第十四話 聖剣の巫女と守護者Ⅱ
約7年前
「……嫌だ」
私、アイリス・フォン・ユグドラシルは人生で初めて文句を言う。
今までは、これまでの9年はお父様のどんな命令も聞いた。
私は、第三皇女だから。恵まれてる地位だから。民の上に立つものだから。ユグドラシル帝国に身を捧げなきゃいけないから。
でも、これは無いだろう。
それは……聖剣の巫女になった私は果たして人間と言えるのだろうか。
基本的に外に出れず。
神に近しい何かになり。
よく分からない剣の方を自分の命より優先しなければならない。
そんなのに、仮にとてつもなく名誉なものだとしても、私はなりなくない。
自由を、最低限の自由を、失いたくない。
美しいモノを見る権利を、親しい人を得る権利を。
私は、失いたくない……!
「……アイリス第三皇女、それは認められないな。我が娘とはいえど」
「おと……陛下……はい……わ、分かりました……」
涙を流しながら、聖剣の巫女の任を受ける幼い私。
そして、それを玉座の上から憂いた表情で見るお父様。
あぁ、そうだ。
そうだった。
私は……孤独になりたくなかった。
それを見たわたしは、思わずアイリス様を抱きしめていた。
「アイリス、私は……私はだけは……ずっとそばに居るから。だから……だからどうか……安心して」
「なんで……なんで……そう、言い切れるの……?」
バカだなぁ……私のご主人様は。
「だって……アイリス様が私の召喚主じゃないですか。それに、昨日アイリス様を守り通すって言いましたよね?」
……あらまぁ。アイリス様、泣いちゃってるよ。
あーあ、服が汚れちゃうなぁ。
ま、いっか。
「ほんとに、私と一緒に居てくれるの? ずっと?」
「……Yes.my lord」