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灰色帝都の紅い死鬼  作者: 平田やすひろ
蛇落の褥
1/153

登場人物、時代背景、ファンタジー要素等の設定

ファンタジー要素の解説は、一般の方は本編を読んでから読む事を推奨します。


なお、Pixivでも掲載します。

https://www.pixiv.net/novel/series/1064501


キャラ設定や表紙イラスト、表紙のメイキングを掲載しています。

https://www.pixiv.net/member.php?id=394223


■人物設定


挿絵(By みてみん)



宝条ほうじょう幹久みきひさ


 年齢:16歳

 身長:170センチ

一人称:僕


キャッチフレーズ:大正版オカルト好きのコミュ障学生


官立中学校(現代の高等学校)に通う学生。

他人に触れると気絶する体質に悩んでいる。

また、「いかがわしい話」を極端に苦手としている。

いつも弱気で、人の顔色をうかがっており、自分に自信が持てない。

不登校にはなっていないが、教室の隅で誰とも話さずに一日を終えるような毎日を送っている。


小説家の泉夢彦の大ファンで、特に処女作である『空蝉うつせみうたげ』を愛読しており、常にカバンに忍ばせて持ち歩いている。

しかし、官能小説である為、持ち歩くのが恥ずかしく、読む事にも苦労している。


物事を説明するのが得意で、的確な表現をすることは出来るが、本人にその意識がないらしく、自分から人に話し掛ける事はほとんどない。



挿絵(By みてみん)



宝条ほうじょうアヤメ】


 年齢:18歳

 身長:160センチ

一人称:私


キャッチフレーズ:我が道を行く暴言女


幹久の姉。

いつも前向きで、弱音を吐かない芯の強い性格。

詰めが甘くても、持ち前の愛嬌で乗り切るゴリ押しタイプ。


出版社に勤めており、女性誌を担当している。

毎日、出版社の社員や泉夢彦のセクハラ話を一蹴し、暴言と毒舌を吐く日々を送る。


オシャレが大好きで、まだ日本では流行っていないモダンガールスタイルをいち早く取り入れている。

当時としては、丈の短すぎる服とショートボブヘアで周りをざわつかせているが、本人は全く気にしていない。


オシャレ以外は興味が無い為、政治や文学に関しては少々疎いところも。



挿絵(By みてみん)



いずみ 夢彦ゆめひこ


 年齢:22歳

 身長:175センチ

一人称:私


キャッチフレーズ:美人台無し


幹久の勤めている出版社では、女性誌のコラムや官能小説を執筆。

連載している官能小説『吉原奇譚よしわらきたん』は、幹久の愛読書。


小説家とは思えないほどの容姿端麗。

黒髪交じりの白髪(ロマンスグレー)で、白人でも珍しい銀色の瞳をしている。

洋装が嫌いで常に和服だが、立ち居振る舞いが雑なので、すぐに着崩れる。

ふんわり落ち着いた雰囲気でありながら、美人台無しになるほど、だらしない恰好かっこうをしたり、子供っぽい振る舞いをする。

また、締切ギリギリに書き始める無計画さと、致命的な生活力の無さが玉にきず

人付き合いが好きで、特に宝条アヤメに構って欲しくて仕方がなく、猥談わいだんを聞かせては機嫌を損ねている。


出版社近くの和菓子屋『紅屋べにや』の酒饅頭が大好物で、見せるとあるだけ食べてしまう。


出身は千葉で、北上恭一郎とは同郷の親友。

実家が診療所を営んでおり、千葉にある医学専門学校を中退している。



挿絵(By みてみん)



