幼馴染が独立してくれません!!(4)
女神様
この世界の人々を導く存在。ドーマにババァ呼ばわりさせたのを根に持っている。
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ドーマは自身の女運の無さに頭を悩ませていた。 この世界では10歳になると女神の像の前で祈りを捧げて天から職業を与えられる事になっている。 つまりはその人物にあった『天職』というものを女神が導いていくれるという話だ。
だが、ドーマはこの女神の像を幼い頃から全く女神だと思ってた事は一度もなかったのだ。
それを聞いた華の聖霊女学園『スピリチュアン』の使者は直ぐ様、ラージャタン王国にある女神像まで案内して連れてこられたのだ。
一般的に女神は美しく清らかな人物であるとされ、多くの民が祈りを捧げているが、ドーマはこの女神像に嫌悪感を持っていた。
「…やっぱり、女神の像作った野郎と女の趣味合わねぇンだろうなぁ… この女神ガキの頃から何か気に入らねぇんだよなぁ~」
「…女神様目の前にいしそんな暴言いえる人間そういないと思うわよ…?」
「宗教なんて詐欺に近ぇだろが? 回復魔法で女神の加護とか言われても普通に魔法の力だろ? んで、それで金取ってるし、宗派作ってんだろ? 悪徳貴族と同レベルだろ? 俺は神に祈る気はネェよ…この女神の像の女はタイプじゃねぇし…つーか、面倒なのはセシアだけでいい…」
「ドーマ、頼むから形だけでもいいから女神様に祈りを捧げなさい… 」
アルバルトはドーマに取っての雇い主であり、命令は絶対の主従関係である為に嫌々ながらも女神の像の前に跪いて女神に祈る『格好』だけしたのだ。
両親を亡くして自身の力で生きてセシアの家の用心棒兼執事の仕事も結果的には自分のやってきた行いの成果だ。
今更、女神にとやかく言われて生き方を変える気はさらさら無い。
だが、女神というのは本当に気まぐれなのだろうか? それとも天罰を与えているのだろうか。
ドーマが祈りを捧げると、空が雲に覆われてマジで天女が纏っている洋な神聖な服を身に纏った女神が広場に姿を表したのだ。
「あー…これは夢だ。うん。早く帰って夕食の準備しなきゃなぁ~」
「ドーマさん!しっかりしてください!!本物の女神様ですよ!!? 」
「美人局の間違えだろ!!?俺は金払わねぇぞ!!? 」
「コイツ、女神様相手に美人局ってよく言えるなぁ~…てか、女神様が現れたって事は… 」
今まさに女神が直々に地上に降り立った事で周りにいた民衆達が跪いて祈りを捧げ讃える始末である。
この場合を去ろうとしたが、アオイとアカネに止められたのだ。
こういう女がそばにいる時はおおよそ碌な事が起こらないのはわかっている。
今すぐにもでも逃げ出したい。大方、さっき倒したイノガムラの換金した金が目当てだろう。
大金持ってるのみたから地上に現れたなら美人局の女と大差はないだろう。
すると、女神がドーマをじっと見つめてきたが視線をそらすと、顔を掴まれて無理矢理に視線を合わせられた。
『この女の行動の何処が女神なのか誰か教えてください。自分はMではないです』と心の中で一人突っ込みをしてしまった。
「誰が美人局ですか?ちゃんとした女神ですよ?私は…というか、やっと来て下さいましたね? ずっと待ってました。精霊使いドーマそして悪魔の主君候補の貴方にね… 」
「…はっ!?俺が精霊使い!!?じょ、冗談じゃねぇぞ!!?女子力ねぇコイツらの面倒を俺が見ろってか!!? 」
「いや、それよりもドーマ。悪魔の主君って…」
「お前、それって悪魔を束ねる魔王候補って事だぞ?」
「んなもん知るかよ!!? 今のこの状況が地獄だろうが!!? 女神の皮被った悪魔だろう!!?このババァ!!!」
「…あら~口が悪い少年ですね~もう一度言ってみろゴラァ…誰がババァだ? アァン? 」
本当に女神なのか怪しい程口が悪くなり、掴まれている頬に力が込められた。
ドーマは自分が精霊使いであり、更には悪魔を束ねる魔王候補である悪魔の主君が天職であると言われた。
そんな事よりも目の前の女神の皮を被ったババァに頬を掴まれて抵抗するのに必死であった為この場から逃げる事だけを考えていた。
だが、抵抗も虚しく終わり、女神によって手の甲に精霊の紋章と悪魔の主君の証である首飾りをつけられてしまったのであった。
そして、事が棲んだ女神は微笑ましい顔を見せて天へ戻っていた。
ドーマは自分の頬を手で擦りながら女神に対して中指を立てていたのをみたアオイとディエーラに止められてたのであった。
女神が帰ると空が晴れて普通の天気に戻っていた。
だが、今のドーマにはどうでもいい事であった。
「お、俺が精霊使いだなんて…。 つまりはセシアの面倒見ろって事か!!?あのクソ女神ー!!! 絶対いつかぶっ飛ばしてやるからなー!!! 」
「ど、ドーマ、それでは悪魔の主君候補で魔王になるって宣言しているのと同じですよ? 」
「知るか!! 悪魔の主君だろうが、精霊使いだろうがやってやろうじゃねぇか!見てろよ!!ババァ!! 」
「流石は僕の主様です!!! 」
女神に対して暴言を吐いていたドーマが精霊使いであり、悪魔の主君候補である事に対してアオイが天界に対しての宣戦布告であると忠告したが、女神に勝手に人生を決められるのは気に入らないから見返すつもりだ。
そして、気が付いた時にはいつの間にドーマの側に銀色の毛並みを持つ犬が側にいて人の言葉をはなしていたのであった。