第五話 守る力
久しぶりの更新です。これからは、完結するまでほぼ毎日投稿をしていきたいと思います。
ちなみに、Day7完結を予定しています。
さて私たちは、パンとスープ、チーズからなる朝食を食べた後に、城の外に出ていた。
ここは……多分城の裏庭に当たる所だ。
表の、派手で綺麗な花々が咲き誇っている庭とは違い、こっちは地味な木や沢山の芝が生えているだけである。
あと、裏庭の方に人は居らず、不気味なほど静かだった。
「えーと……ねぇ、エマ。一体何処に」
「……ここです」
「あれは……」
今、立っている場所から大体20m先くらいに立てられている木の板に張り付けやれているのは……的だ。
部活でよく見たヤツ。
なんだろう、魔法がある世界らしいし、魔法の訓練でもするのだろうか?
と、思っている私にエマから手渡されたのは……黒いオートマチックハンドガン。
やたら科学的だ。
どうやら、ここは剣と魔法の世界では無く、銃と魔法の世界だったらしい。
ファンタジー=剣の方程式が成り立つのは、創作の世界だけだったらしい。
ちょっとガッカリだ。
「我が帝国の正規軍が正式採用しているP03拳銃です。口径は9mm、装弾数は8発です。使い方は分かりますか?」
「いや……分からないや」
弓矢の使い方なら分かるが、流石に拳銃に触れたことはない。そもそも、こういうミリタリー系とはほぼ無縁な人生だったため、使い方すらあまり良く分からない。
ただ、映画のガンアクションシーンとかで多少の知識はある。多少はだが。
「そうですか……まず、このレバー状の安全装置を解除してこちらのマガジンをこんな感じに装填してください」
「こう?」
エマのジェスチャーの通りに、手渡されたマガジンを銃の下部に差し込む。
カチャッと言う小さな音がした。
「そうです。そしたら、ここの銃の上の部分……スライドを引いてください。はい、そしたら最後に前の方にある凸型のフロントサイトを的の真ん中に合わせて、後ろの方にある凹型のリアサイトの溝の間に見えるように狙って……引き金を引いてください」
「……分かった」
的の真ん中にある円の中に狙いを定める。
集中力を高める。
微風が吹き、私の黒い髪が靡く。
……今!
引き金を一気に引き切る。
パーンッと、銃声が辺りに響き渡る。
思っていたよりも大きい反動が私の手を襲う。
薬莢が地面に転がり落ちる。
芝が生えているため、音はしなかった。
弾丸は……的の真ん中を綺麗に貫通していた。
やった!
「見て見て! 当たったよー、当たった当たったー!!!」
ぴょーんぴょーんと私はその場で飛び跳ねる。
「これは……初めてにしては凄いですね。何か、元の世界でやってたりはしましたか?」
「えっと、学校で弓道……まぁ、弓で的を撃ち抜くスポーツをやってたよ」
「弓……ですか。長距離の的を撃ち抜くというのは同じですし、何か通じるものがあるのかもしれませんね。では、次は素早くかつ正確な射撃の訓練をします。今の照準時間じゃ長すぎますしね」
「うん、分かった! じゃ、いくよー」
この調子で、パッパとエマの課題をクリアしていくぞ!
素早く狙いを定めて……撃つ!
弾丸は……あれ?
よく分からない端っこに当たってる……。
「遅いし、狙いが雑ですね。やり直し」
「今度こそ……えいっ!」
「速さはいいですが、弾が当たっていませんやり直し」
……この訓練は、無事夕方まで続き、一応付け焼き刃にしては上出来とエマに言われるくらいの技能は身につけられた。
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