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ダンジョンに入ると

 ダンジョンに入ってしまった。中は洞窟のような空間が広がっていて、奥の方は見えないがなぜか自分の周囲だけ明るく見える。


 そして見渡せる範囲の中にモンスターはいない。

 奥の方にいるのだろうか。


『ダンジョンに入場しました』


 おっと、これがシステム音という奴か。頭の中に直接響いてくる感じがする。


 さっきの謎の声とは違って機械っぽい高い声、というか完全に機械音声だ。


 ちなみにさっきの声は――なぜだろう、雰囲気が思い出せない。


『ステータスを未取得であることを確認しました。新たに取得します』


『個人名が万野秀一であることを確認しました』


『種族が人間であることを確認しました』


『パラメーターを構成しています。しばらくお待ちください』


 パラメーターは高ければモンスターと戦う上で有利になるし、体が丈夫になることで怪我をしにくくなる。


 探索者を目指さなくとも護身の為にステータスを得る人も多いらしい。


 さて、システム音が静かになって、ふと我に返る。


(そういえば俺、何しに来たんだっけ?)


 謎の声が聞こえて、吸い寄せられるようにダンジョンへ入ったが、冷静に考えればだから何だという話である。


 俺は別に、熱意をもつほど探索者になりたいわけではない。一応、将来目指す職業の候補には入っていたが、その程度である。


(まあいいか、思ったより怖い所じゃないし)


 ダンジョンではモンスターが襲ってくる。そう聞くと危険な所でしかないが、今は周囲にモンスターがいない。


「ん?セーフティーゾーン?」


 よく見るとそう書かれた標識が近くにあり、そこから10メートル程先までの地面が少し緑に光っている。


 考えてみれば、俺のダンジョンの知識といえばニュースで知ったダンジョン内で起こる事件や事故の話、興味本位で調べたスキルやパラメーター、ちょっとしたモンスターに関することばかりで、ダンジョンの細かい仕様などにはあまり詳しくない。


 というわけでスマホで検索してみると、セーフティーゾーンとはダンジョン内の入口や階段付近、そして所々にあるモンスターが襲ってこない領域らしい。


 っと、奥から何かがやってくる。人間の両足ぐらいの大きさしかないモンスター。確か名前はミニスライムだったかな。確かモンスターとしては、雑魚中の雑魚だったはずだ。


 少しずつ近づいてきたが、緑に光っている地面の前で動きを止めた。ここより内側へは入って来れないようだ。


 それと今俺は流れるようにスマホを使っていたが、よく考えればここは洞窟、それ以前に異空間だ。

 しかし、アンテナを確認すると普通に電波を拾えている。ついでにそれについても調べてみると、ダンジョン内では何故か電波が通じていて、その理由はまだ解明されていないらしい。


 そういえば、ダンジョンにおける怪我率や死亡率は、あまり深く潜らない限りは意外と高くないという話をどこかで聞いたことがある。


 最初は入ったらすぐに出るつもりだったが、そう怯える必要もなかったのかもしれないな。


『パラメーターの構成が終わりました』


『ボーナススキルを選定しています。しばらくお待ちください』


 あれこれ考えているうちにパラメーターの構成が終わったようだ。


 そういえば今の状態でもステータスは見れるんだったか。見てみよう。


(ステータスオープン)


 頭の中でそう念じると、視界にステータス画面が写る。これは本人以外には見えないらしい。


 名前 万野秀一

 種族 人間

 Lv 1

 HP 20/20 (20)

 MP 15/15 (15)

 筋力 5     (5)

 耐久 12    (12)

 器用 11    (11)

 俊敏 13    (13)


 スキル

 【選定中】

 【選定中】


 左の数値はその時点における正確な能力値を示しており、スキルや装備の効果、バフ、デバフなどの影響を含めた結果が表示されている。


 右の数値は本来の能力値を示しており、外部からの影響を受けていない素の状態が表示されている。


 そしてその評価は――――


(筋力、5?)


 HPとMPを除く一般的な初期の能力値は8~10程。それと比べると耐久、器用、俊敏は良い方なのだが、筋力だけが軒並み低い。


 最初のパラメーターはレベルアップによる伸び率にも影響するため、例え装備を整えたとしても物理攻撃で戦うスタイルは難しいだろう。


 そしてスキル。スキルを得る方法はモンスターからのドロップやダンジョン内に稀に落ちている宝箱に入っているスキルロールを使うか、ステータスを取得したときにボーナススキルとして得るかの二つ。

 少なくともそれら以外の方法は発見されていない。


 スキルロールは使う前に得られるスキルを確認できるが、ボーナススキルはランダムで決まる。


 その数もランダムで普通は二つ。運が良ければ三つ以上得られることもあるが、逆に一つしか得られないこともある。


 今の時点で俺のボーナススキルが【】の数から二つなのは確定しているが、問題は何を得られるかだ。


 スキルの種類は様々で、武術の熟練度に補正をかけるものがあれば、特定の攻撃や環境に対し耐性をつけるものもある。


 そして最も有用性が高いものは、魔法を使えるようになるタイプのスキルだと俺は考えている。


 これは俺が素人だからそう思えるだけかもしれないが、ぶっちゃけ武術などは努力すれば身に付けられる。


 しかし魔法は専用のスキルがなければ使えない上に、結構役に立つものが多い。


 それに、筋力の低い俺からすれば魔法による攻撃のほうが向いている。


 ボーナススキルで得られる確率は低いらしいが、俺はどうだろうか。


『ボーナススキルの選定が終わりました』


『スキル【HP+10】を獲得しました』


『スキル【器用+10】を獲得しました』



 (うん。知ってた)


 能力値+系は最も有用性がない。

 その数値が膨大であれば話は別だが、+10程度であればレベルを上げるとすぐに誤差にしかならなくなってしまう。


 最初の方にしか役には立たないが、実はこれが普通なのだ。


 能力値+10が二つの組み合わせはボーナススキルにおいて一番多いパターンであり、それでも努力して成功している人だってたくさんいる。


 いわゆるノーマルモードであり、最初からいいスキルを持っているイージーモードではなかったというだけのことである。


「…まあ、そうだよな」


 それはわかっているのだが、なぜか少しショックを感じている自分がいる。


 都合のいいことなどそう起こらないと頭では理解していても、やはり心のどこかではどうしても期待してしまうものなのだろうか。


 まあとにかく、今の俺には戦えるスキルがなければ装備もない。


 だからこんな所にいても仕方ない。ここから出るとしよう。


『身元を確認しています。しばらくお待ちください』


「ん?何それ」


 ステータスを得るまでの流れはボーナススキルの選定で終わりのはずだ。身元の確認など聞いたことがない。


『万野秀一が〈天下無敵隊〉のメンバーであることを確認しました。スキルが付与されます』


(天下無敵隊?確かそれって―――)


『スキル【MP+∞】を獲得しました』


『スキル【全魔法】を獲得しました』


 いろいろありすぎて理解が追いつかない。今何が起こった?スキルが付与された?


(とりあえず、ステータスオープン)


 名前 万野秀一

 種族 人間

 Lv 1

 HP 30/30 (20)

 MP ∞/∞   (15)

 筋力 5     (5)

 耐久 12    (12)

 器用 21    (11)

 俊敏 13    (13)


 スキル

 【HP+10】

 【MP+∞】

 【器用+10】

 【全魔法】

とりあえず書いた所までは投稿しました。

これ以上書こうとすると何故か手が止まってしまうので、不定期に更新する感じです。

よろしくお願いします。

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