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平助と王 日・台爺い絵巻  作者: 真桑瓜
19/22

戦いの後

戦いの後



警察が来て現場検証と事情聴取が進められた。

日本人が二人絡んでいた事に高雄警察は目を瞑った。国際問題に発展する事を恐れたのであろう。軍の武術指導教官、李の存在も大きかったのは間違いない。

逃げた耶律は指名手配になるだろう。捕まれば劉の失脚は免れない。

扈三娘については供述が曖昧であった。襲撃者三人はそんな女は知らないと言い、呉楊と公孫は確かにいたと証言した。

負傷者は救急車で病院に運ばれ、警察は本格的な捜査は夜が開けてからになる、と言って制服警官二名を残し帰って行った。

五人は食堂のテーブルを囲んで座りメイメイが全員にコーヒーを淹れた。


「そ、そ、そんな事が・・・」平助の話を聞いて李が動揺した声を上げた。

「そう言えば、槇草さぁもそげなこつば言いよったでごわすな」

「信じられんじゃろうが・・・」

「わ!私はそんな事は信じません!」李が平助の言葉を遮った。「私は・・・」

「どうした、李?何をそんなに取り乱しておる?お前らしくも無い」王が訝った。

「い、いえ別に。失礼しました・・・忘れてください」

「何じゃ、おかしな奴じゃのぅ?」王が言った。「儂も武松には会うておる。武松は度々現れて儂に色々な事を教えてくれたぞ」

李が項垂れて口を噤んだ。

「兄は以前から、『この世に不思議な事など無い』と言っております。兄の持論なのでしょう」メイメイが取り成す様に言った。

「に、日本の小説家南極冬彦先生なら、四百字詰原稿用紙五十枚を優に使って不思議の謎を解き明かしてくれると思います」李が言い訳をする様に言った。

「南極冬彦と言えば黒本に指定されている作家では無いか。この戒厳令下どこでそんな本を手に入れた?」

「か、海賊版です・・・闇のルートでいくらでも手に入ります」

「まぁ、信じるも信じぬも、個人の自由じゃ」平助が慰めるように言った。

「す、済みません・・・」

「謝る事では無い」


「ところで・・・」王が話題を変える様に平助と熊さんを見た。「今回の事、二人に謝らねばならぬ」

「改まって何を言う?」

「我が身の都合ばかり考えておった、本当に済まなかった」

「人は誰しも自分の都合で生きておるものじゃよ」

「おいどんたちが此処に来たのも、おいどんたちの都合ですたい」

「有難う。そう言ってもらうと少し気が楽になる」

「目的は果たせそうか?」

「耶律が捕まり証言が得られれば」

「それまでは此処におらねばならぬのかな?」

「その必要はないそうじゃ。ただ出国許可が出るまで二、三日はかかるじゃろう。まあ、ゆっくりして行け」

「うむ、そうしよう」

「そうか、良かった。明日は街へ出よう、台湾の正月を堪能して貰いたい。その間に帰国のチケットを準備する・・・良いなメイメイ」

「はい、明日は主人も台北に到着する予定です」

「吉田君が?」平助が訊いた。

「台湾では初二、つまりお正月二日目は旦那様がお嫁さんの実家に帰る日なのです」

「そうか、そうであったな」

「師匠、おいは烏山頭ダムば見てみたかっですが」熊さんが言った。

「私がご案内致しましょう。軍のジープですので乗り心地は保証しませんが」あれから黙りこくっていた李が快活に言った。話の矛先が変わったので安心したのだろう。

「乗り心地などどげんでんよか。李さん宜しゅう頼んます」

「任せて下さい!」

「おう、そうじゃった!新年の挨拶がまだじゃったな」思い出したように王が言った。

「そうであった。あけましておめでとう」平助が口火を切った。

「新年快楽!」

「今年も宜しくお願い致しもす」

「過年好!」


それぞれに新年の挨拶を交わし、五人は部屋へ引き上げて行った。





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