アカネとアオイの秘密(1)
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朝食を済ませて水洗いを済ませるとテーブルやソファーに腰を掛けて今後の方針として魔力感知で違和感を感じた場所を目指す為にそれぞれがレベルアップする事を目標と挙げた。
理由としては遅かれ早かれドラゴンが棲む森が近くにある時点で強くなれば殺られてしまうからだ。
国外逃亡を図れば間違えなくセシアの両親らは何らかの処罰を国から受ける事になる可能性が高い。 最悪の場合は死刑にされる事もある。
つまりはドーマとセシアは維持でも強力な魔物や魔獣が棲み着く森を攻略して魔物と魔獣の頂点の一角であるドラゴンを倒さなければならないのだ。
「つー訳だからセシア。抵抗しないからさっさと聖霊呼び出して戦力になれ。他の3人は…あれだからよ」
「ど、ドーマくん本当に気を使ってくれてるんだね…」
「何か物凄くこちらとしては申し訳ないのだが…身の回り事も護衛もして貰って…」
「至れり尽くせりだっけ? まぁ~確かにここまでして貰ってるならズッコンのいい想いさせてやればよくね?どのみち接吻して魔力を補助して貰うなら…」
セシアはドーマと接吻する事に抵抗しないから良いとしてもアオイとディエーラ、アカネは付き合いが浅い上に好きでもない男に接吻をさせるのは気が引ける上にも仕分けない気持ちがある。
だが、アカネは更にぶっ飛んだ事を言い始めたために流石に焦った。
同い年の娘が指で輪っかを作って人差し指と中指を輪の中に入れて出し入れしているのだ。
当然ながら意味を知らなければ、このハンドサインはわからないものであるが、アカネの「ズッコンバッコン」発言と輪っかの中を指を出し入れする動きでアオイとディエーラらは頬を赤めた。
「ドーマ!!子作りしよ!!って事だよね!?どうするの!?ドーマの童貞誰で捨てたい!?」
「うん。んな事を口に出すなアホンダラ!!!もっと自分を大切にしなさいよ!!俺とアカネらは初対面でまだ付き合いの日も浅いんだぞ!!」
「え~けどよぉ~ どうせ、この国の女は好きでもねぇ男に嫁がなきゃならないんだしよぉ。
それなら、ドーマに責任取らせて魔王になって魔王の王妃って立場で養って貰った方が勝ち組じゃね?」
「聖霊使いが勇者の力になるって役割りわかってて言ってる!? 俺の女になってやるから魔王になって楽させろとか発想が怖いんだけど!!? 」
ヘラヘラと嗤いながらぶっ飛んだ事を言っている様に聞こえるが確かにこの国の女性に人権というものは無いのだ。ある程度の年頃になれば家柄によっては許嫁がいる事もある。
勿論ではあるが、孤児院出身の少女らも年頃になればそういった目的で引き取られる事もある為に異性を好きになって結婚できる国ではない為に半ばヤケクソ気味になっている様にも思えたのだ。
良くアカネらの立場を考えれば、折角聖霊使いに導かれて聖霊女学園『スピリチュアン』に入寮したが教師はおらず第一試験から難問で自暴自棄になってもおかしくはない筈だ。
特にアカネのようなタイプならば自分に言い聞かせる為に無理に明るく振る舞ってる可能性が高いのだ。
「…あのなぁ。俺はんなことされてまで魔王になりたいとも思ってねぇよ?
ただ、俺はお前らを守る義務があるんだ。 確かにドラゴンみて自暴自棄になるのはわかるが…」
「…それだよ。ドラゴンなんてアタシらがどうこうできるワケネェよ。
なら、みっともねぇけどよぉ…ドーマに頼るしかねぇじゃんかよ…」
「ア、アカネ、落ち着いて…ドーマくんはそんな人じゃないから…」
「けど、アオイ。このままだとワタシら戦力外だぜ? ドーマから【魔闘法】を教わってもいつ聖霊が実態化できるか分からねぇし…それなら…」
アカネの言い分も一理あるのはわかるが、明らかに森の生態系を見て魔物と魔獣の頂点の一角であるドラゴンに挑む事に恐怖心に支配されている。
流石のセシアもアカネの様子に困惑して慌てて慰めようとしていたが、アカネの瞳には涙が溢れだしそうになっていたのだ。
恐らくは孤児院で酷い生活をしており、聖霊使いとして導かれて聖霊女学園『スピリチュアン』に入寮した事で安心感があった筈だ。
それが教師はおらず、常に危険な魔物や魔獣が棲む森と隣り合わせな場所にいる事を知った事で精神的に弱っているのだろう。
フェンディやルシーもアカネを気に掛けて側に向かったが今は自分が側にいってもアカネを苦しめるだけだとドーマは寮の外に出て女子だけで話し合うように言い残して扉を開けた。
そして、ドーマの背中を見送るとアカネの涙腺は崩壊し、大泣きしてしまったのだ。
扉越しに声を聞いていたドーマは自分の置かれている立場を重く理解し、空を見上げて女神を酷く恨む結果を導いた事に憤りを隠せないでいた。
ドーマ自身は魔王になる気はないが、5人を守るために魔王になるのが一番安全な策とは言い切れないからだ。
少なくとも魔王が誕生すれば、勇者が現れて必ず敵対する事になる。
つまりは魔王になったとしても5人の安全を保証できる存在ではない上に魔王の嫁となれば、討伐されてしまう恐れがあるからだ。
それをアカネは理解している上であんなことを口走ってしまったのだろう。
他に頼りなる人物がいないためにあんなことをいって、自分に言い聞かせる事で自己暗示掛けようとしていたのだろう。
今の状況は最悪である事を自覚したドーマであったが、ドラゴンを倒して魔力感知で違和感を感知した場所に何か手掛かりがあるならそこを目指すしかない。
暫くすると、同じ孤児院出身のアオイが扉から現れて少しアカネと自分の過去について話したいから寮に入って欲しいと頼まれて中に戻ったのであった。