北上きたかみ恭一郎きょういちろう


 年齢:22歳

 身長:195センチ

一人称:俺


キャッチフレーズ:心が迷子の陸軍兵卒


シベリアに出兵していた陸軍兵卒へいそつ

17歳の時に志願し、職業軍人として入営した一等兵。


人に対する好き嫌いがハッキリしており、嫌いな相手は初対面でも言葉はしがキツイ。

好意的に思っている相手には気さくに話しかけるが、それでも何処か一線をかくしている。

攻撃的な一面がある反面、人や動物に関係なく殺生せっしょうを酷く嫌う。


出身は千葉で、泉夢彦とは同郷の親友。


家が村一番の赤貧で、村はずれの丘の上(ほぼ山)に住んでいる。

小鈴、小梅という妹が二人おり、第一子の長男。

恭一郎が17歳の頃に、小鈴が10歳、小梅は2歳。

歳が離れているので兄弟というより親代わり。

妹の面倒を見なくてはいけなかった為、ほとんど同級生と遊ぶ機会がなく、実は女の子の遊びにやたら長けている(折り紙、あやとりなどの類)。ただし、ママゴトは嫌い。


17歳の頃は、身長が154センチと夢彦よりも背が低かったが、軍に入営してから5年間で40センチも身長が伸び、日本人離れした屈強な大男へと変貌した。


異形の存在―――『鬼』を見ることが出来、自分の運命を呪っている。



挿絵(By みてみん)



東雲しののめ


 年齢:??歳

 身長:145センチ

一人称:ワタクシ


キャッチフレーズ:天才的な妄想癖の変態侍女


宝条家に仕える変態侍女。

いかがわしい妄想を口に出しては、幹久を困らせている。

奴隷体質のマゾで、高圧的なサディストが大好き。

幹久の事は【ドS】だと言って、溺愛できあいしている。


その反面、侍女としての仕事は完璧で、元看護婦のため医療行為にも手慣れている。

きめ細やかさと忍耐力に優れているが、極度の心配性の為、帰りが遅いと幹久をわざわざ迎えに行くほど過保護。


見た目は14、5歳の少女のようで、小柄で若々しいが、宝条家に仕え始めた6年前と姿が全く変わらない、年齢不詳者。

洋装贔屓びいきの宝条家の方針で、侍女でありながら洋服を着ているが、セーラー服にエプロンという少女趣味の恰好が、より実年齢を謎にさせている。


『鬼』を見ることが出来、同じく『鬼』を見ることが出来る恭一郎に近付いて来る。



――メインキャラクター相関図――



挿絵(By みてみん)



