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その14



夕飯を振る舞うと聞かない母を、俊は強引にねじ伏せ二人は俊のアパートに帰り着いた。

「だから後悔するなと言ったんだ」

疲れた感じの俊が、ボサっと座る。

ふふ、と笑う真理子。

「お会いできて良かった。おまえは本当に愛されているんだなとわかった」

え〜、と俊は嫌そうな顔をする。

「それから私の事も、大切にしてくれていると感じた。俊···」

正座をして、ギュっと手を握り、真理子は俊を見る。

「年上で、何でも知っていなければならないのに、本当に申し訳ないんだが、私は、知らないんだ。だが、きちんと調べて、ちゃんとリードできるようになる。頑張るよ」

うむ、と頷く真理子。

俊は、頭を抱える。

「おまえは本当に大馬鹿だな、真理子。そういうのは、たとえ知ってても知らないふりするくらい、リードしちゃアカンもんなんだぞ」

えっ、と驚く真理子の顔を、俊はそっと抑える。

「知ってるか?30まで知らないと妖精になれる」

あれ、40だったかな?と、俊は首を傾げ、二人はキスをした。

「いいんだな?妖精になれなくても」

俊が聞く。

「妖精系は苦手なんでな」

真理子が俊の服を握る。


「おぉい、見ろ真理子!」

クロトがガチャ、と自宅のドアを開ける。

「···なんだ」

サーシャは呆れながらも立ち上がった。

バーン、とクロトが取り出したのは『釣り図鑑』

「遂にやったぞ、フルコンプだ!」

ドン!と、サーシャの目の前の机にそれを置き、最後のページを開き見せる。

「ほれここ、報酬のボタンが光ってるだろ?ついに貰えるんだ!大変だったぜマジ!」

ほぉ、と、サーシャも覗き込む。

「装備だと言ったか。すごいな、これだけの種類の魚を獲って、一体何が貰えるのか···」

クロトはサーシャに見えるようにしたまま、報酬ボタンを横から押した。

ボフンというSEがして、クロトはアイテム:『人魚装備』を入手した。

「あぁ〜···こりゃ···」

クロトが何とも言えない表情をしている。

それはお決まりの人魚。下半身が魚になり、上半身は貝殻二つで隠す、アレだ。

装備位置はフルボディタイプ。いつもは上半身下半身、それに靴があったり、いろいろ掛け合わす装備欄が、これひとつで埋まってしまう。上着で隠すこともできない。

更には、女性専用装備となっている。男の人魚なんて、見たくない。運営のおっさん共の、気持ちもわかる。

「なんだ、なんだった?」

サーシャが横からインベントリを覗く。そして言った。

「へぇ、人魚。ちょっと貸してくれ」

え、とクロトはサーシャを見る。

「いいのか?」

サーシャはトレード画面を出した。

「外には行かん」

そして、装備する。

ふわっと、そこが海中であるかのように浮かぶサーシャ。

「おぉ···」

それは、着ぐるみという解釈になるのだろう。サーシャの上半身は、貝殻で隠された場所以外、綺麗な肌色で覆われ、傷跡はどこにも見えなかった。

「これは···」

と、サーシャが手をやる。そして顔を輝かせた。

「すごいぞ俊!乳がでかい!見ろこれ!」

クロトは後ずさった。

「あ、あぁ、でかいな」

サーシャは嬉しそうにぴょんぴょん跳ねた。足がないせいか、動きは単調だ。

「これならこっちでだけでも楽しめるな、良かったな俊!」

クロトは息をつく。だからそういう事じゃないと言うのに。でかけりゃいいなら風船でも膨らましてろ。

「あぁ、そうだな。でもおまえ、そのまま外には行っちゃダメだぞ。絶対だ」

ボヨンボヨンと乳を揺らすサーシャに、クロトがそう言う。

「そうか?わかった。今日はじゃあ、どうするか」

クロトは背中に背負った剣を取り出し、その様子を見る。

「狩りにでも、行くか。久しぶりに」

「いいね、いくか」

サーシャも笑う。ポンポン、といつもの格好に変わるサーシャ。

二人は外に出、手を繋ぎ、

「リバーシ!」

と、転移していった。



―完―

私が長年、人生の表舞台としてきた場所が消えるにあたり、今回このラームフルオンラインの世界も共に昇華させようと考えるに至りました。

本編を手がけてからもう幾年。当時の資料もメモ書きも、すべてまとめて燃えるゴミに出しちゃっているので細かい設定がグダグダで申し訳ありません。

