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目立たぬ場所に隠された秘密の店

 その店は──いつからそこにあったのか、その町に住む住人の誰もがそのことを知らない。

 いつの頃からかそこにひっそりと存在しており、何のためにあるのか、誰も知らず知ろうともしないまま、長らく町の一部として景色に溶け込んでいた。

 窓がひとつも見当たらないこじんまりとした建物に、手書きの文字で『OPEN』と記された小洒落た札が吊り下げられたドア。その周囲は花を植えた植木鉢や動物の石膏像など、様々な置物で飾られている。

 まるで人の気配を感じない、ハリボテのようにすら思える店だが──


 ──閉ざされたドアを開けば、そこには確かに多くの命の気配と温もりが存在していて。

 外観からは想像もつかないような『世界』が、訪れた者を迎え入れてくれるのだ。


 その世界の主は風変わりで、紅茶の香りを纏いながら客人を出迎えるのが常だった。

 挨拶の文言も、決まってこの一言から始まる。



「──幻灯書庫へ、ようこそ」



 ──と。

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