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4話「四女フォリアは見初められる」

 四女フォリア・サーベリオはセミロングの美しい銀髪が印象的な女性。


 彼女は学生時代に知り合った男性オロックと婚約した。

 婚約までの流れはいたってありふれた自然なものであった。


「俺ら、絶対幸せになれるって」

「ええそうね」

「だからよろしく」

「こちらこそ」


 婚約が決まった時、二人は確かに互いを見つめていた。


 行く道の先には穏やかな幸せがある。

 同じ状況に身を置いていたとしたらきっと誰もがそう信じただろう。


 ……だが二人の関係は良好なままではなかった。


 幸せな時間はそう長くは続かなかった。


 オロックが職場で出会った年下女性に惚れたのだ。

 そこからすべてが崩れ始めた。

 彼は女性のことばかりを考えるようになり、そちらにばかり意識を向け、フォリアのことはスルーするようになって。


 その果てに――。


「俺、職場の女性と生きることにしたから」

「え……」

「お前を選ぶのはやめる。急な報告でごめんな。婚約、破棄するわ」

「な、何を言って」

「だから婚約破棄するって言ってんだろ!」

「……怒鳴らないで」

「はあ!? うるせぇなぁ!! 黙れよウザいんだよ!!」

「どうしてそんな怒っているのよ」

「うっざ!! やっぱうざ。こんなことなんなら、やっぱり、早めに婚約破棄しておいて良かったわ!」


 ――フォリアとオロックの関係は壊れてしまったのだった。




 あの婚約破棄の後、フォリアは気晴らしがてらぬいぐるみ作りの仕事をしていたが、そこで取引先の資産家男性に見初められる。


 そうしてフォリアの人生はまた動き出す。

 彼女の未来にあるのは絶望だけではなかった。


 一度残念なことがあったことは事実だ。それは変わらない。書き換えることもできない。が、だからといって人生すべてが悪いものであったわけではなく。むしろ未来にはその残念な出来事以上の良い出来事が多く存在していた。


 だが、そういった良い出来事を引き寄せられたのは、フォリアの行いが悪いものでなかったからこそなのだろう。


 真面目に、前向きに、他者を傷つけることなく生きてきた。


 だからこそ良き縁にも恵まれて。

 幸せへの道を歩き出せたのだろう。


 彼女は今、笑顔で、日常を楽しんでいる。


 この先もきっとそうだろう。

 その笑顔が失われることはもうない。

 

 一方オロックはというと、職場で出会った例の女性と婚約するも婚約期間中に酷い浮気を繰り返されたことで心を病んでしまった。


 それでも彼は女性から離れられず。

 くだらない相手なら捨ててしまえば解決するはずなのにそれもできなくて。


 結果八方塞がり状態。


 オロックの精神状態は悪化してゆくばかりだ。


 穏やかに先へ進むことはできず、しかし今さら引き返すこともできず。


 どうしようもない状態となっている。

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