この物語には、私のアホな人生にいっときでも寄り添い、歩みを合わせてくれた友人たちが数多く登場いたします。本人たちには、当然、無許可ですけど(蹴

最後だし、逃げれるだろうということで、ご紹介させていただきます。


リリ:(中身)本当は漢字表示。あとはだいたい一緒。君のソプラノヴォイスはマジコーヒー吹いた。弟妹面倒見のいい、優しいお兄ちゃん。

  (設定)まやん。男の子。出会ったときは魔法使い(ガチムチ系の)。たまに闇る。おまえらと、マスターとしてやってた頃は、充実してたな、ほんま。

ギミク:本当はアニキ頭(謎)。あとは合ってるだろ。え、ハゲ?いやそれ挨拶だから、まぁ落ち着けよ。雄叫びじゃなくて炎連打ね。そうだったよね。

タイト:本当は女の子。本当はもっとお茶目でいい加減でいつもログインしてる廃人。あと、本当は余命僅かとかではない。

ライト:マジイケメン。東の指揮官。いつも中身おんにゃの子だろうなぁって子をぞろぞろ引き連れてた。うらやま···いいえ。最後まで結局リングには入らなかったけど、最後まで愛していたわ、嫌だ本当よ。

セラル:2度地獄から蘇った化け猫。マックナゲットが好きで生クリームが好きで、海苔が好きだった黒猫。見つめると顎がくいくいっと上に上がる変な猫。わいの愛した女の子。

Magg:お、ま、え、だよ。いやおまえしかいねぇだろ●ンツだけでイく漢は。おかげでウチの娘は、おまえから貰った誕生日プレゼントの●ンツはいてあの世に召されたよ。食べ歩きもほどほどにしろよ。

クロト:楽しければそれでよく、育成が続かず、適当な事この上ないくせに人を楽しませなければいかんと無理をして、人がフラつきゃ支えるし、人が話せば口を閉じる。そんなとこから名前の由来まで、彼は彼で彼のまま。

(因みに)シンディちゃん:本当は男。いや知ってるよ、ふはは。いや、「えっ」、ちゃうわ。


物語には出てこないけど

NAGI氏:最初の師匠。大学講義中にノーパソでレベル上げしちゃうお人。

緋深ちゃん:私をオンラインに乗せてくれた功労者。ちょっと闇系。こないだの突然のメール焦ったぜまじ。

ガスト氏:銃仲間

炎龍氏:最初に世話になったマスター。マスターなのにアカウント乗っ取られた挙句ギルド解散されるのマジやめてっ!大変だったんだからねっ!

リウィス氏:私の一人めの娘。ちょっと冷徹

ヌーン:ヌーンwww

ヤス氏:君のお陰でぼくは低レベル地帯の苦労を知らず楽できました。そしてそのお陰で初期マップに帰ってこれず2週間ほどにっちもさっちもいかずに苦労しました。どうもありがとう。

カ○○氏:補助職の立ち位置と重要性を教えてくれたのが彼女。名前忘れてごめん···。どうしても思い出せない(泣)

ユリア氏:会話中に寝落ちったのはあとにも先にもあれだけだ。おまえしつこすぎ。

リス○氏:範囲ブッパ野郎。

ヴィ○氏:究極の俺様野郎だった···。騒音にイラつくのもほどほどにな。

緋○氏:自分のリアル彼女の服着て写メ送るのやめーや。それがすごい似合ってて可愛いのも自重せーや。

もど氏:わいを演習仲間に招いてくれた功労者。服がかわいい。中身はごにょごにょ。

かず氏:声がとあるニュースに出てくるとあるコメンテーターに似てる(意味不)。同職、同系統。

あやたん:くっそ絵が上手。今はリアル漫画家。まじ応援してるぜ!!いつもうちの娘のプロ絵書いてくれてありがとう。

てぃー氏:元タンク仲間。コーラ吹く。

こし○氏:煽り担当。βからいる強者。

○ぽぽ氏:南の指揮官。全体把握半端なく、指揮の腕はピカイチ。指揮中の言動はきついけど、それ以外の時は優しく面倒見のいいお兄さま。

○○氏:南の指揮官。強化装備の塊で真の金持ち。君から買った25回強化鎧着て、うちの娘は召されたよ。この人の相方が鬼強かった。あれは鬼。

ふぃ氏:西の指揮官。君の見返りゼロ献身精神は感動した。最後まで一緒でけて良かった。

きあ氏:嫁。城の維持とか鎧とか、世話かけさせたな。まさに嫁。なんだ、わいにはおまえだけやって。愛は忘れてないの。


友情出演:老婆・佐々木院長・ワイエット:我が妹


●ンツフルオンラインに、今こそ合掌し、心よりご冥福をお祈りいたします。

            ー2017.10水越 琳

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