表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平助と王 日・台爺い絵巻  作者: 真桑瓜
22/22

訃報

訃報



平助が王の訃報を受け取ったのは、その年も押し迫った頃であった。

「王の奴、とうとう逝ってしまいおったか」

「先生は最後まで無門先生に感謝しておられました」報告にきたメイメイが言った。

「そうか・・・」平助の頬を涙が一筋流れた。「生き残った者の感傷かのぅ」

「あの日、先生方が戻られたのを見て全ての疑問が解けました」

「躰中痣だらけじゃったどん、なんとも清々しい表情ばされておいもしたな」熊さんが言った。

「先生はその為だけに、無門先生を日本から呼び出されたのですね」

「劉のこつはただの口実に過ぎんかったちゅうこつですか」

「なぁに、王は最後に儂と遊びたかったのじゃよ。素直に言えば良いものを」

「王先生は天邪鬼でしたから」

「儂もあんな頑固爺いにはお目にかかった事がない」

「師匠も同じこっですたい」

「年寄りには年寄りの事情があるもんじゃよ」

「ところで、道場はどうした?」平助がメイメイに尋ねた。

「兄が継ぎました。あの道場は高雄市民の心の拠り所ですから」

「耶律は捕まったのか?」

「いえ、まだ捕まってはおりません。ただ、噂は広まるのが早いものです、事実上劉は失脚したも同然です」

「もし、もっと早くに耶律に再会しておったら・・・?」

「私は“もし“と考える事はありません。過去は二度と戻る事はありませんから」

「正解じゃ、儂も見習おう。年寄りはつい昔の事ばかり振り返ってしまうからの」

「師匠、いつか王先生の墓参りに行きもそ」

「そうじゃな、もう一度十八羅漢山を見てみたい」

「その時は私もお供致します」

『その必要は無いぞ。儂は墓なぞにジッとしてはおらんからな』

「ん!今、王の声が聞こえなんだか?」平助が道場を見回して言った。

「いえ、何も」

「師匠の空耳ですたい」

「そうじゃろうの。儂も耄碌したものじゃ」

「では、私はこれで」メイメイが立ち上がった。

「うむ、ありがとう。ご苦労じゃった」

メイメイは挨拶をして道場を出て行った。

『相変わらず、気の強い娘じゃ。人の居らぬ所ではあれ程泣いていたのに』

また、何処からともなく王の声が聞こえたが、平助は黙っている事にした。








                                妖怪 王に続く



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