第四話 知らない場所で新たな人生
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……明るい。
シャアーっと言う音が聞こえる。
多分、カーテンが開かれた音だ。
起きる時間……なのかな?
重い瞼をなんとか開く。
……知らない天井、知らないベッド、知らない部屋、そして金髪のメイド服を来た知らない少女。
やたら部屋や家具が立派である、私には見合わないほどに。
……視界からの情報量が多い。
昨日、何があったんだっけ。
そんな事を思いながら、身体を起こす。
チュンチュン……鳥のさえずりがふと聞こえる。
あぁ、癒される。
こう言う所は……変わらないらしい。
……変わら、ない。変わらない。
何が?
……あぁ、思い出した。
確か、あの銀髪の少女"アイリス"に私はこの世界に勇者として召喚されて……でも、何かの手違いか私は勇者の力なんて無くて……それでどうなったんだっけ。
「おはようございます、メイ様。何か、身体に異変はありますか?」
そう言いながら、先ほどから部屋にいたメイドさん(?)が綺麗な作法で私に朝の挨拶をする
「おはよう……えぇっと貴女は?」
さも当然のように居る彼女は、何者なのだろうか?
状況と服装から、きっと私のメイドさんなのだろうか?
あと、なんで私の名前知ってるんだろう……アイリスも知らないはず……あ、それは私の荷物でも見れば分かるか。教科書に名前書いてあるし。
謎が一つ解決した。
「申し訳ありません、自己紹介がまだでした。わたくしは、アイリス様より命じられ、本日よりメイ様の専属メイドとなったエマと申します。以後、よろしくお願いします」
と言い、エマは深々とお辞儀をする。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「さて、では本日の予定をお伝えします。まずは、今から着替えて朝食を食べるためにわたくし達メイド用の食事をする部屋へと行っていただきます。そしてその後は……日が暮れるまで訓練を行います。現在、ユグドラシル帝国内部は危険分子が多数潜伏しているため、メイ様には早急にアイリス様の護衛に相応しい実力を得てもらいます」
……あぁ、そうだ。
勇者でなかった私は、アイリス様の護衛になったんだっけ。
それで、この部屋とかあてがわれたんだった。
アイリス様は、訳ありで城から基本出ないから今まで専属の護衛は居なかったけど、最近は情勢が不安定だからって……あと、単純にそのくらいしか私は役に立たないって理由もあるだろう。
ちょっと悲しいな、自分で思っててなんだけど。
「うん、分かったよ」
まぁ、何はともあれ私にすることがあって良かった。
……この世界でなら、私は……変われるのだろうか?
そんな思いが、ふと脳裏によぎる。
向こうでは、敷かれたレールに沿って歩む事しか出来なかった私にも……やりたい事が出てくるのだろうか?
「では、こちらに来てください」
エマが、大きめの鏡がある所に行きそう言う。
手には、黒いスーツと白いシャツ……あれが新しい私の制服か。
確かに、向こうの世界で見た国家元首の横にいる護衛の人が着てそうなヤツだ。
エマに言われた通りに、私はベッドから出てそちらに行く。
「では、着替えの方を手伝わせていただきます」
あ、そっか。
昔の偉い人とかって、お付きの人とかに着替えをやらせてたもんね。
……着替え完了。
人に見られながら着替えるのは……ちょっと恥ずかしかった。特に下着の時とか……。
「? 顔が赤いですが……」
「い、いいや、大丈夫だよ、うんっ。何もない凄い健康」
「そうですか。では、朝食にしましょう。着いてきてください」
私たちは、部屋から出る。
これから、新しい世界で新しい私の人生が始まる。