第二十話 最後の光
「……ついに来たわね」
「そうですね。隠されている脱出口とかって、ありますかね?」
夜になっても寝ずに一日中話し合っていた私たちだったが、外から聞こえた爆発音に反応した。
……帝都にまで、革命軍がやって来たのだろう。
一度廊下に出て、窓から外の様子をチラッと見る。
もちろん、狙撃されないようにできる限り顔を隠しながら。
城壁の門が……破壊されてる。
じゃあ、もう直ぐに城内に敵が入って来るだろう。
早く、アイリスを逃がさないと。
城内には、一応配備されてる程度の警備兵が何十人と皇族達や上位貴族個人に付けられている私みたいな護衛しかいない。
流石に、国軍相手に戦えないだろう。
ただ、皇族や貴族の中には魔法を使える者もいる。
ソイツらが時間を稼いでくれるのを祈ろう。
「そうね……あるにはあるのだけど、場所がね」
「場所?」
「外に繋がっている隠し通路はあるのだけど、一階にあるのよね」
……はぁ、それは不味い。
どんなに急いでも、敵に会う可能性が高い。
しかも、アイリスと私が隠し通路に入るのを見られたら終わりだ。
……仕方ない。私が死にに行くか。
ド派手に正面から敵に喧嘩売れば敵兵の目は私に向くだろう。
もちろん、私だって死にたくない。死にたくないが……。
アイリスを守るって約束したし、何より……。
彼女が、死ぬのは見たくない。
それを想像しただけで、酷く胸が締め付けられるような感じがする。
……あぁ、もしかしたら私。
いや、それは考えなくていい。
どうせ、叶わないのだから。
「アイリス様、私が城内に入って来た敵兵を足止めします。なので、その間にお逃げください」
それを聞いた、アイリスは私の肩を掴んで言う。
「嫌だ」
「アイリス様、ワガママを言っている場合じゃありません」
「嫌だ! 絶対に……絶対に嫌だ!」
「今、ここから逃げればユグドラシル帝国の同盟国である王国に亡命出来る可能性があります。なので……」
「どうして……どうして……どうして! 約束したじゃない! 私とずっと一緒に居てくれるって! 嘘だったの、あの言葉は……」
「……じゃない」
あー、ダメだコレ。
自分を抑えられない。
「? ど、どうしたの、メイ?」
「嘘じゃないっ! 嘘なんかにしたくない! 私だって……私だって……アイリスと一緒に居たい!でも、欲張って2人とも死んだらしょうがないじゃないですか。だから、だからどうかアイリス様は先に逃げてください……必ず、必ず後から私も追いつきますから。嘘にはしませんよ、安心してください」
あー、前半ら辺なんか不敬罪の塊みたいになっちゃったけど大丈夫かしら。
アイリスも固まっちゃってるし。
まぁ、よくよく考えたらどっちにしろ死亡3秒前みたいな感じだから問題ないかー、ハハッ……笑えない。
「あーうん、なんかワガママ行ってごめんなさい。……分かったわ、私はメイを信じて先に逃げる。だから、必ず私に追いついて来なさい。分かったわね」
あぁ、良かった許された。
「了解です! ……では、早速脱出と行きたいところなんですが」
私は、アイリスの姿を今一度見る。
……ドレスにむきだしの聖剣、その他装飾品。
派手……ね。
「とりあえず、バレにくいように一般人に近しい服に急いで着替えましょうか」
「それもそうね」