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――私を助けて。
その声は彼が物心ついた時には既に聞こえていた。
私を助けて、助けて、助けて ――
成長するごとにその声は大きくなり、夢では手を伸ばす人影が見えた。
そして十六歳 ――成人だと認められる年齢を迎えた誕生日の夜 。
――あぁ、やっと 逢えた、ルー。
声だけだった彼女はルー――ルシウスの手を握った 。
――どうか私を助けて、ルー。そして迎えに来て 。
優しげに微笑む美しい女に、ルシウスはその手を握り返す。
わかった。必ず君を迎えに行くよ、レイティア。
聞いたこともないはずの女の名が、なぜか口から滑り出した。