風の聖霊・ルシー
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翌朝、ドーマは目を覚ますと寝相の悪い2人を寝かせたままにして朝食の準備の為に起き上がるとリーファの聖霊であるルシーとフェンディも目を覚ましてついてきたのだ。
ドーマは寮の外にある井戸から水を汲み上げるとフェンディ様の飲み水を様にして汲み上げたバケツから水を掬って顔を洗い目を覚まさせた。
「なぁ、ルシーよ。これでリーファは聖霊使いとして俺と同じ立場になれたのか?」
「そうですね。基本的に聖霊は霊使いの魔力が力の源になります。故に後はリーファさんとドーマさん次第になりますね…」
「あ?俺も関係してくるのか…?俺が五人分の魔力を与えてその分を体内で練り込んで魔力に変えればいいんだろ?」
「いえ、その定期的に魔力を与えて貰う為により純度の高い魔力量が必要になるのと接吻が条件になるのでドーマさんにかなりの負担が…」
確かに五人に必要な魔力量を与えて定期的に接吻による補強がいるとなると今やっている【魔闘法】の鍛練レベルを上げなければならない。
何よりも問題なのはセシアは以外の3人だろう。
何となくだが、アカネはノリでする可能性はあるが、アオイとディエーラは聖霊使いになるためだけに接吻をするタイプには見えない。
つまりは正攻法でアオイとディエーラは体内魔力を高める修練を教えて鍛える事も考慮しなくてはならないだろう。
特に肝心の相棒はかなりの大食漢で魔力量を大量に必要ならば、フェンディがドラゴンと殺り合えるまで魔力量を増やして戦えるようにしてやればいいだけの事である。
ドーマ自身は【魔闘法】で体内で魔力を練り上げる術がある為に短期間での魔力強化は可能性ではあるが、問題はどれだけ身体が魔力量を維持できるかという問題である。その辺りは聖霊に聞くのが早いだろう。
「ルシー、俺が【魔闘法】で魔力量をあげたとして魔力量に身体は持つと思うか?」
「ドーマさんは悪魔の主君候補なので魔力量で体内で魔力が暴走する事はありませんよ?」
「…悪魔の主君ってお前らの敵みたいなもんだろ? 個人的には良いのかよ? 」
「まぁ、確かに聖霊使いは魔王に対抗する勇者の力になる事が使命ではありますけど…
ドーマさん自身が聖霊使いと悪魔の主君を兼任しているという事は魔王が世界を牛耳る為に聖霊が力を貸すというのもあり得ない話しでもないので…」
フェンディからはこういった話しは聞き出す事が出来なかったのはフェンリルという種族は基本的に矜持が高く人に従ったりする聖霊ではなく、魔力を喰って力に変えるのが本質であり主を守るという種族ではないと言うのだ。
ルシーから言われても説得力が無いほど自分の聖霊であるフェンリルは犬そのものである。
人が組んだ水の入ったバケツに顔を突っ込んで抜けなくなりブンブンを振り回している。
あれが矜持が高く人に従ったりする聖霊ではないと言われても説得力がない。
仕方無いからバケツを引っこ抜くと濡れた身体を振るって水滴を飛ばす始末だ。
「なぁ、ルシー…コイツ、本当にフェンリルの聖霊なのか?矜持が高く人に従ったりする聖霊ではない?どこが??」
「え~と…たまにイレギュラーなフェンリルもいるのよ。多分…」
「失礼な!!僕ほど高貴な矜持を持って兄貴に尽くそうという聖霊が他にいますか!?」
「今片、お前がバケツに頭突っ込んでずぶ濡れになって水滴を兄貴に飛ばしてよく言えるなぁ…お前本当にドラゴン倒せよ…?魔力量は何とかしてやるからよぉ~」
堂々とした態度で胸を張り威張った態度をしていたが、今しがたの悪戯は別件なので両頬をつまみ上げて横に広げると、ドーマの頭の上でくつろぎながら、フェンディとのやり取りを見たが自分が知っているフェンリルの聖霊とはまるで違っていたのだ。
確かに自分の主であるリーファの魔力を補強するだけの魔力や作業をしながらも純度の高い魔力を作り続けいる辺りドーマは悪魔の主君候補の中でも頭一つ抜き出ている存在だろう。
だが、肝心の聖霊・フェンリルにしては人懐こい上に上位聖霊にも関わらず従順である事からドーマとの力関係をわかっているとも見て捉える事は出きる。
だが、それにしては主に迷惑を掛けすぎでまるで役に立っていない印象が強かった。
実際にドーマが水を組み直して寮に戻ろうとした際には犬の様に足元で駆け回っていたのだ。
そして、それは聖霊使いに選ばれた5人の少女らにも言える事であった。ドーマが朝食を用意しても誰も起きて来ないのだ。
しびれを切らしたドーマが叩き起こしに言ってやっと目を覚ました程だ。
ルシーは使える主を間違えたように思えたが、リーファはルシーの頭を優しく撫でると寝落ちそうになりスープに顔を突っ込みそうな所をドーマにギリギリの所で助けられた。
結局、リーファは自分では食べずにセシア同様に食べさせて貰っていたのだ。
そんな主にため息をつきつつも見守ろうと騒がしい人間達を見つめていた。




