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平助と王 日・台爺い絵巻  作者: 真桑瓜
18/22

戦い



熊さんVS淵観


淵観が構えているのは三節棍だった。三本の短い棍を鎖で連結している。

棍は冷たい光沢を放っていて、金属のようだ。

中国の武術(ウーシュウ)は徒手と武器術が一体化している。むしろ徒手の技術は武器を操るための練功といえる。兵は武器を持って戦うものであれば当然のことだろう。

嘗(かつ)ては、日本でもそうであった。現代武道の様に専門分化したのは近代に入ってからである。

今、淵観は両端の棍の連結側を握っている。左の棍の先を熊さんに向け、右の棍を先端を上に向けて構えている。二刀流の構えのようだ。

遠間では三本の棍が一本の棒のように働き、近間ではそれぞれに独立して短器として働くのだろう。

ただ、自由度はそれほど大きくはない。技量の劣るものであれば返って隙を作る事になる。

しかし、先ほどの攻撃を見ても淵観の技に隙はない。

熊さんは、わざと前面を空けるように脇構えに構えた。

淵観が真ん中の棍を掴んで躰の側面を風車のように回し始めた。三つの棍は一本の棒と化し速度を上げて行った。

『速か!残像しか見えん』熊さんは頭の中で呟いた。『さて、どうしたもんじゃろか?』

その時、淵観が跳躍した。棍が唸りを上げて熊さんの頭上に振り下ろされる。

『刀で受けちゃならん!』熊さんは咄嗟に大きく飛び退いた。

その瞬間、今まで熊さんが立っていた所が爆発した。棍が地面を叩いたのである。

刀で受けていたら折れていただろう。

間髪を入れず棍の先端が突き出される。しかも先端は一つではない、二つの先端が連続、または同時に熊さんを襲う。円と直線のコンビネーションが素晴らしい。

熊さんは北の塀まで下がる。淵観は勢いに乗って再び跳躍した。

『今じゃ!』脇構えの刀を頭上に振り上げ、塀を蹴って飛び出した。加速度のついた躰を沈め、転がりながら淵観の下を潜り抜ける。

ギャッ!という声がして、淵観は塀に激突して落下した。

「命を落とすより良かろう」立ち上がった熊さんは、後も見ずに走り出した。

後には蹲る淵観と、左の足首が切断されて残されていた。




李VS趙蓋



太極拳は普通、柔のイメージだが趙蓋のそれは全く違っていた。

李の技をあくまで柔らかく受け流し、攻撃を無力化するのだが、反撃は強靭で力強くそのスピードは少林拳に匹敵する。

今まで李が戦ったどの太極拳の使い手よりもその違いは顕著であり、李は戦い方を変えざるを得なかった。

李は奇策に出た。接近戦の得意な太極拳に、更に近い位置での攻防を挑むのである。

李は蹴りから突き、突きから肘と徐々に間合いを詰め、遂に趙蓋の躰に貼り付いた。

左足で起こした勁を右肩まで運びそこで爆発させた。すると、趙蓋も同じように勁を発して防御する。中国武術ではこれを発勁と呼ぶが、このような短距離での発勁を特に寸徑と呼んだ。