――サブキャラクター――



犬飼いぬかい


 年齢:27歳

 身長:178センチ

一人称:俺


幹久とアヤメの勤める出版社の社員。ゴシップ雑誌の記者をしている。

元大手新聞社の記者だったが、執拗な取材で政財界から圧力を掛けられ解雇された経歴を持つ。


軽薄は口調と、着崩した背広姿がだらしなく、夢彦と共謀してセクハラ目的の猥談を繰り広げる為、アヤメからは「駄犬」と呼ばれる始末。

だが、東京に出て来たばかりの夢彦を先輩記者として世話したり、人付き合いが苦手な幹久をリードするなど気さくで面倒見が良い。


ゴシップ雑誌を担当している為、政治経済に詳しい。

政治家、権力者には批判的。

女好きだが一夜限りの関係でイイと言い放ち、結婚をする気は欠片もない。

ヘビースモーカーで煙草が切れると機嫌が悪くなる為、常にストックは多め。


左目の下に涙ボクロがある。



小鈴こすず


恭一郎の上の妹。第二子の長女。

恭一郎と夢彦に、強気でわがまま放題。


15歳になった現在は、地主の大西家に嫁ぎ、夫を手玉に取っている。

美人ではないが、可愛らしい顔立ち。

幼少期の性格に加え、戦略的に立ち回るちゃっかりさを兼ね備えた、したたかな女性に育つ。



小梅こうめ


恭一郎の下の妹。第三子次女。

恭一郎が出兵する前は2歳で、姉の小鈴のマネばっかりしたがる時期。

7歳になった現在は小学校1年生。


小鈴よりは大人しい性格。

同級生の男子にからかわれても反撃できず、女子の友達にかばわれるタイプ。



■時代背景


大正十一年。関東大震災の一年前。



・政治


第一次世界大戦は終結していたが、日本は大戦中に欧州から持ち掛けられたロシアへの干渉戦争を続けており、シベリアに出兵していた。

その侵略行為も、欧州の目もあって撤退が決まり、十月末を目途に軍が撤退する。


しかし、政府はロシアの革命軍(赤軍)の思想が兵卒たちの間で広まっている事を危惧し、帰還兵から赤軍思想が広まるのを警戒していた。

赤軍思想はロシアの王朝を潰した思想の為、当時の日本の天皇制と相容れなかったからである。


なお、当時の戦争は既に銃撃戦がメジャーで、兵卒はサーベルを持っていますが飾りみたいなもの。

日本刀を持つ将校はいますが、自腹だそうです。



・学校教育


小学校は6年間義務教育。

中学からは授業料が必要となる。


中学への進学率は2割以下と低く、地主の子など裕福な家庭しか進学出来なかった。

農村の二男三男などは、小学校を卒業すると、町工場に出稼ぎに出ていた。


幹久の通っている官立学校は、宮内庁が管理している特殊な教育機関で、華族が通う学校である。

(現代の○○院大学)


中学科だが、現代の高校生にあたります。


夢彦の中退した医学専門学校は、中学卒業後に通う専門教育機関で大学に相当します。

エリート高等学校(現代の大学に相当)から学部が分校した学校で、難関校。

(現代の千葉にある医大)



・経済


当時の1円は、現在の1万円に大方相当します。

(もう少し低いですが、計算が面倒なので・・・)


出稼ぎ労働者が10日働くと、20円(20万円位)稼げたそうです。

公務員は月50円(50万円位)。


小説家の稿料は高騰傾向の時期なので、売れれば成金並みに稼げたそうです。


白熱電球が一般家庭に普及していますが、電化製品は無い時代。


交通機関は電車、蒸気機関車、自転車がありましたが、車は震災後にタクシーやバスが走るようになります。



・文化


大正モダンと言いますが、モダンガールのような丈の短いワンピースは、昭和に入ってからなので、本作は、その手前のロングスカートなどが流行った時代。


欧州ではアールヌーボーからアールデコにデザインの流行りが移った頃。

日本でも、幾何学模様の装飾や、洋柄の壁紙、ステンドグラスを日本建築に取り入れる傾向にありました。


喫茶店でコーヒーが飲まれるようになったり、ビールが広まって来てます。


コンクリートのビルディングが出来始めて、現代の都会的な雰囲気が徐々に広まりつつあります。



――作中に出て来る架空の店――


【喫茶『ハルジヲン』】

シャンデリアやステンドグラスをあしらった和洋折衷の大正モダンな内装の喫茶店。

昼間は、学生やサラリーマンがコーヒーを飲んで過ごす憩いの場。

夜は酒の提供がはじまり、バーとなります。

当時の女給さんは、和装にエプロン姿です。

なお、お酒の提供はありますが、風俗カフェではないので、女給さんは現代のウエイトレスと仕事内容は変わりません。


【和菓子屋『紅屋べにや』】

夢彦の好物である「大人の掌サイズの酒饅頭」を売る店。

酒饅頭は、その猟奇的なサイズにも関わらず、お酒の香りが豊かな生地に甘さ控えめの餡子がきいた上品な逸品。

なお、普通サイズの和菓子も置いている。



・単位


一尺・・・33.3センチ


恭一郎は、おおよそ六尺。

幹久や夢彦は五尺と少し位。



以下、ファンタジー要素の設定の説明になる為、本作で徐々に明かされる方が良い方は、本編を読み終わってからお読み下さい。




■ファンタジー要素の設定


おに

人の心の一部が具現化した存在。

ほとんどの人間は見ることが出来ない。

人1人に対し、必ず1体存在する(一部例外アリ)

瘴気しょうき』という、人の負の心が生み出す気で成長する。


---


育てば周りに大きな悪影響を及ぼし、最悪の場合、本人と魂が入れ替わり破滅する。


---


『鬼』を育てた本人が、自らの力で克服する以外に、『鬼』を抑える事は出来ない。

(自制心や、理性を保つといった心持ちが、抑える事に繋がる)


