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幕間 あさり亀の休日

※今回はアタリー視点のお話です。


 あたちはあたり亀のアタリーでち。

 今日はマナたんと遊ぼうと思って、水の都フルートまでやって来まちたでち。


 だけど、困った事が起きまちたでち。

 マナたんが泊まってる教会に行ったら、お出かけ中だと言われてちまったでち。

 お出かけ先も聞いたのでちが、騎士たん達の訓練場と言われて、との場所が分からなかったでち。

 道を聞きながら行けばとも思ったでちが、都は先日襲われて、今は皆たんが復興作業を頑張っているでち。

 だから出来るだけ邪魔ちないようにちないといけないでち。

 とれであたちは良い案を思いついたでち。


私様わたくしさまは暇じゃないのよ」


「でも、他に頼れる人がいないでち」


「……仕方ないわね。元公爵家の娘として、都の隅々まで案内してあげるわ」


「ありがとーでち! ラタたん」


 お父たんが悪い事をちて、ラタたんはとのていで平民になってちまいまちた。

 お父たんの事で色々と酷い事を言われたりもちてて、でも、ラタたんは気にてずに今の生活に慣れようと頑張ってるでち。

 だから少ちでも気が紛れればいいと思って、マナたんの所までの道案内を口実にちてお誘いちたでち。

 元々マナたんと一緒に迎えに行くつもりだったでちから、順番は逆になったけど丁度良かったでち。


「ねえ、アタリー。マナは剣の修行をしているのよね?」


「お料理を作ってるでちね」


 ラタたんの頭の上に乗ててもらって、訓練場までやって来まちたでち。

 でも、あれれ?

 おかちいでち。

 教会で神父たんにマナたんが剣のお稽古をちてるって聞きまちたが、マナたんはお稽古をちてまてんでちた。

 大きな訓練場の端っこに調理台があって、とこでレオたんと一緒に2人で仲良くご飯を作ってるでち。


「っあ! 見なさい! 騎士達が行儀よく並んでるわ!」


「本当でち!」


 大変でち!

 少ち離れた場所に、ラタたんが言った通り騎士たん達がお行儀よくお皿を持って並んでいるでち!

 訓練場が食堂みたいになってるでち!


「あら? もう1人いるわね」


「もう1人でち?」


「ほら、あそこ。マナの隣」


 ラタたんが指をさちまちたでち。

 よく見ると、マナたんの隣に知らない女の子がいたでち。

 白い髪の毛で、大きな赤いリボンをつけてるでち。


「誰でちか?」


「見た事ないわね。レオと言う方の妹さんかしら? あ、それよりどうするの? 約束をしていたんでしょ?」


「ちてないでち」


「してないのに来たの? どうりで……」


「邪魔をちたら悪いので、また今度につるでち」


「それが良いわ」


 いきなり来てビックリたてようと思っていたでち。

 でも、マナたんが忙ちとうでちから、今日は諦める事にちたでち。


「アタリー! ラター!」


 あたちが諦めてラタたんと帰ろうとちた時に、マナたんがあたち達に気が付いて手を振ってくれたでち。

 忙ちいのに、マナたんは良い人でち。


 てっかくマナたんが呼んでくれたから、あたちはラタたんと一緒にマナたんの所まで行きまちた。

 とちたら、マナたんはニコニコなお日様みたいな笑顔で迎えてくれたでち。


「2人ともどうしたの?」


「私様はアタリーの付き添いよ」


「マナたんと遊びたくて来たでち。でもぉ……」


「それじゃあ後……1時間あれば良いかな? 1時間どこかで暇つぶししててもらって良い? 無理にとは言わないけど、これ終わったら遊べるから」


「本当でちか!? やったでち~! 待ってるでち!」


「仕方ないわね。それなら私様ももう少しつきあってあげるわ」


「ありがとでち!」


 マナたんは良い人でちね~。

 1時間くらい直ぐでち。

 適当にぶらぶらお散歩ちて時間を潰つでち。


「マナちゃん、ここは私とレオお兄ちゃんだけで大丈夫だし、遊んで来ていいよ?」


「そうだぜ。俺達だけで騎士の連中に飯を出してやるから、マナは行って来いよ」


「あ~……」


 レオたんも妹たんも良い人でち。

 でも、あたちは見てちまいまちたでち。


 レオたんと妹たんが気を使ってマナたんに遊んでいいって言った時に、並んで待っている騎士たん達が凄く落ち込んぢゃったでち。

 マナたんもとれに気付いて、騎士たん達を見て気まづとうにちまちたでち。


「それなら行きましょう、マナ」


「ラタたん待つでち!」


「何よ?」


「とんな泥棒猫みたいな事をちたら駄目でち!」


「ど、泥……? どう言う意味よ?」


「ナミキたんが言ってまちた! 大好きな人を横から来て奪うのは、いけないんでち! 昼ドラ展開は駄目なんでち! 泥棒猫なんでち!」


「――っ! そうね。アタリーの言う通りだわ。昼ドラ展開と言うのがよく分からないけど、私様が間違っていたわ」


 とうでち。

 騎士たん達の目は、恋する乙女の目でち。

 マナたんのご飯に恋焦がれているんでち!

