27話「サーベリオ家の娘たち」
サーベリオ家の娘たち、全員で二十人いるのだが――彼女たちは皆、苦難を越えて幸せを掴んだ。
彼女たちの人生は必ずしも順調というものではなかった。けれども、かといって不幸ばかりというわけでもなくて。ほとんどが一度は残念さが募るような経験をして、ただ、それでも折れず。彼女たちは諦めないことで幸せやそれぞれにとっての理想的な未来を手に入れた。
すべてが上手くいくことが最も良い道。
中にはそう思う者もいるかもしれない。
それも一つの理論で、間違いではないのかもしれない。
ただ、悲しんだり傷ついたりする経験があってこそ学べることもあるわけなので、すべてが上手くいったわけではないからこそできる成長というのも存在することは確かだろう。
大事にされているだけでは、溺愛されているだけでは、学べないことというのもあるのだ。
誰もが、様々な経験を経て成長するものである。
サーベリオ家の娘たちの人生には波乱も多かった。けれどもそれと同じくらい幸福も多くあった。皆、いろんなことがあっても、それを乗り越えて力強く生きていったのである。
諦めない心、突き進む勇気、そういったものを彼女たちは持っていた――だからこそ、それぞれの道を歩めたのだし、その人に最も相応しい道を選ぶことができたのだろう。
春には花が咲く。
夏には強い日射しが地を焼き。
秋には実りが一年の終わりが近づきつつあることを告げて。
そうしてやがて冬が来る。
それと同じようなものだ。
良いこともあり。
悪いこともあり。
けれども、どんな荒波の先にでも、良いことはまたやって来る。
……そう、季節が必ず巡るように。
◆終わり◆