---


死鬼喰しきはみ』以外の人間は直接触れない、傷付けられない。


---


『鬼』同士は触れ合うことが出来る。攻撃も出来る。


---


『鬼』同士で攻撃し合っても『鬼』は死なない。すべて生み出した本人に影響する。

(肉体が致命傷になるほどのダメージは、肉体が死ぬ事で『鬼』も死ぬ)


---


『鬼』が傷付けば、肉体が病気、事故などの形で傷付く。

(人体の自然発火のような超常現象にはならない)


『鬼』と、生み出した本人は一心同体。

どちらかが致命傷を負えば、もう片方も死ぬ。

ただし、ダメージの大きさで、肉体に影響する時間に差がある。

 

弱い(弱い圧迫、軽い打撲、かすり傷程度)→即効で現れる。

強い(肉体を大きく切断するなどの欠損)→多少時間が掛かるが、今日中に現れる。

致命傷→心臓発作で即効の時もあれば、事故死などで多少時間が空く場合もある。


---


『鬼』は肉体を襲う事が出来る。襲われると、病気や事故などの形で命が危険。

(人体発火のような超常現象にはならない。また、まれても歯型が付くワケではなく、その箇所が皮膚病になるといった形で現れる)


---


肉体は『鬼』には触れられない為、『死鬼喰み』以外は肉体で抵抗が出来ない。

ただし、自分の『鬼』が相手より強ければ、ダメージは少なく済む。


---


自分の『鬼』の見聞きしたものを、共有できる者と出来ない者がいる。


東雲は、自分の『鬼』の見聞きしたものを共有している。

なので、自分の『鬼』を追跡させた場合、直接伝わってくる。


しかし、恭一郎の場合、自分の『鬼』の見聞きしたものが共有出来ない。

なので、自分の『鬼』を追跡させた場合、『鬼』が口頭(頭の中での会話も含む)で説明する必要がある。


なお、『鬼』の人格や思考は、見聞きしたものを共有出来る出来ないに関わらず、独立している。

なので、『鬼』の考えを知るには、口頭(頭の中での会話も含む)で聞き出さなければならない。


---


姿形は人によって違い、力が弱いと、その辺にいる虫や鳥と見分けがつかない。

育つと、だんだんと人の特徴を合わせ持つ化け物のようになり、最終的には肉体にソックリとなる。


---


育った鬼は、『鬼術きじゅつ』という特殊能力を使えるようになってくるが、習得できる技は個人差がある。


---


実体がないので、物にぶつかったり、自然現象の影響を受けない。

れない、風に飛ばされない、落下物にぶつからないなど)


ただし、机の上や壁を走るような行動は出来る

(あくまでフリであり、宙に浮いているだけ。壁も通り抜けられる)


物の見え方は人と同じである為、障害物や物には、乗ったり、避けたくなる。


例外として、地面に対しては『通り抜ける』『潜る』という意思が必要で、何も考えていなければ、地面の抵抗を受ける。

なので、流血したら、血は地面に広がる。



【名前のルール】


『鬼』に名前を付けると、他人の『瘴気』に対して、耐性が強くなる。

また、自分の『鬼』が生み出す『瘴気』の影響も受けにくくなる。


---


『鬼』の名前は、その良し悪しで耐性の強度が変わる。


---


『鬼』の名付けは、一度しか出来ない。


---


『鬼』の名前は、本人もしくは『鬼』自身のみが決めることが出来る。

ただし、他人が出した案を採用することは出来る。


---


他人が出した案を採用した場合、提案者に対し『瘴気』の影響を与え辛くなる。


---


『鬼』も含め、本名を知られると、他人の『瘴気』の影響を受けやすくなる。

偽名を名乗ると、逆に影響を受けにくくなる。



鬼喰おにぐらい】※夢彦、東雲の正体になります。ご注意下さい。


『鬼』を自分に取りかせ、『鬼』の『瘴気』を無害なモノへと変貌へんぼうさせる者。

また、変貌させている最中は、夢想状態となり、周りが見えなくなる。


なお、夢彦は本人に自覚はないが『鬼喰らい』であり、執筆によって『鬼』の『瘴気』を払うことが出来る。

東雲は『鬼喰らい』の自覚があり、取り憑かせる『鬼』も意図的に決める事が出来る。


---


『鬼』の『瘴気』を無害には出来るが、それで『鬼』を倒すことは出来ない。

(『鬼』の力を弱くすることは出来るが、『瘴気』が補給されればイタチごっこ)


