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出会い

2話になります。この後、2話投稿。

 どのぐらい経った後だったかなぁ……正確には覚えてないけど、ある日、携帯が鳴ったんだ。

知らない番号だったけど、出てみたら、あの子からの電話だった。


 ビックリしたよ~。ヤスや後輩から、あの後に散々からかわれたんだから。


 『もしもし……お久し振りです、覚えてますか? ○○(源氏名)です』


 覚えてる覚えてる、と言うか忘れられる訳ないじゃん。


 「もしもし…うんうん、覚えてるよ、俺が○○ちゃんの事を忘れる訳ないじゃん」


 馴れって怖いよね。女性と話した事がほとんど無かったオタクが、お世辞まで言うようになるんだから。


 まぁ、その後、色々と話をしたのだが、要約すると。


 【犬小屋を自分の手で作ってみたい、大工さんをしている俺に、アドバイスをして欲しい】


 って用件だったんだ。

俺は電話口で、説明を一生懸命にしたんだけど、上手く伝わらなかったみたいで、実際に会って一緒に、ホームセンターに行く事になったんだ。


 俺は電話を切った後に、ヤスに直ぐ電話を掛けたよ。


 「来週の日曜に車を貸してくれ!」


 ってね。俺も自分の車は持っていたんだけど、それまでの俺は、女性のウケが良い。なんて基準で車なんて買う訳ないから、くっそ古いカ○ーラに乗っていたんだ。

ヤスは、その当時、セル○オに乗っていたから。


 事情を話したら、二つ返事で車を貸してくれた。


 そして、ついに、待ち合わせをしていた日が来た。

ヤスに付いて来て貰って買った服を着て、ヤスに借りた車を走らせて、待ち合わせ場所に行くと、あの子が待ってた。


 二人っきりの車の中で、他愛も無い話しかしなかったが、すごく楽しかった。ホームセンターに着いてからは、どんな犬小屋を作るつもりなのかを聞いて、必要になりそうな材料なんかを、選んであげたりしてたんだ。

結局、手作りの犬小屋は、あの子にはハードルが高すぎたみたいで、既製品を買うって事になったんだけど。


 それから、あの子と、デートを重ねて、告白なんかもしちゃって、付き合った。

なんて事が起きれば良かったんだけど、結局、知り合い。ってぐらいの関係より先には発展しなかったんだ。


 それからは、まぁ、何故だが、ショックよりも、焦る事も無いかなぁなんて気持ちを、何故だか持ってて、変わらずに、スロット打ったり、飲みに行ったりして過ごしてた。

友達が、彼女を連れて楽しそうにしていても、昔のように、ヒガム事も無くなってた。


 それから、まぁ少しの自信と余裕を持って、普通に過ごしてたんだ。1年ほど経った、ある日、ヤスが結婚する事になった。


 俺は、ヤスから結婚式での受け付け(みんな知ってるかな?受け付けに立って出席者に名前を書いて貰ったり、祝儀を受け取ったりするのって、新郎新婦の仲の良い友達がやるって事を)を頼まれた。


 結婚式当日、他の出席者よりも、一足早く会場に着いた俺は、ヤスと少しばかりの雑談をした後に、受け付けの場所に移動した。


 そこに居たんだ、何がって? 天使に決まってるだろ?


 もう、見た瞬間に、ホレてたよ。一目惚れってやつ。


 それで、受け付けを一緒にやってる間に、今までの修行で培ったスキルを、総動員して、彼女の連絡先を聞き出した。


 それからは、猛烈アタックを開始した。今になって思えば、ヤりすぎだったな。


 何回かの逢瀬を重ね、色んな場所に遊びに行ったりもしてたんだ。でも、告白だけは、出来なかった。

このままじゃ、女友達は出来ても、彼女は出来ない。分かっていたんだけど、断られるのが、フラレるのが、まだまだ怖かったんだ。


 ヤスに怒られたり、後輩に励まされたりして、やっとようやく、告白する事に決めた。


 『お前の初めての彼女になってくれるかも知れないんだから、ギザったらしく、記念に残るような告白をしてみろ』


 そう、ヤスに言われた俺は、その言葉を真に受けて、告白する日を俺の誕生日の前日に決めたんだ。丁度、誕生日が近かったって事もあってな。

今でも、ハッキリと覚えてる。

彼女を彼女の家の近くまで送っていった、車の中。


 「明日は、俺の誕生日なんだ。明日の俺の誕生日を、友達としてじゃなく、俺の彼女として、祝ってくれないかな?」


 30年と364日生きてきた中で、初めてハッキリと真剣に女性に告白ってやつをした。


 彼女の返事は……。


 『もっと早く言ってよ! 彼女が彼氏に贈る誕生日プレゼントを用意するのに、1日も時間が残ってないじゃん』


 俺は、この日、生まれてから、30年と364日、初めての彼女が出来たんだ。


 

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