相手の躰に触れているところが力の伝達子となり、全身が武器となった。互いの勁がぶつかり合い、一進一退の攻防が続く。

この攻防では、躰の表面のダメージはそれほどでもないが内臓へのダメージは計り知れない。

発勁には一日の長がある趙蓋が李の躰を弾き飛ばした。

『何かが足りない』李は最後の力を振り絞って立ち上がった。『そうだ、あの技・・・』

李は、宋江陣で戦った時の槇草の技を思い出していた。

趙蓋がロングレンジの突きを放って来た。李に余力が残っていないことを見越した攻撃だ。

李は全身の力を抜いた。同時に左右の足を入れ替え躰ごと重心を前に移動する。

右腕の前腕部で趙蓋の突きを往なし、体当たりをするようにぶつかって行った。

肘が趙蓋の躰に触れた瞬間一気に勁を爆発させた。表裏突きと発勁の合体技だ。


趙蓋は弾け飛び、塀に後頭部を強打して止まった。そのままズルズルと座り込む。

塀に血の跡が残った。





メイメイVS耶律



「今日の日を、どれほど待ち焦がれていた事か」メイメイを睨みつけて耶律が言った。

「私は貴方を思い出せません」

「なに、忘れたとは言わせない!」

「いつ、お会いしたかしら?」メイメイが首を傾げる。

「本当に忘れてしまったのか・・・?」

「御免なさい」メイメイはペコリと頭を下げた。

「あ〜、俺は今日まで何の為に生きて来たんだ・・・」耶律は頭を抱えて蹲る。

「まぁ、そんなに嘆かなくても・・・」慰めの言葉も出なかった。

「こうなったらお前が忘れた分も含めて倍返しだ!」

「逆恨みはみっともありませんわ」

「煩い!俺の十三年間を返せ!お前を倒せば、せめてその半分は報われるのだ」

「それは理性的な考えではありませんね。感情は思考を狂わせます」

「屁理屈を捏ねるな!」

「それでは私に勝てません。たとえ技量はあなたの方が上であっても」

「問答無用!」耶律は他所行きの上着を脱ぎ捨てて、拳を握りしめた。

「仕方がありません。お相手いたしましょう」

メイメイは、両掌を耶律に向けて構えた。

耶律がじりじりと間合いを詰めて来る。メイメイはひょいと右手を上げて腋の下に隙をつくった。

耶律は誘われるように前に出て突きを放った。途端にメイメイの前蹴りが腹に飛んで来る。

腹筋を固めてなんとか耐えたが少し後退したのだろう、間合いが切れている。

「昔と変わっていませんね」

「なんだと?」

「今思い出しました。貴方とは高雄大学の兄の前で手合わせをした事があります」

「なぜ今頃思い出す?」

「一度戦った武術家の技は、躰が覚えています」

「俺のことは忘れてもか?」

「技も貴方の一部でしょう?」

耶律は落ち着きを取り戻した。完全に忘れ去られていた訳ではないのだ。

『あれからの修行を無駄にはするな』と、自分に言い聞かせた。

耶律は拳を掌に変え、メイメイを中心に大きな円を描くように移動する。

「どうやら、私は敵に塩を贈ったようですね」

「どういう意味だ?」掌を複雑に動かしながら耶律が訊いた。

「日本の諺・・・」言い終わらぬうちにメイメイは耶律に襲い掛かった。

蹴りから突き、突きから膝蹴りと目まぐるしく技を放った。

耶律は柳のような柔らかさでメイメイの攻撃を打ち消してしまう。そして反撃は竹を弾いたように速やかで強靭だった。

互角の戦いが続く。体力的に勝る耶律はメイメイの疲れるのを待っている。

やがて、疲れたメイメイが耶律の下段蹴りに足を掬われ宙に舞った。

耶律は、仰向けに倒れたメイメイに馬乗りになり、高い声を発して二本の指を振り上げた。

目を潰すつもりだ。

メイメイが目を瞑り死を覚悟した時、耶律の動きが止まった。


そっと目を開ける。

「ありがとう、気が済んだよ」耶律はゆっくりと立ち上がった。「俺の修行は無駄ではなかったようだな」

「私の負けです」

「もう少し早く再会したかった」