---


個人によって、『鬼』に対する五感(視覚、聴覚など)に差がある。

ただし、『鬼』を触ることは決して出来ない。


---


『鬼』を認知出来ず、自らが『鬼喰らい』だという自覚がない者が大半。

芸術、音楽、文学といった分野で鬼才と呼ばれる者は、大体が『鬼喰らい』。

『鬼』の影響を『作品』という形で無害化している。



死鬼喰しきはみ】※恭一郎の正体にあたります。小説未読の方はご注意下さい。


『鬼』を生身の体で、触ること、傷付けること、殺すことが出来る。

素手の必要はない。

ただし、飛び道具は不可。

ナイフを使ってても、投げたら飛び道具扱い。


---


自分の『鬼』に、他人の『鬼』を食わせることが出来る。

食わせるには、他人の『鬼』を殺す必要がある。

『鬼』を殺すと、何かしらの形で生み出した本人が死ぬ。


---


自分の『鬼』に、空腹という感覚がある。他人の『鬼』を食わせないと餓死する。


---


自分の『鬼』が飢餓きが状態になると、自我が失われ、『鬼』を直接喰らうようになる。

自分の『鬼』が捕食するか、『死鬼喰み』自ら捕食しないと飢餓状態は治まらない。


---


『死鬼喰み』の『鬼』が喰らった『鬼』の『瘴気』は無害化されない。

『死鬼喰み』が死んだ時、災害という形で現れる。


---


喰らう『鬼』が強いほど、長く飢餓状態にならなくて済む。


---


必要以上の『鬼』を喰らうと、生涯、空腹にならなくなる。

しかしその分、自分の『鬼』が巨大化し、災害の規模も大きくなる。


---


力を使うと早く飢餓状態になる。



瘴気しょうき


『鬼』を育て、周りに悪い影響を及ぼす、人の負の心。

消耗すれば、『鬼』は弱かった状態に戻る。


ただし、生み出した本人の心が病んでいる場合、半永久的に補給される。

なので、『鬼喰らい』が無害なモノにし続けても、心が病んだ状態では無くならない。


『瘴気』に侵されると、病気、事故、生活の乱れなどの形で悪い影響が出る。


『瘴気』は、生み出した『鬼』と繋がっており、取り憑かせたり、所持していると相手の位置情報が分かる。

(ただし、分かるのは『鬼』のみ。『鬼』とコミュニケーションが取れなければ本人は分からない)



無害化むがいか


『鬼喰らい』が『鬼』の『瘴気』を無害なモノへと変貌させる事。

他人の『鬼』、自分の『鬼』、どちらの『瘴気』も『無害化』出来る。

基本的に芸術、音楽、文学などの作品が出来上がる。


なお、東雲の妄想は口に出して終わる為、夢彦と違って形は残らない。



鬼術きじゅつ


『鬼』に関わる術の総称。

姿を消す、幻影を見せる、瘴気で出来た武器で攻撃する、術を破るなど多彩。

何が習得できるかは、個人差がある。



隠世かくりよ


現実世界(現世うつしよ)とは異なる、『鬼』と人の魂のみが行く事の出来る世界。

常闇の森で、奥に行くほど凶悪な『鬼』がうろついている。

『隠世』と『現世』の境界辺りは、曼殊沙華の咲き誇る参道が延々と続いている。


---


『死鬼喰み』の魂だけは行くことが出来ない。ただし、『死鬼喰み』の『鬼』は可能。


なお、『鬼』や人の魂が『隠世』に行くには、肉体が眠っている必要がある。


---


人の魂に成り代わろうとするぐらいに育った『鬼』は、日中は『現世』にいるが、寝ている間は『隠世』に追いやられる。

(本人の意識がない時に『鬼』に乗っ取られないようにと、肉体が防衛反応で拒絶する為)


