力化していく。

「その、光の力……」

 床に倒れ伏しうめき声をあげる一人が、驚きに満ちた顔でルシウスを見た。

「どうして……? その力を持つならばお前は×××××のはずなのに……」

「……何を言ってるのかわからない」

 ルシウスは呻く男を見下ろす。本当に所々聞き取れないところがあった。正確に言うと声は音として拾っているのに、意味が理解できなかった。

「ねぇ、どうしてかな、レイティア」

 ――あなたに必要のないものだからよ。

「そう」

 ルシウスは動けなくなった男たちに背を向けて、また再び歩き出した。

「レイティア、だって……?」

 先ほど呻いていた男がそういった気がしたが、ルシウスの関心はもうそこにはなかった。

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