 だから、とれを横から出て来て奪ったら駄目なんでち。


「分かれば良いんでち」


 あたちはラタたんと一緒に、この場をかっこよく去るでち。

 西日がまぶちいでち……ないけどでち。

 背後から「帰ったらお姉を呼び出すか」と聞こえてきまちた。

 きっとナミキたんの博識に心を打たれて、マナたんも泥棒猫と昼ドラを教えてもらうんでちね~。


「チーバイッヌたんに会いに行くでち」


 訓練場を出てから、あたちはラタたんに提案をちまちた。

 竜宮城で見た時は巨人たん達よりも大きくてびっくりちまちたが、チーバイッヌたんは可愛くて大好きでち。

 女王様が住んでいるフルートのお城には裏口がありまちて、とこから出ると直ぐ海に出るのでちが、チーバイッヌたんは今はとこにいるんでち。

 でも、お城の裏口からお外に出るには、女王様の許可が必要でち。

 許可が無いと、裏口を守ってる騎士たんにイタイイタイされちゃうでち。


「それなら乗船場まで行きましょうか」


「違うでちよ?」


「違う? シーバイッヌに会いに行くなら、船に乗らないとじゃない」


「今日はアタリーロボで来たわけぢゃないので、お城の裏口から行くでち」


「そうなの? 裏口から出るには許可が必要になるけど、女王様の許可はどうするつもり? 女王様への謁見は予約が必要よ」


「と、とうなんでちか!? 予約なんてちてないでち」


「それなら会いに行くのは無理そうね」


「……残念でち」


 予約が必要なんてちらなかったでち。

 今日はついてない日かもちれまてん。

 何だかチョンボリちてちまいまつでち。

 でも、そんな時でち。


「あら? アタリーとラタ、偶然ですね。こんな所でどうされました?」


 不意に話ちかけられまちたでち。

 振り向いたら、メイドのメレカたんがいまちたでち。

 メレカたんはこの国の女王様のお姉たんでち。

 チャンツ到来でち!


「ごきげんよう。メレカ様」


「ごきげんよう」


 ラタたんとメレカたんがカーテチーの挨拶をちて、2人は優雅に微笑みまちたでち。

 とっても上品でち。

 でも、あたちはこのチャンツを逃がつ気はありまてんでち。

 上品に挨拶ちてる場合ぢゃないでち。


「おはようでち、メレカたん! お願いがあるでち!」


「お願い……? どう言ったご用件でしょう?」


「ちょっとアタリー。貴女ね、メレカ様に失礼よ」


「失礼は承知の上でち。メレカたん、チーバイッヌたんに会わててほちいでち!」


 早口でまくち立てると、メレカたんが微笑みまちたでち。


「ええ、良いですよ。今からで問題ないですか?」


「はいでち! やったでち!」


「流石はメレカ様。寛容でいらっしゃるわ」


「ふふ。お褒めいただき光栄です。ですが、先程から気になっていたのですが、様はつけなくても良いですよ?」


「そう言うわけにはいきません!」


「いえいえ、そう仰らず」


 ラタたんとメレカたんが歩きながら、何か良い争いを始めまちたでち。

 2人とも頑固でちが、とにかく問題は解決ちまちたでち!

 チーバイッヌたんの所にレッツゴーでち!


 本当はチーバイッヌたんを家まで連れて帰ってペットにちたいのでちが、チーバイッヌたんは大きつぎて飼えまてん。

 だから、チーバイッヌたんが誰かに飼われるか、野生に戻るまではいっぱいモフモフちたいでち。

 あたちはとの時、ラタたんのペットの、マーブルエツカルゴのカトリーヌたんの事をペット繋がりで思い出ちまちた。


「とう言えばラタたん。カトリーヌたんは今日はいないでち?」


「カトリーヌ? 爵位を剥奪されてお金が無いから飼えなくて、女王様に預かってもらってるわ」


「大変でちね~」


「全くよ。でも、会いたい時には会わせてもらえるから良いのよ」


「とれなら、チーバイッヌたんの前にカトリーヌたんにも会いに行くでち」


「勿論そのつもりでいるわ」


「でも、お城で預かって貰えて良かったでちね」


「……それが、あまりよくないのよ」


 突然ラタたんが立ち止まって俯きまちた。

 あたちはラタたんの頭に座ってるので、頭が傾いて落ちとうになったでち。

 でちが、メレカたんが両手の手の平を前に出ちてくれたから、とこに跳び移ったでち。

 とれから俯いて暗いお顔のラタたんを見上げまちた。


「何かあったんでちか?」


「今のカトリーヌのご飯一食分が、私様の2日分の食事代みたいなのよ」


「――っ!? 凄いでち!」


 ラタたんから教えて貰ったお話は、とんでもなく恐ろちい事実でちた。

 ラタたんの2日分の食事代が、カトリーヌたんの一食分だなんて、どっちがペットか分からないでち!

 やっぱりお城のご飯はペットも豪華なんでちね~。

 ちょっと羨まちいでち。


「お披露目会でマナに負けた時と同じくらいの屈辱だわ!」


「あの時のマナたん可愛かったでちね~」


「そうね。私様も実はちょっと楽し……そうでは無くて、とにかく屈辱なのよ!」


 たっきまで落ち込んでいたラタたんは、今度はメラメラと燃えていまちた。

 あちちでち。

 でも、あたちには気持ちが分からないでち。

 マナたんは可愛かったでち。


「だから決めたの! 私様はお城のメイドになって、美味しい食事にありつくのよ!」


「――凄いでち!」


「成る程、メイドにですか……。良いですね。ラタ、そう言う事でしたら、私が色々と指導しましょうか?」


「本当ですか!? メレカ様に教えて頂けるなんて夢のようです! 是非、お願いします!」


「やりまちたでちね!」


 超展開でち!

 メイドマツターのメレカたんがいれば百人力でち!

 きっと明日にはラタたんもメイドのプロになってるかもでち!


「見てなさいよカトリーヌ! のし上がって貴方の食事代を越えてみせるわ!」


「とのいきでち!」


 ラタたんは凄いでち。

 お家が大変な事になったのに、目標に向かって輝いてるでち。

 あたちも全力で応援つるでち!


「アタリー、一緒に世界一のメイドになれるように頑張るわよー!」


「はいでちー! ……でち?」

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