なお、人型=成り代わってもおかしくない状態ではない。

人型を成せるほどに育って、更に自らの『瘴気』が許容範囲を超えた場合に『隠世』に飛ばされる。

人型を成せても『隠世』に行くほどじゃない者もいる。


---


『鬼喰らい』に関わらず、『隠世』では『瘴気』を払う事が出来る。


ただし、強力な『瘴気』ほど、払う時に激痛を伴う為、非常に苦しい。

払った『瘴気』は『隠世』に捨てることも出来るが、そのまま持ち帰る事も可能。




わり】


『鬼』と生み出した本人の魂が入れ替わる事。

肉体を『鬼』が乗っ取った状態で、社会的に問題のある行動をするようになる。

(自殺、傷害、殺人、器物損壊きぶつそんかい、薬物に手を出すなど)


なお、生み出した本人の魂は、『隠世』と『現世』の境界で、『鬼』の行動を傍観ぼうかんする事となる。

本人が強く戻りたいと思わない限り、『鬼』から肉体を取り戻すことが出来ない。


『鬼喰らい』が『鬼』を取り憑かせることも出来なくなり『無害化』も出来なくなる。


また、『鬼』は病んだ心から、自ら立ち直ることが出来ない為、生きている限り苦しみにさいなまれ続ける。


もし『鬼』が自傷行為や自殺を計っても、本人の魂と肉体は隔離かくりされている為、痛みは伝わらない(『鬼』が痛みを感じる)



吉原奇譚よしわらきたん


夢彦が『無害化』して書き上げた、官能小説のシリーズ。


華族の放蕩ほうとう息子が、浅草にある遊郭街ゆうかくがい吉原よしわら』と、もう一つの世界である『裏吉原うらよしわら』を行き来し、怪事件を解決するミステリー作品。


『裏吉原』の住人である『あやかし』たちを始めとする登場人物たちの機微きびに富んだやり取りや、繊細な情景描写に定評があり、官能小説でありながら、クオリティの高い推理小説となっている。


しかし、官能シーンは、かなりえげつない凌辱りょうじょく系の内容であり、夢彦が書いたとは思えないと、関係者は口々に言っている。


そんな内容でありながら、幹久にとっては心のよりどころとなっており、持ち歩いてないと落ち着かない為、いつもカバンに忍ばせている。


第一作目の『空蝉うつせみうたげ』は、恭一郎の『鬼』である『うつろ』を『無害化』した作品。


最新刊の『蛇落だらくしとね』は、幹久の『鬼』である白蛇から作られた。




――登場人物の鬼の設定――



うつろ


恭一郎の『鬼』。空蝉うつせみの姿をしており、体内にドス黒い体液が半分ほど満ちている。

隠し事が多く、恭一郎に信用されていないが、恭一郎が死ぬ事を良しとしていない為、事あるごとに助力する。

ただ、助けてもお互いに反りが合わないので喧嘩が絶えない(自問自答、葛藤状態)


恭一郎が『死鬼喰み』として目覚めるまでは、『隠世』に住んでいて断絶状態だった。

(夢彦が目覚める前に『虚』を取り憑かせているのは、『隠世』で『瘴気』の一部を取り憑かせて来ているからで、『現世』に顕現けんげんしているワケではない)


『現世』に顕現してから飢餓地獄が始まり、とにかく恭一郎に『鬼』を狩らせようとするが、殺生を好まない恭一郎の協力があまり得られない為、常に小腹が空いていて機嫌が悪い。


〈能力〉


嘘を見抜くのが得意だが、特殊能力ではない(観察によるもの)