その時、李が血相を変えて駆けて来た。「メイメイ無事か!」

耶律は素早く身を翻し、上着を掴んで塀に飛び乗った。

「俺は仲間を裏切った、このまま消える。もう、二度と会うことはないだろう」

そう言い残して、耶律は赤煉瓦の洋館の庭に飛び降りた。



「奴はなんと言っていたんだ?」息を切らして李が訊いた。

「なんでもありません、ただ・・・」

「ただ?」

「人の運命とは、分からないものですね」

メイメイは耶律が消えた西の塀を、いつまでも眺めていた。




王VS蔡景 1R



蔡景は帽子をパサリと床に落とし、そこを始点に弧を描くように歩き出した。

王は馬歩の姿勢を崩さない。

「八卦掌か?」

蔡景は答えない。その代わり、手を複雑に交差して見せた。耶律に蔡景が教えたのは八卦掌

だったのだ。

蔡景は円を描きながら徐々に間合いを詰めて行った。そして、ギリギリの所で接近を止めた。

あと数センチ縮まれば間合いに入る。

王が一歩踏み出して自ら蔡景の間合いに入った。その瞬間、蔡景は足を交差させ躰を一回転させた。

ハンマー投げの鉄球のように、蔡景の左の裏拳が王の側頭部を襲う。

王は素早く身を沈め、両手を床に突いて右足で大きく弧を描いた。

両足を掬われた蔡景の躰は宙に浮き、背中から床に激突する。

王は跳躍して踵で顔面を踏みに行った。

蔡景がその体勢から両脚を蹴り上げ反撃して来た。王は危うく躰を捻り蹴りを躱す。

蔡景が米搗きバッタのように跳ね起きた。

「ほう、やりおるな。久々に腕が鳴るわい」

「お喋りな爺いだ・・・」




平助VS扈三娘 1R



『お爺ちゃん、手加減はしないわよ』

「お爺ちゃん、か。なかなか良い響きじゃ」孫のいない平助は、平素お爺ちゃんと呼ばれることはない。

『ん、しかし変じゃな。あやつは日本語を喋れるのか?』

平助の心を読んだように扈三娘が笑った。『お爺ちゃんの頭の中に直接話しかけたのよ』

頭の中で声がした。

「なんと!そんな事ができるのか?」平助はマジマジと扈三娘を見詰めた。

『どうしてなのか、私にもよく分からない。ある日気がついたら頭の中で声が聞こえたの』

「それは便利じゃの」

『だから、お爺ちゃんがどこを攻撃して来るか手に取るように分かるわ』

「むむ、道理じゃ!」

『やめるなら今のうちよ』

「やめたいのは山々じゃが、そうもいかん事情があっての」

『そう、お友達の為ね・・・仕方がないわ』

扈三娘はいきなり両刀を地面に突き立てた。まるで短距離走のクラウチングスタイルだ。

『行くわよ!』

頭の中で声が聞こえた時には、扈三娘が目の前に迫っていた。

平助は危うく扈三娘をやり過ごす。

『両手両足の力で飛出してきおった』

『そうよ!』

右刀が飛んで来た。身を沈めて躱した途端前蹴りが平助を襲う。

下から蹴りを掬って後方に投げた。扈三娘は宙返りをして難なく立っていた。

『なんと身軽な』

『こんなのは序の口よ』

扈三娘の両刀が縦横無尽に回転し始めた。

『車の影に逃れるか?』平助は頭の中で考える。

『そうはさせない』扈三娘は跳躍して車の屋根に音もなく飛び乗った。

『飛び降りたところを狙うか?」

『甘いわ!』扈三娘は両刀を盾にしてふわりと地面に舞い降りる。

『う〜む、思考を読まれたのでは万事休すじゃな』

『お爺ちゃんは強いわ。私の攻撃を受けてまだ立っているなんて』

『お褒めに預かり光栄じゃの』

『でも、これで最後!』扈三娘は両刀を構えて向かって来た。


「師匠!」熊さんの声がした。




王VS蔡景 2R



「お喋りな爺いだ・・・」蔡景は服に着いた埃を払いながら呟いた。「しかし、腕は立つ」

「お主、何人殺した?」

「十人までは覚えている・・・」

「そろそろ潮時じゃ」

「お前を倒したら考える」

「なら今日で終わりじゃな」

「ふん、俺を倒せるか?」

「十中八九は」

