蒼い口づけ…
「ごめんね…」
ひろみはこーじの両手をそっと握りしめて呟いた
「ひろみ…」
「200年も…独りにして…寂しい想いさせて…また…せ…て…
1年だってっ…辛いのに…お兄ちゃんに置いて逝かれて気が狂いそうだったのに…
200年なんて…想像も出来ないくらいの間…私、私が過去にバカなことしたから…」
「もういい…」
ひろみを抱き寄せキスで言葉を塞ぐこーじに優しく返しながらひろみはそっと唇を離した
「ねえ…私達、もう結ばれたから言ってもいいかな…」
「ん…?」
「こーじは…桜男だけれど Vampireでもあるんでしょう…吸って…」
「え…」
「私の夢、知ってる?」
「子供の頃、Vampireiに憧れて…ずっと花嫁になりたかったの…
だから…私の血を吸って…蒼い口づけをしてください…あなたとおんなじになりたい…」
「いいのか…人間としての生を奪われるんだぞ…
パパとママには何て言うんだ?
お前が俺と同時に姿を消したら二人とも悲しむぞ…」
「じゃあ…二人がおじいちゃんとおばあちゃんになるまで…人間のフリして生活するよ…
こーじがやれて私にやれないはずないもん
でも…摩子にはちゃんと話したい…」
「怖くないのか?」
ブンブン、とひろみは首を振った
「怖いわけないじゃない…ずっと…待ってたんだから…」
「前世の記憶はうる憶えでも 私があなたを愛していることだけは…揺るぎない事実だわ…」
「わかった…」
こーじはひろみの白いうなじを指で撫でると犬歯をそっと食い込ませる
「あ…っ…」
とてつもない快楽と心地よさが全身を襲い涙が溢れ、夢心地な感覚に堕ちていく
Vampireに血を吸われた者は身も心も震えるほどの快楽を覚えると云われているが愛のある儀式ではなおさらである
「こーじ…おにい…さま…」
「鈴…」
こーじは長い爪で自分の胸を赤く染めると燃えるような想いと共に流れる蒼き泉をひろみに与えた…
※
「ひろりん…」
「摩子…私ね…」
突然会いたいとこーじと尋ねて来たひろみの人ならぬ妖艶な変化に摩子は直ぐに気が付いた
「おっと…何も言わなくていいよ…こーじくんと一緒になったんでしょう
よかったね…ひろみ…」
「おめでとうございます…ショコラを淹れて参りました」
「まあ、安藤さんたら、グッドタイミングね」
「相変わらず…気が利くやつだな…」
「ちょっと…安藤に偉そうに言わないで…
安藤にえばっていいのは私だけなんだから…」
「ですが…これで…本当のことが話せますね…」
えっ…? なになに?
「ふふ、この子はわかっていないよ 天然だからね」
「私もね…ひろりんとおんなじなの…」
「ええっ!!」
「目覚めたのは14の時だったわ…ねぇ安藤?」
「摩子はVampireだったの? じゃあ…その、安藤さんも?」
こーじがひろみのおでこを人差し指でコツンと叩きながらニヤニヤする
「俺はとうに気付いていたよ…安藤はいつもサングラスしてるし…」
「我々は純血種ですので陽射しは少しばかり…苦手です(笑)」
「じゃあ…摩子、あなた達…」
「彼は私が目覚めるのを待っていてくれたの
いにしえの頃からの婚約者なのよ…
我々、竜崎家は代々からの純血のVampireってワケ
予知能力と霊力、怪力と魔力を兼ね備えたね…怖くなった?」
「摩子ちゃん、かっこいい!!」
嬉しそうに摩子に抱き着くひろみを抱きしめながら摩子は言った
「Vampireになっても変わらないわね(笑)
パパとママにバレないように気をつけるのよ」
「浩二様がご一緒ですから心配ないでしょう」
「やっぱり…やっぱり、安藤さんは摩子のアンドレだったのねっ
真紅の魔眼とか出来るの?」
「こう…ですか?」
安藤の瞳が美しいルビー色に光った
「きゃ~すごいすごい♪ 摩子も出来るのぉ?
ねぇ、お兄様もやってやって」
浮かれているひろみの腕をギュっと掴むとこーじは瞳を真っ赤に染めて睨んだ
「お前なぁ…俺以外の魔眼を喜ぶな…」
「きゃ~ん♪ごめんなさぁい」
ひろりん…人間でいた時とちっとも変わってないし…
私が正体を告げても怖がらない…こんな天真爛漫なあなたが私の妹って教えるのは…まだ先にしたほうがいいかしら
『いつでもよろしいかと…摩子…お前が告げたい時に話せばいいさ…』
『ええ、そうね…あなた…』
「嬉しいな、摩子とも一緒にいられるんだね~ ねぇねぇ ママ達にバレないように
人間らしく振舞うコツとか教えて~」
「今のままでいいよ…」
「え~?」
「俺も取り越し苦労したけど…ひろみは今のままで問題ないよ
変わらない…そのままのお前が…好きなんだ」
「お兄様…」
頬を染めてこーじに抱き着くひろみを安藤と摩子は微笑みながら見守っていた
They lived happily ever after