表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/30

13

 気が付くと、ルシウスは花咲き乱れる庭園にいた。

「……ここは?」

 庭園の東屋に腰を下ろしていたルシウスは、隣にもたれかかるレイティアを見た。

「私の思い出の場所よ」

「思い出?」

「そう……。遠い、遠い昔の思い出……」

  故郷の村の領主邸より、さらに大きな――城とでもいえばいいのだろうか、そんな建物が見える。

「どんな思い出があるの?」

「私が一番幸せだった頃、それが封じ込められた記憶の(その)……。今はもう存在しないけれど」

「どうして?」

「はるか昔に打ち捨てられてしまったから。だから今はもう、こんな風に花も咲いていないし、美しくもない。ただ枯れ果てた草木と朽ちた廃墟があるだけの場所よ」

 レイティアの言うとおり、この場所はあまりにも美しかった。彼女の想像も含まれているのだろう。

「ここに戻りたいの?」

 レイティアは黙ったまま頷いた。

「でももう戻れない」

「僕がいても?」

 レイティアはその問いに何も答えなかった。

「……迎えに来てね、ルー。それが私を救ってくれるから」

 ルシウスは、もちろんという意味を込めて彼女を抱きしめた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