聖霊女学園『スピリチュアン』の生徒になりまして初日編
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精霊使いになり、精霊の姿を実態させるだけの魔力を身体に宿しており、尚且つ魔物や魔獣との戦闘に慣れておりセシアの屋敷で磨いた家事スキルがラージャタン王国の国王から認められ特例で聖霊女学園『スピリチュアン』の生徒兼世話係に任命された事により正式にセシアと共に入学する事になった。
「あの女神めぇ!!絶対にいつかぶん殴ってやる… 」
「まぁ~あれだよ? こうして私と同じ学園生活手に入れたんだから良いでしょ? 美女との混浴つきだよ?良いじゃん」
「兄貴!犬のお風呂も特典でついてきますよ!?」
「お前ら、それ俺に何かメリットある?『面倒事見てください』って言ってるのと変わらねぇからな? てか、俺とセシアは相部屋なのかよ!!? 俺は男だぞ!?年頃の!?」
寮生活をする上で本来ならば男子禁制であるが、幼馴染で風呂なども一緒に入っているならセシアと同室で良いと判断されたのだ。
ドーマとセシア、アオイとアカネ、リーファとディエーラの組み合わせである。
そもそもの話だが、生徒が6名だけで後任の教師がいないのに学園として認めて良いものなのか些か疑問ではある。
特にドーマ以外の5人はフェンディから魔力不足と言われた為に手始めに魔力を上げる特訓が必要になるだろう。
「え~と、ドーマくん。色々と迷惑かけるだろうけど改めてよろしくね?」
「まぁ、美人美女のハーレムライフを楽しんでくれよ?」
「その宜しく。貴方にはイノガムラから助けて貰ったし…」
「リーファもお風呂いれて欲しいな~めんどくさいから…」
その上、セシアレベルにクセの強い異性が4人だ。確かに見た目は清楚・ボーイッシュ・眼鏡美女・不思議ちゃんと個性的であるがこれを1人で面倒を見る事になるのだ。
早速爆弾発言かましたのは不思議ちゃんのリーファだ。
「あのよぉ…。俺は野郎でお前は女。意味わかる?」
「わかってる~けど、裸見せてるから洗って~セシアと一緒に洗って楽させてあげるから~」
「同世代の女子とお風呂入ったことないからドーマ宜しくね!」
「恥じらい持ってよ!!?裸見られる事に抵抗しろよ!!?俺がおかしいの!?」
リーファに説得を試みるが自身のの裸を見られるよりも風呂での作業を他人にしても貰う方が楽だという持論を持っているようでつまりは『面倒だから対価として裸見せてやるから召し使いになってくれ』といっているようなものであろう。セシアといい羞恥心というものを持ち合わせていないのか?
初日から悩みの種が増えたが、まず始めに身の安全の確保が先決であった。
近くに魔物や魔獣が棲み着く森が近くにあるという事は寮に魔物や魔獣がいつ襲ってきても可笑しくない状態だ。 何よりも相棒のフェンディは大食漢で良く食べる為、狩りは必須である。
「…取りあえずは寮の周りに魔除けの結晶を置いて夜の安全を確保してからお前の魔力上げの特訓だな。フェンディ、お前1人で狩りは…」
「無理です!!とてもじゃありませんが魔力が足りなくてこの辺りの魔物や魔獣よりも僕は弱いです!」
「自信満々に答えるな!!!あれか?俺の魔力が足りねぇって言いてぇんだな?そうだろ?フェンディちゃ~ん 」
「違いますぅ~!!話を!僕の話をきいて下さい!!精霊は一定距離を離れる事が出来ません!!つまりは兄貴が目が届く範囲でしかかつどうできません…」
フェンディの言葉が本当ならば、ドーマと離れて森に入っても相手に気付かれない訳ではなく実態そのものが契約者の魔力と視野が届く範囲でしか活動できない。つまりはフェンディは常に一緒に行動させないと使えないという訳だ。
精霊使いといっても物凄く使い勝手が悪い。
これならば魔物使いの方が余程便利だろう。一定の魔物や魔獣を使役できて離れていても契約者に従順に従うからだ。
「ダァァァ~~!!!やる事が多すぎて頭が爆発する~!!!!」
「ちょっ!?ど、ドーマくん落ち着いて…」
「そうだよ~ディエーラのデカ乳に挟まれて落ち着いて~」
「そ、そうだな…恥ずかしいが男は多い胸の谷間に顔を埋めれば落ち着くんだろ?」
「何でそんな変な知識もってるんだよ!?てか、年頃の娘がそんな簡単にそんな事したらいけねぇんだよ!?親が悲しむぞ?」
ドーマの言葉にアオイらは顔を背けた。ドーマは異変に気づいて尋ねたら皆、修道院の身寄りない捨て子出身なので親と言うものがいないというのだ。
ドーマ自身も早くに両親を亡くしており、セシアの両親が親代わりであったが、セシアの世話が大変だった記憶しか思い出せなかった為にセシアの頬をつねってやった。聖霊女学園『スピリチュアン』の生徒になって初日から頭が痛いドーマであった。