「凄い自信だな」

「自信ではない、推測じゃ」

「確率は?」

「85%」

「・・・言葉のお遊びは終わりだ。覚悟はいいな?」




平助VS扈三娘 2R



「師匠!」

扈三娘の動きが止まった。

「お、熊さんか」

「こん刀ば使いなっせ!」熊さんが鞘ごと平助に刀を投げた。

「有難い」空中で刀を掴むと、平助は柄に手を掛けた。「暫く借りるぞ」

扈三娘は熊さんを睨みつけた。

「心配せんちゃよか。おいは手出しはしもはん」

「その男は信じても良い。儂が保証する」

扈三娘は二人を交互に見据えてから言った。『どうやら、そのようね』

「わっ!なんね、頭ん中で声のすっばい」熊さんが慌てた。

『後でゆっくり説明するとしよう』平助は扈三娘を見た。『さ、扈三娘、続きじゃ』




王VS蔡景 3R



「覚悟はいいな・・・」蔡景は再び両掌を王に向けた。

王は馬歩の姿勢に戻り両拳を腰に引く。

蔡景に対して45度の角度を保ったまま、王は前進した。

顔の前で掌をゆっくり交差させながら、蔡景は時計回りに移動する。

掌底が王の視覚を遮るように動いて、一瞬蔡景の姿を見失った。

次の瞬間、蹴りが真下から迫り上がってきた。床に伏せた姿勢で蔡景が足刀を蹴り上げたのだ。

仰け反って躱したが鼻先を掠った。顎を蹴られていたらそれで勝負は付いていただろう。

王が態勢を立て直す間に、素早く立ち上がった蔡景の怒涛のような攻撃が始まった。

蹴りかと思えば突き、上かと思えば下。掌底、肘、膝と間断のない攻撃が連続して王を襲う。

王は道場の壁まで追い詰められた。

道場の壁には様々な武器が掛けてあるが、それに手を伸す余裕は無い。

遂に、王の背が壁に触れた。蔡景は勝ち誇ったようにほくそ笑み、最後の技を繰り出す。

掌底が王の両肩を突いた。このまま徑を発すれば確実に王は死ぬ。

ところが、先に徑を発したのは王の方であった。

両足底で生み出した徑を高速で膝、腰、脊髄と運び肩で爆発させたのだ。

蔡景は消し飛び、道場の床に長々と横たわった。


「危なかった。儂もそろそろ引退かのぅ・・・」




平助VS扈三娘 3R



『扈三娘・・・続きじゃ』平助は腰のベルトに刀を差した。

『望むところ』

扈三娘は左足一本で立ち、両刀を横に広げて構えた。まるで鶴が羽を広げるように。

「まるで白鶴(はっかく)じゃ・・・」

平助は、右手を柄にかけるとそのまま目を閉じた。

扈三娘が怪訝な顔をする。

『・・・』

『おかしい、心の声が聞こえてこない?』

『・・・』

『分からない、何故?』

平助は目を閉じる事で目からの情報を遮断した。耳は内耳に意識を集中する事でホワイトノイズで頭を一杯にし、外からの音が届かないようにした。

外部の情報は皮膚感覚のみ。これで次の動きを考えることはない、感じたら動くだけだ。

扈三娘の動揺は激しくなった。いずれ他の仲間も駆けつけて来るに違いない。

『このままでは時間が経つほど不利になる・・・』

扈三娘は右足を踏み出すと、地面を強く蹴った。白い鶴が宙に舞う。

平助の腰間から走り出た光が、一瞬虚空を斬り裂いて鞘に納まった。

鶴は、ゆっくりと平助の後方に舞い降りて、やがてパタリと倒れた。




番外 平助VS武松



振り返ると倒れた扈三娘の前に黒いマントを纏った武松が立っていた。

『武松殿』

『見事だ!扈三娘をよくぞ倒された』

『扈三娘は?』

『心配ない、気を失っておるだけだ』

『貴方が救けたのであろう?』

『お主にも斬る気はなかったと見受けたが』

『ふむ。で、扈三娘は何者なのじゃ』

『梁山泊の女将軍、一丈青扈三娘』

『何故現世に?』

『扈三娘は、陸州攻略戦で夫王英を救出に向かい、敵将鄭彪(ていひょう)の放った武器で落馬した。記憶を失ったまま時空を彷徨っておったところを、儂が突き止め探しておったのだよ』