---


あらゆる『鬼術』を習得しており、主に幻影術を得意とする。


---


3~4メートルに巨大化すると、攻撃力と耐性が強くなる。

この状態で負傷すると、恭一郎に同じような怪我が何らかの形で現れる。


---


小さな空蝉の大群に分散すると、1体1体は弱くなるが、偵察や逃亡に有利となる。


ただし、空蝉の姿は移動には不利で、『鬼』のなかでは機動力がない。

(それでも、ゴキブリほどの速さで移動は出来る)


この状態で1体が死んでも、恭一郎は死なない。

欠損するような怪我はしないが、何かしらの病気になり、寿命は縮む。


---


独自能力として、恭一郎の血を媒介にして、実体を持つことが出来る。

この場合、普通の人間にも姿を見せることが出来、直接人間に攻撃できる。

ただし、実体がある間は『鬼術』は使えない。

また、姿は必ず3センチほどの空蝉で、人型も巨大化も不可。


たかって爪で引っいたり、口吻こうふん(蝉の幼虫の姿なのでストロー状の口をしています)で突き刺すぐらいしか攻撃手段がない。


大量の血液を必要とし、実体化した『虚』が殺されると寿命が縮む事情から、『虚』としては多用する事は避けたいと思っている。


---


サポート役を得意とする為、接近戦は得意ではない。

その辺りは、接近戦が得意な恭一郎が本来カバーしなければならないが、チームワークがイマイチなのが難点。


以上の事からも、非常に重要な所で、恭一郎に頼らなくてはいけない面が多く、頭が上がらないが、上げたくて仕方ない状態の苦労人。


〈定位置〉


恭一郎が右利きの為、左肩に子猫サイズで乗っているのが定位置。

恭一郎から隠れる時は背中に移動する。

頭の上は恭一郎が嫌がる為、余程の事がない限り乗らない。

(恭一郎には、すごく軽い物が乗ってる程度の圧力が伝わってます)



【夢彦の鬼】


白狐びゃっこの姿をしている。

人型を成すことが出来るが、耳と尻尾だけが残っており狐の面影がある。

髪が地面につくかつかないかくらいに長く、頭には水琴鈴すいきんれいの付いた髪飾りを付けており、動作の度に鈴が鳴る。

平安時代の文官の装束に似た、白い衣服をまとっている。

顔も性格も夢彦にソックリそのままだが、人に殺意を抱いていたり、感情的に怒る辺りは彼の影響であり、凶暴な一面も持ち合わせている。



【幹久の鬼】


白蛇の姿をしている。

大きさは30センチから3メートルまで変幻自在。

人型を成したときは、幹久の制服に金色の半袈裟はんけさと紫の数珠を首から下げている。

顔も幹久と同じで、髪だけが色を抜いたような白髪はくはつ


幹久が誘拐され暴力を受けたのがきっかけで、成り代わる寸前にまで成長している。

享楽的で乱暴な性格。


誘拐犯の『瘴気』に侵されており、腕を後ろ手に拘束された姿で『隠世』の最奥に追いやられている。


自己肯定感のない幹久の影響で自己愛に飢えており、幹久とオソロイ(拘束された姿と同じ)になる為、幹久の魂の手首を切断して『隠世』に持って行ってしまっている。


また、夢彦が病に倒れた時も『鬼』の手首を切断して負傷させており、気に入った相手を傷付ける傾向にある。


幹久が他人に触れると気絶したり、いかがわしい話が苦手なのは、彼の影響。



――能力――


『鬼』の中でも、俊足で動体視力が良い。

人型を成したり、一時的に姿を消す技は使えるが、その他の『鬼術』は使えない。

白蛇の姿での物理攻撃がメイン。


学生服のポケットに、物量を無視して何でも仕舞い込むことが出来る。

ただし、ポケットの口に引っかかるモノは不可。ポケットの口部分に伸縮性はない。

ポケットに入ったモノ同士は、それぞれ違う次元に納まる為、ぶつかる心配はない。

『鬼』を入れる事も可能だが、閉じ込めることは出来ない。

ずっと『鬼』を仕舞い込みたい場合は、完膚かんぷなきまでに痛めつけて行動不能にする必要がある。


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