7話「六女シェリアは裏切りに負けない(2)」
ロシュバートの行動のおかしさに気づいたシェリアは調査を開始した。
ただ、それでも、最初はそこまで悪く悪くは捉えていなかったのだ――あくまでその振る舞いに違和感を覚えていただけで――疑う心が消えさえすればまた元通りの関係へ戻れるとシェリアもそう思っていたことだろう。
……だが調査によって最悪なことが明らかになってしまう。
それがロシュバートとリリィの関係。
二人は互いを愛し合っている。しかも深い仲にまで発展している。たびたび顔を合わせ、喋ったり笑ったりするだけではなく、そこからさらに一歩大きく踏み出すような。そんな関係を築いていることが判明。
そして揉め事へと発展してしまった。
シェリアはロシュバートとの関係を終わりにしても構わないと考えていた。
ただ無条件でのおしまいという彼にとって最も都合の良い展開を受け入れようと考えているわけではなく。
当然、償いはしてもらう。
それは当たり前のことだとシェリアは考えている。
そうして話し合いが重ねられ。
やがて終焉へと近づいてゆく。
――ロシュバートとリリィ、それぞれから慰謝料を支払ってもらうこととなった。
シェリアはこの件について多くを語らなかった。が、慰謝料を支払ってもらえることが決まった時には喜ぶと同時に安堵していたようだ。また、ロシュバートが支払いを渋ろうとした時には強い意志で請求。最終的には最初に決まった額の慰謝料をきっちりと支払わせた。
慰謝料支払いという面において、シェリアは常に固い意志を持っていたのだ。
逃げるなど許さない。
誤魔化しも許さない。
そういう強い心で、彼女はその件に取り組んでいた。
ロシュバートとリリィの関係は呆気なく壊れた。
シェリアからの慰謝料請求によって険悪になり、罪のなすりつけ合いに発展し、深かったはずの愛はあっという間に消え去った。
……永遠の愛などそこにはなかった。
その後ロシュバートはリリィからも迷惑料の支払いを請求される。
様々な出来事が重なり、両親からも勘当を言いわたされたロシュバートは、生きることに絶望して自ら命を絶った。
散歩中に突如崖から飛び下りて――という最期であった。
一方シェリアはというと、後に事業を成功させ、数年後には大金持ちの女性として国民に知られるまでの成功者となった。
彼女は多くの人を救い、また、多くの富を生み出した。
これから先もシェリアはずっと輝かしい道を歩んでゆくだろう。