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 ――私を助けて。

 その声は彼が物心ついた時には既に聞こえていた。

 私を助けて、助けて、助けて ――

 成長するごとにその声は大きくなり、夢では手を伸ばす人影が見えた。

 そして十六歳 ――成人だと認められる年齢を迎えた誕生日の夜 。

 ――あぁ、やっと 逢えた、ルー。

 声だけだった彼女はルー――ルシウスの手を握った 。

 ――どうか私を助けて、ルー。そして迎えに来て 。

 優しげに微笑む美しい女に、ルシウスはその手を握り返す。

 わかった。必ず君を迎えに行くよ、レイティア。

 聞いたこともないはずの女の名が、なぜか口から滑り出した。

Kindleにて加筆修正版を販売中!

挿絵(By みてみん)

販売ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B0B429QBTG

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