『そうであったか』

『ここだけの話だが、儂は扈三娘に惚れておったのさ。それ故、まだ執着が消えん。悟れんのはその為だよ』

『これからどうするおつもりじゃ?』

『扈三娘は連れて帰る』

『うむ』

『だが、最後に儂の頼みを聞いてくれんか?』

『なんであろう?』

『お主と手合わせがしたい』

『儂と?』

『武術家の性よのぅ。強い漢を見ると戦わずには居れなくなる。お主と拳を交える事が出来れば、もう思い残す事はない』

『・・・』

『どうだ、聞いてくれるか?』

『承知致した』平助が頷いた。

『有難い』

『得物は?』

『徒手空拳・・・』



マントを脱ぎ捨てた武松の右手には、斬り落とした拳の代わりに鉄の球が付いていた。

『毒手よりマシだろう?』

『そうかな?その鉄球が当たれば儂の頭は粉々に砕かれるのではないか?』

『臆したか?』

『逆じゃよ。楽しくてしょうがない』

『ふふふ、同類だな』武松が微かに笑った。『参る!』

『応!』


それは異様な光景だった。武松はただ立っているだけなのに周りの地面が凹んで見える。

まるで武松の質量で時空に歪みが生じているようだ。

平助は凹みに吸い込まれるようにズルズルと武松に引き寄せられている。

『お主に手加減はいるまい?』

『無用!』

と、言ってはみたものの、正直なところ平助になす術は無かった。

武松は蟻地獄のように穴の底で平助が落ちて来るのを待ち受けている。

『この感覚は・・・』

躰は思考より速く反応した。膝が抜けて躰が宙に浮く。位置エネルギーを一気に解放した。

平助の躰は自由になり加速度をつけて武松に突進した。

武松の鉄の拳が真っ直ぐ平助に向かって来る。

空中で、平助は見えない日本刀の鞘を送った。見えない刀は手刀となり武松の拳と交叉する。

鉄球は平助の衣服を切り裂き、薄い胸の肉を焼いた。

同時に平助の手刀が武松の首を強かに打つ。

鈍い音がして武松の首はあらぬ方向に折れ曲がり、肩からダラリと垂れ下がった。

平助はゆっくりと武松の前に立った。

『これで思い残す事はない』武松は両手で首を元に戻しながら言った。

いつの間にか穴は消え、大樹のある森の中にいた。消えかけた焚火には武松の右拳が黒く炭化して燻っている。武松は扈三娘を肩に担いだ。

『さらばだ。二度と会う事はないだろう』最後の言葉を残し、武松と扈三娘は霧の様に消えた。

平助は粛然とそれを見送っていた。


「・・・匠、師匠!」熊さんの声が聞こえた。

「どげんしもしたか?魂の抜けたごつ突っ立ってござるが?」

「なに、最強の武術家と手合わせしておったのよ」

「あん娘が最強と言わはっとですか?」熊さんは平助の肩越しに扈三娘の倒れた場所を見た。「おや?娘がおらん・・・」

「まず、刀を返そう」そう言って平助は刀を熊さんに手渡した。


王、李、メイメイが集まって来た。

「どうやら、済んだようじゃな?」王が言った。

「先生、熊さん、お怪我は有りませんか?」メイメイが訊いた。

「大事ない、そちらの首尾は?」

「裏に二人、建物の中に一人敵が倒れております」李が答える。

「一人は塀を飛び越えて逃げました」

「なら、敵は五人じゃったちいうこつたいね」熊さんが言った。

「こちらの敵は?」李が訊いた。

「消えた」

「消えた?」

「信じられん事じゃがな・・・」平助が扈三娘の倒れていた方向に目をやった。

「それより、呉楊と公孫の手当をしてやろう」王が言った。

「じゃっど、じゃっど。李さん、手伝っちくれんね、二人ば中に運ばにゃならん」

「おお、そうでした!」

「私は、救急車を呼びます」

そういって、メイメイは建物の中に消えていった。












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