第十九話 閉幕の刻
あと、二話で完結予定です。
「……うっ、ここは」
ここは……私の部屋のベッド、か。
身体をゆっくりと起こす。
あれ、確か私の腹はナイフが刺されていたはず。
でも……刺し傷が消えてる。これは?
「あぁ、良かった。あの後、治癒魔術をかけて傷自体はすぐに治したんだけどね……中々起きなくて」
ベッドの横には、アイリスが立っていた。
そっか……アイリス様がわざわざ。
「アイリス様、ありがとうございます」
「うん、これからは気をつけてね?」
「はい、肝に銘じます」
……そう言えば、やたらさっきから廊下の方から足音がする。
もしかして、何か大きなことが起こったのだろうか?
「……貴女が寝ている間に何が起きたか、気になる?」
「はい」
「そっか。ついに、革命勢力が武装蜂起したの」
そうか……ついに始まってしまったか。
戦況は、やはり悪いのだろうか?
「戦況は……どうですか?」
「最悪、だよ。国軍の5割強が向こうに回った。さらに、海・空軍勢力は中立を宣言。近衛兵団たちが一応帝国側として頑張って戦っているけれど、すぐに負けるでしょう。革命軍は私たち皇族を処刑する気だし、もう私たちに出来ることは何もない……この部屋で死ぬのを待つだけだわ」
あぁ、当初の憶測通りに戦況が悪いのか。
しかも、負け確定とね。
でも。
「……私が必ずアイリス様だけは守ります。逃げる間の時間くらいはなんとかしますよ」
「ふふっ、ありがと。まぁ、何はともあれ……革命軍が来るまで、お話しでもしましょう」
こうして、私たちはこの日が終わるまで、お互いの過去や面白いエピソードなどを語り合った。
終わりの刻は、もう目の前だ。